著者 : 井坂清
「プノンペンである男を捜して、この金を渡してくれ」流れ者が集まる白人バーで依頼人は囁いた。私立探偵カルヴィノはNY育ちの元弁護士。バンコク在住九年。タイ警察のプラット中佐が唯一の親友だ。二人はUNTAC統治下のカンボジアへ飛んだ。はびこる汚職、強盗、密輸、そして売春。哀愁の熱帯ハードボイルド。
奇妙な酒を飲んで意識を失ったアンダーソンは、気がつくと何者かに湖で殺されそうになっていた。彼は危うく難を逃れるが、ふたたび恐怖に襲われる。テレビで自分が殺されたというニュースが報じられていたのだ。いったい何が起きているのか?別人になりすまし調査を進める彼を、やがて正体不明の男が襲撃してきた!新鋭が放つ謎と戦慄のサスペンス小説。
天才的ヘリ・パイロットのプロスは、旧知の美人諜報員に連れだされた夜の湖畔で、英国が極秘に開発した最新最強の戦闘ヘリ“ハマーヘッド”に試乗しようとしていた。が、突如ミサイル攻撃に遭い、テスト・フライトは地獄の実戦飛行と化す。いったい誰が、何の目的で。ヘリの機密はいつ洩れたのか。だがそれは、国際的な規模でくリ広げられる策謀の、ほんの序幕にすぎなかった…。
アナコフ大佐には野心があった。ハインドを改造した最新鋭ヘリ・ヘルハウンドで、特別部隊を編成しようというのだ。彼にとって目の上のこぶともいうべき存在は、かつてそのヘルハウンドを撃墜した、天才的ヘリ・パイロット、デヴィッド・プロス。プロスとその愛機リンクスを抹殺しなければ、アナコフの将来はない。両者の決戦の時は刻々と迫っていた…。迫真の軍事サスペンス。
保安会社を経営するスタフォードは、かつての恋人から奇妙な相談を受けた。巨額の遺産を相続した彼女の夫が、不審な行動をとりはじめたというのだ。調査を始めたスタフォードは、遺産を詐取しようとする邪悪な企てに気づき、これを阻止すべく灼熱のケニヤに飛んだ。遺産の背後に、アフリカ全体を揺るがす巨大な陰謀が隠されているとも知らずに…。『サハラの翼』のスタフォードが再び活躍する巨匠の傑作冒険サスペンス。
1949年英国。作家志望の若者オリヴァー・ショーは、除隊して故郷の田舎町へ帰ってきた。戦後社会からとり残され、前の保険会社の勤めには乗り気がしないオリヴァーは、女たちと寝ることに憧れと情熱を傾ける。年上の友人ジェイクに助言をあおぎながら、地元のダンスホールで出会う女たちに夢と快楽を追い求めるうち、別れや失敗を経てオリヴァーもじょじょに成長していく。学校教師の職を見つけ、すさんだ少年たちに手こずりつつ、同僚の女教師と大胆な情事を楽しんだり、人妻とつかのまの恋をしたり…。やがて、ヘミングウェイを目標としていた彼に作家としての転機が訪れる。英国冒険小説の巨匠が、ノスタルジックに、そして、時にポルノグラフィックに描き上げる自伝的青春小説。
妻と娘を乗せたヨットが凪の大西洋上で消息を絶ったー。バハマでリゾートを経営する実業家マンガンを襲った突然の不幸。娘の死体の発見状況からシー・ジャックの可能性が強い。真相を知ると思われる流れ者のヨットマンを追いはじめたマンガンだが、彼の身辺にも危機が迫ってくる。折しもバハマは火災・暴動・伝染病の流行に揺れていた。やがて、マンガンはバハマ経済を破壊せんとする巧妙な陰謀が、彼とその家族を巻き込んで進行していることに気づいた!南洋の楽園をめぐって展開される死闘をスリリングに描く、巨匠の傑作冒険サスペンス。
ソ連のリガからイギリスに運ばれるはずのプルトニウム239がコンテナごと盗まれた。兵器コングロマリット〈ストラトス〉の仕業だ。ヨーロッパの核兵器廃棄構想、すなわちゼロ・ゼロオプションの陰でアルバニアに核を売ろうとしているトラトス基地を破壊するため、英米ソの諜報員が決死の潜入を試みるー。不世出の冒険小説作家アリステア・マクリーン原案。陰謀と闘う男たちの姿をスリリングに描く傑作。
マフィアの幹部トニー・パリージは、ラス・ヴェガスを裏から牛耳り、甘い汁を吸っていた。その手口は恐喝で、脅しに応じなかった者がすでに何人も殺されている。見るに見かねたFBI捜査官のノヴァクはトニーを有罪にする切り札として密告屋に法廷で証言させようともくろんだが、その大事な証人も爆殺されてしまった。一方、この恐喝にかけては名人芸の持ち主、元警官のサンズが刑務所から出てきた。しぶといマフィア、凄腕の捜査官、そして恐喝に明け暮れる悪徳警官。-頭と度胸の駆け引きと三つどもえの闘いをスリリングな筆致で描く傑作。
かつて戦闘機乗りとして鳴らしたプロスのもとに、情報局からある依頼がきた。中国の特殊任務で潜入した彼の元同僚を、最新型ヘリ・リンクスで救出し、香港まで運んで欲しいというのだ。いやいや承知した彼の補佐には、美人諜報員のローガンが付けられた。香港へと向かう二人だが、その行く手には謎の中国人リンの執拗な妨害が待ち受ける…。高性能ヘリが活躍するシリーズ第一作。
1942年秋、ヒトラーは休戦協定を破り、ヴィシー政権下のフランスへ侵攻する作戦を進めていた。ツーロン港に碇泊する大艦隊を奪い、連合軍の北アフリカ上陸に備えようというのだ。この動きを知った連合軍は、英国特殊作戦執行部の精鋭ジョナス・ロイターをツーロンに潜入させ、やがて彼に重大な使命を与えるー。ヒトラーの計画を伝えて艦隊を救え、それが不可能なら自沈へ導け!ジョナスは密かにフランス海軍への接触を開始する。だが、思わぬことから彼は、敵の手に捕えられてしまった。史実をもとに迫真の筆致で描く戦争冒険サスペンス。