著者 : 佐々田雅子
男は、フロリダ・キイズの湖のほとりに一人で住んでいた。フィッシング・ガイドとフライ作りをなりわいとして。恋人がいたが、その女にも、ほかの誰にも心を開いたことはなかった。生まれたばかりの時に自動車事故で両親を失い、その事実を十代の終わりに知らされた時、彼は復讐を決意した。この湖で相手の男を殺し、事故に見せかけて逃亡してから、人目を避けるように生きてきたのだ。そして、母親代わりに男を育ててきた女性が、いま釣り船の中で殺された…。環境破壊の進む島々を舞台に、孤独な男の闘いを描く全米書評子絶賛のデビュー作。
すぐにきてほしい-秘書ペギーからの伝言に胸騒ぎを覚え、彼女のアパートメントに急行した私立探偵のジョン・タナーが発見したのは、足を挫いてソファに横たわるペギーの姿だった。タナーを見ると、彼女は段階から突き落とされたといい、弱弱しくつぶやいた。「彼がこんなことをするとは思わなかった…」“彼”とは、毎晩ペギーに電話をかけ、脅迫を交えながら、彼女に猥褻な話を強要する男のことだった。男は、まるで一部始終を監視しているかのように、彼女の日常生活から人間関係までを知り尽くしていた。タナーは、ペギーの身辺から調査を開始するが、なぜかペギーは調査の協力に消極的で、いつしか二人の間には溝が生じていた。そして、そんなペギーの態度を見透かしたように犯人は要求をますますエスカレートさせてきた…!
生まれたばかりの赤ん坊を抱えた若夫婦が、ナニー(住込みのベビーシッター)を雇った。有能なナニーは、赤ん坊を巧みにあやし、家事を片づけ、若夫婦の世話まで焼いた。しかし、ナニーの行動にはどこか不気味さが漂った。そこで夫は、謎に包まれたナニーの過去を密かに探ってみるのだが…。“純粋で完壁な愛”を求めてさまよう魂が若夫婦を追い詰めていく、長編サスペンス・スリラー。