著者 : 伴野朗
黄河学術調査団のメンバーとして中国に渡ったカメラマン笹井には、もうひとつの目的があった。太平洋戦争当時軍属として中国大陸にいたことのある父が、昨年中国再訪の旅に出たまま失踪してしまったのだ。その謎を解きたい、と笹井は決意していた。その笹井を次々奇怪な事件が襲う。何が父に起きたのか?悠久の大河を舞台の鮮烈ミステリー。
西郷隆盛には写真がない。思いがけない事実を知った雑誌『歴史時代』の新人編集部員稲葉元博は、それをきっかけに維新史の闇の迷路に足を踏み込んで行く。-西郷の戦死後、大久保利通はなぜ再度の検視と所持品検査を命じたのか?それと時を同じくして鹿児島を徘徊した謎の人物たちが求めていた物とは何か?おおいなる歴史の謎が百年を経て現代に甦る渾身の長編小説。
夏の全国高校野球大学決勝戦。兵庫の阪神学園と静岡の静光高校の一戦が接戦の末、劇的な幕切れをむかえようとした時、ネット裏で観戦していた一人の女性が急死する。5万人の大観衆のなかで誰が?スコア・ブックのなかに重大な謎が…。表題作の本格野球ミステリーの他、“現代の死角”に挑んだミステリー5篇を収録。
東京に向かう新幹線の車中で、弁護士が怪死、アタッシェケースが消失した。同じ頃、香港では日本人美術商が死んで、奇妙な暗号を残していた。二つの事件は意外な展開をみせ、1200年も前の鑑真和上渡来のナゾに関連してゆく。これを解くため香港の名探偵陳展望が動員され、日本になってきた!得意の分野に実力発揮した会心長編。
昭和20年8月16日。上海からの1隻のオンボロ機帆船が、4名の日本軍特務員を乗せて、東シナ海に浮かぶ孤島・江〓島に向った。終戦を知らぬ守備隊千余名を全滅から守るためである。荒れ狂う海、刻々と迫るタイムリミット、乗員にまぎこんだ見えざる敵側工作員。東シナ海を男たちの男で染める死闘。プロ対プロが容赦なく対決する戦争冒険小説の傑作。