著者 : 久間十義
ITベンチャーを起業し、M&Aを繰り返して、企業を急拡大させた「男」が、投資案件を物色中のフィリピンで、突然命を狙われる。九死に一生を得たものの、なぜか現地の刑務所に収監され、十数年にわたり屈辱の日々を送る。そして、ついに解放された男は、日本へ帰ってきた、あの頃とは、まったく違う姿でーー。 物語は、「男」の恋人だった心臓カテーテル手術の名医と、その勤務先である大病院をも巻き込み、予想だにしない展開へ。金と権力への欲にまみれた世界で繰り広げられる復讐劇はどこへ向かうのか。2020年6月より公明新聞に連載された、サスペンスタッチの小説が待望の書籍化。 東京、フィリピン、北海道。IT業界、医療界、そして劣悪な環境の刑務所。時間と空間を超えた壮大なスケールのエンターテインメント大作が誕生した。
地域医療の理想と現実のギャップをクローズアップする意欲的長編。北海道の過疎地域にあるバトラー病院は深刻な困難に直面していた。新たに招聘された大迫院長はさまざまな改革案を打ち出そうとするが、財政赤字に加え、派遣されていた医師の突然の引き揚げ、診療科目の激減など問題は山積していた。はたして病院を再生することは可能なのか? 地方医療崩壊の危機に警鐘をならす傑作長編。
魔が差したのだ。術後の昂揚した気分によって起きた指導医とのまちがい。それは女医柿沼東子を奈落へと突き落とした。彼女から幸せな結婚生活と最愛の娘を奪いとった。失意の彼女は東京を離れ、伊達湊市の病院での再出発を期す。そこには陸奥という天才的な外科医がいた。彼女は陸奥の元で腎移植の手技を錬磨する。やがて、病気腎臓移植の熟達者となり、斯界に名を馳せていく。順風に見えたその時、腎移植の分野の権威、大倉東夫という東京の医大の教授が立ちふさがった。東子の病院で採用していた病気腎を修復して用いた移植は倫理に反すると指弾される……。マスコミは臓器売買の汚名を東子に着せる。根も葉もない噂が彼女を包み込み、遂に東子は警察で尋問を受けることとなる……。病気腎移植の倫理問題と東日本大震災を背景に運命に翻弄される女医の姿を感動的に描く医療長編。『禁断のスカルペル』改題。
この病院には深い闇が潜んでいる ──。北海道から研修医として東京の総合病院にやってきた森永慧介は着任早々、不審を抱く。入院点数の付け替え、いびつな診療体制、連続する高齢入院患者の不可解な急死、そして若い女性患者の自殺。同期の女医と共に真相解明に動きはじめた矢先、慧介にも魔の手が忍び寄る。神奈川での入院患者連続不審死事件を予見したと絶賛された医療サスペンス長編。
円山町のラブホテル街で女性の扼殺死体が発見され、渋谷署に特別捜査本部が設置された。警視庁捜査一課の若手刑事・根本恭平は、証券会社に勤める恋人とのデートをキャンセルし、所轄のワケありベテラン刑事とともに聞き込みを始める。被害者は外資系証券会社のキャリアOLであることが判明したが…。現代の矛盾に鋭く斬り込む、名作警察小説。
被害者の周辺を調べる特捜本部の面々。根本らは、キャリアOLの元上司である証券会社専務・柳谷の筋を、古株の大月刑事らは、政治家の塚本周辺と中央電力・大橋常務グループの筋を追う。やがて、銀行も巻き込んだ“不適切な融資”疑惑が浮上してきて…。被害女性の鎮魂のため奔走する刑事たちを描く、渾身の警察小説。
六本木のクラブのVIPルームで実業家が殺された。撲殺された死体は、鋭利な刃物で鼻がすっぱりと削がれていた。所轄の刑事と本庁捜査一課強行犯五係の神代刑事は、白鳥奈津子監察医の協力を仰ぎ捜査を開始する。その頃、東京地検特捜部に28歳の若さで配属された秋月さやかは、”無理筋”の仕事に戸惑っていた。有力代議士の献金疑惑事件を確かな証拠となる金の動きがつかめず、容疑者の供述の食い違いもあり、立件が難しくなってきていたのだ。にも拘わらず、捜査を急ぐ特捜部。秋月は孤立していくことに。一方、殺人事件は、連続殺人事件に発展していた。そして被害者は在日三世だったことから、レイシストの犯行も疑われ……。そんなとき、献金疑惑事件の関係者が襲われたことで事態が一変。結びつく二つの事件。政界、実業界の汚職と暴力、そこには日本社会の腐敗した組織構造があった。それらが混然一体となり、秋月を襲う。人道とは、正義とは……。女性検事が社会の闇と対峙する社会派ミステリー。
新宿歌舞伎町裏のホテルで大蔵省キャリア官僚が墜落死した。自殺か、他殺かー。「特命」で捜査に加わる強行犯六係の松浦洋右は、他殺の証拠を手にする。しかし、大蔵省と取引した上層部が自殺と断定し、捜査は中止に。組織と対峙し私的な捜査を続ける松浦は、政官財癒着を象徴する陰謀にたどり着くが…。ブームの先駆となった傑作警察小説。
捜査一課の松浦警部補は、リゾート開発絡みの不正融資を暴くため、墜落死した官僚が残した「白鳥メモ」の行方を追う。盟友の女性検事や元刑事らとともに、利権をむさぼり自分たちに都合のいいように犯罪を隠蔽する巨悪に立ち向かう松浦の身に、危険が迫っていたー。誇り高き者たちを迫真の筆で描く、警察小説の金字塔。
自らの過ちが招いた家族との別離。生きる望みを失った女性医師が流れ着いた東北の病院で目にしたのは、卓抜な技術を持つ医師たちによる、禁断の手術だった。なぜ人は病気の腎臓を移植してまで生きねばならないのか?3・11により、一瞬にして懐かしい人々の命が奪われる過酷な体験を経て、その意味は次第に明かされる…。日経連載時に大きな反響を呼んだ、医療小説の新たな傑作!
この病院は、伏魔殿なのかーー医療に潜む底知れぬ闇に切り込んだ問題作。新人研修医として総合病院に赴任した森永慧介。だが、そこで遭遇したのは不可解な出来事の連鎖だった。あまりにも歪な診療体制、相次いで発生する老人の不審死、そして入院中の若い女性患者の自殺。真相を探るべく調査を開始した慧介の身にも、危機が迫っていた……医療における正義とは何かを問いかけるサスペンス長篇!
旧大蔵省次官を経験した元高級官僚が相次いで殺された。浮かびあがったのは7年前、政財界を揺るがした疑獄事件。事件の渦中で消された警部補の息子に魔手が伸びる。刑事たちは矜持をかけて真犯人を追う!
信彦は、中学生の頃からいじめに苦しむ清志をずっと助けてきた。清志はある日、街角の質流れ品屋で見つけた壊れかけたギブソンのレスポールを手に入れる。その日を境に二人の間には決定的な溝がうまれた-学校での恐ろしい毎日を、ぼくは息を殺してやり過ごした。あのギターと出逢うまでは-幻想と恐怖の分水嶺に挑む、著者の新境地。
聖地アンヌピウカでのUFO目撃以来、北海道の小さな町・富産別町では、UFOフェスティバルを推進する者、密かに巨利を企む者など、さまざまな思惑が蠢きだしていた。そんななか行方不明になっていた第一目撃者・亜紀子が戻ってくる。彼女はアイヌの心霊治療を身につけていた…。バブル崩壊後の時代状況を鋭く捉える野心作。“もうひとつの現実”をユーカラにのせて描く叙事詩的長篇。
謎の教団「マリアの部屋」と出会い、潜入取材を試みたフリーライターを待ちうける数奇な運命ー。「イエスの方舟」事件をモデルに壮大な構想力で、もうひとつの〈歴史〉を問う、新世代の旗手によるスラップステックス長篇小説。
“ボォーン、ボォーン、ウィップ、ウィップ”、世界の終わりにひびく鯨たちのうたをきけー。調査捕鯨船と反捕鯨船グループのサイケデリックな迷走に、『白鯨』の黙示を甦えらせて絶讃を浴びた、新世代の旗手による第三回三島賞受賞作。