著者 : 伽古屋圭市
過去の出来事を境に疎遠になっていた利央と弦九郎。高校の修学旅行で京都にいた彼らは、そこで巨大地震に襲われる。お互いの無事は確認できたものの、さっきまでの京都と何かが違う。そう思った矢先、悪鬼のような男に本物の刀を向けられてしまう利央だがー「近藤」と呼ばれた男にその場を収められ彼らは気付く。男と一緒にいたのは土方歳三。ここは、幕末の京都なのだとー。激動の時代、生きる意味を見出す二人の少年を描いた、壮大青春ストーリー。
ここは人生の最期に訪れる、幽冥と顕世を繋ぐ洋食店でございますー。シェフの九原脩平一家とアルバイト店員の和泉沢悠人が働く東京下町・人形町の「幽明軒」には、閉店後に死者が訪れ、思いのこした一皿をそれぞれ注文する。大正時代に交通事故で亡くなった女性が恋人と食べるはずだったライスオムレツ、バブル崩壊で挫折し、料理人として独立した息子を認められなかった父親の苦い思い出のナポリタン、元夫に毒殺されたと疑う女社長が最期の夜に食べた蟹マカロニグラタン。成仏できない死者たちに寄り添う洋食店での五皿の奇跡を描く、最後の晩餐ミステリー。
雪と氷に閉ざされた現実世界から離れ、人々は生活のほとんどをVRシステムーALiS-の中で過ごしていた。傷つくことのない穏やかで平和な仮想空間で。しかし突如、椎葉羽留は囚われた。痛覚も“死”も存在する恐怖のVRクラスタに。ログアウト不能の狂気の館で、連鎖する殺人。そしてたどりつく、この創られた世界の真相と、彼女の正体とは!?衝撃の結末に驚愕するVR脱出ミステリ。
それは女性がいま以上に窮屈に生きざるを得なかった時代ー「僕には、罪を背負った女の匂いが、見えるのです」美人画で有名な絵師が告白する相手とは。一度も愛情をもてなかった寝たきりの夫に不実を責められた妻。父親の借金のかたに自分を売りとばした女衒と運命の再会をした遊女。折檻を受け続けた挙げ句、いまでは父から粘つく目で見られている娘。「家族みんな死んじゃった」と告白した後、ひとり北へと旅立った妾。年間ベスト級の哀切極まる傑作ミステリー!!
落語と推理小説は昔から深い縁があった。明治期、黒岩涙香が探偵小説を紹介する前に、かの大名跡、三遊亭円朝が、なんと翻訳ミステリーを高座にかけていたのだ。また、大乱歩は英人落語家、快楽亭ブラックの探偵小説に注目、以後多くのミステリー作家が落語を題材にさまざまな作品を発表してきた。本書は古典的名作から気鋭の秀作まで、ハズレなしの八編を収録!
風采は上がらないが頭脳は明晰、発明家兼探偵の百栗柿三郎。大正時代の浅草を舞台に、女中の千代、居候の小学生・玉緒、迷い犬のハチとともに難“怪”事件に挑む!先進の科学知識を駆使して、“雪に閉ざされた密室の殺人”“屋根裏の住人の告白”“読めない脅迫状”“消えた工女”の謎は解けるのか!?本格ファン感嘆のミステリーシリーズ第2弾!