著者 : 中村融
史上最高の科学者フェッセンデンが実験室の中に宇宙を創った!世界中の言葉に翻訳された、名作中の名作「フェッセンデンの宇宙」をはじめ、代表作「向こうはどんなところだい?」「翼を持つ男」、切ない怪奇小説「帰ってきた男」、ショート・ショート「追放者」、さらに本邦初紹介作として「風の子供」「凶運の彗星」「太陽の炎」「夢見る者の世界」の4篇を含む、全9篇を収録。
小高い丘の上に建つ一軒の屋敷。そこに住む者は、エジプト生まれのミイラのおばあちゃん、心を自由に飛ばす魔女セシー、鏡に映らない夫婦、そしてたったひとりの人間の子ティモシー。世界各地に散らばる、魔力をもつ一族がその屋敷へ一堂に会する“集会”が、いまはじまる。そして、何かが変わる日もまた近い…アメリカを代表する幻想作家ブラッドベリが55年間あたためつづけた、愛すべき“一族”の物語。刊行後たちまち全米で大評判を巻き起こした、特別な人々と特別な思い出を封じこめた特別な本。
雪と氷に閉ざされた厳寒のツンドラ地帯の孤島で、地上最大の哺乳類であるマンモスの一族が人知れず生きていた。その一族の若き雌マンモス、シルヴァーヘアがたどる波瀾万丈の冒険を描く話題作。
友だちになった人間を救おうとして、瀕死の傷を負ったフラレカナ。不思議な力によって回復した彼を迎え、群れは餌場を求めて“世界の果ての氷”へ向けて旅立つが、そこにかつての豊かな海はなかった。彼らは残された餌場を求めて極洋を渡る。だがそこでも、人間たちの魔手と、彼らのつくった“見えない火”の脅威が待ち受ける。『歌うクジラ』三部作完結編。
耳を澄まし心を開けば、見えないものが見えてくる。目はよく見えないけれど優れた聴力と観察力を持った少年は、族長の弟とともに「水の国」をめざし旅にでる。森の奥深くで少年が見つけた限りない世界。
時は21世紀。大恐慌の余波でNASAは民間企業に売却され、米ソ共同火星飛行計画は実現間際で破棄されていた。だが、誰もが忘れていたこの計画に、ハリウッドが目をつけた。人類初の有人火星飛行を映画に撮ろうというのだ。かくして、元宇宙飛行士や映画スターを含む撮影隊が火星へ赴くことになるが…。航海の行く手に待ち受ける数々の冒険をドラマチックに描き、SF黄金時代を彷彿させる、心ときめく宇宙小説。
ザトウクジラたちは、緑の光の記憶に包まれて生まれ、やがて「光のわだつみ」へと召されてゆく…。のちに群れの長となるザトウクジラのフルナが回想する若き日々。母親の巨体の陰に守られて育った赤ん坊のころ。幼なじみのローテと遊んだ記憶。畏怖に満ちた父親との対面。そして、長老から聞かされた神秘の物語…。やがてフルナにも、成年期の〈孤独な巡航〉に旅だつ日がやってきた。途途であう仲間たちは、イルカ、カモメ、アホウドリ、ラッコ。だが、人間だけは…。詩人としても有名な著者が、哀調を帯びた鳴き声で〈歌うクジラ〉として知られるザトウクジラを主人公に据えて、ファンタスティックにつづる、海の民たちと大自然への賛歌。
アメリカの片田舎で自動車整備工場を営む魔法使いトーキング・マン。ひとり娘のクリスタルと気ままな生活を送っている。ところがある日、見知らぬ女に殺されかけたトーキング・マンはお客の大学生ウィリアムズから車を奪い、謎の失踪を遂げてしまった。残された二人はおんぼろクライスラーを駆って、長い長い捜索の旅に出るのだが…。北米大陸から時の果てまで続く冒険旅行をポップなタッチで描いたSFロード・ノヴェル。
ケインーそれは永年、人々の間で悪魔のごとくその名を囁き交わされてきた死と破壊の化身。そして彼の行くところ、必ず戦乱が巻き起こる。この時代にもまた1人、ケインの並みはずれた力を求める者がいた。ソヴノス帝国の覇者マリルに復讐を誓う妖女エフレルが、傭兵将軍として彼を召喚したのだ。米国幻想文学界の重鎮が描く、波乱万丈の本格ヒロイック・ファンタシー、堂々登場。
極貧のうちに死んだ父は、実は大地主の跡継ぎだった。だがどうやら、叔父がその財産を横取りしてしまったらしい。これを知った息子のシャンダニャックは、叔父をさがして船で旅立った。ところが、その船が海賊に襲撃されるしまつ。しかも、彼は海賊と共にフロリダにある〈不老不死の泉〉をさがしにいくはめに…。ゾンビーやヴードゥーの黒魔術師が出現する18世紀のカリブ海を舞台に展開する歴史ホラー・ファンタジイ。
「鬼才ガルシン」の名をあまねく世に知らしめた処女作「四日間」をはじめ、自らの狂気の体験を象徴美にまで高めた名作「赤い花」、静かなメルヘンタッチの「がま蛙とばらの花」など、文庫初収録の4篇を含む7篇を精選。〈狂疾〉という十字架を終生背負い続けた悲劇の作家が、「血の一滴一滴」によって書き綴った代表的短篇集。
アンナは兄オブロンスキイの浮気の跡始末に、ペテルブルグからモスクワへと旅立った。そして駅頭でのウロンスキイとの運命的な出会い。彼はアンナの美しさに魅かれ、これまでの放埓で散漫だった力が、ある幸福な目的の一点に向けられるのを感じる。
激しい恋のとりことなったアンナは、夫や子どもを捨て、ウロンスキイとともに外国へと旅だった。帰国後、社交界の花形だったアンナに対する周囲の眼は冷たい。一目愛児に会いたいという願いも退けられ、ひそかに抱くひとときがアンナに与えられるのみだった。
アンナは正式な離婚を望む。が夫は拒否。ウロンスキイはアンナを愛したが、社交界で孤立してゆく彼女に次第に幻滅を感じる。絶望したアンナはついにホームから身を投げる、「これで誰からも、自分自身からものがれられるのだ」とつぶやきつつ。
季節はずれの奇妙な嵐がヘラーズを揺るがし、雷鳴が不気味に轟く夜、ひとりの赤ん坊が産声をあげた。名はドリリス、アルダラン卿ミカイルのひとり娘である。ドリリスは父の愛を一身に集め、美しく成長する。が、彼女は雷を自由に操る、おそるべきラランの持ち主だったのだ。読者の要望に応え、ついに書き上げた、〈混沌の時代〉のエピソード。