著者 : 佐伯泰英
深川の長屋で浪人暮らしの坂崎磐音は、日光社参の勘定を担うことになった両替商・今津屋からある提案を持ちかけられる。一方、麻疹が流行して将軍家にも患者が出るが、長崎から上府した阿蘭陀商館付の医師は、反対派による妨害のために城中での診察がかなわない。さらには、医師の暗殺計画までも浮上して…。磐音の剣が疾る!
文政8年冬。日光街道周辺で凶悪な押込みを働いていた杉宮の辰麿一味が江戸に潜り込んでおり、探索に協力してほしいと小籐次は乞われる。その直後、畳屋の隠居夫婦、続いて古筆屋一家が惨殺された。一味の真の目的を探るうち、小籐次は自分やその周辺が標的にされる可能性に気付く。久慈屋に迫る危機を小籐次は防げるのか?
江戸に炎熱舞い落ちる頃、稼ぎが減って干上がる間際の坂崎磐音。逐電した、見世物一座の妹の捜索を引き受けたが、思わぬしっぺ返しに遭う。休む間もなく、御城の石垣普請のため熱海の石切場巡見に向かう今津屋一行に、友の柳次郎らと同行。普請奉行の怪しい素行を垣間見て、自ら調べを進める最中、柳次郎が行方不明になった!
秋風が吹き始めた江戸。磐音は研ぎに出していた備前包平を受け取りに研ぎ師・鵜飼百助のもとを訪ねる。そこには、徳川家に不吉をもたらすとされる勢州村正を正宗と改鑿して持ち込もうとする大身旗本用人の姿があった。妖刀に因るものか、磐音はまたもや騒動へと巻き込まれ、やがて、笹塚孫一の命をも脅かす事態に発展し…。
高齢の四郎兵衛に代わり、廓を御する吉原会所の八代目頭取を誰が継ぐのか。五丁町名主の話し合いは紛糾し、画策や探り合いが始まった。新春の吉原、次期頭取候補と目される神守幹次郎を狙い、送りこまれる刺客に、張られる罠。危機を覚えた幹次郎は、故郷の豊後岡藩藩邸を訪れるとともに、ある決意を固める。吉原百年の計を思い、幹次郎の打つ、新たな布石とは。
穏やかな新年を迎えた江戸深川に、引く手数多の浪人がひとり。坂崎磐音である。故郷・関前に暮らす妹伊代の祝言を寿ぐべく、おこんと出かけた途上、南町奉行所与力・笹塚孫一に乞われ、名立たる商人一家が毒殺された事件解決に助勢する。一方で、蘭医の中川淳庵は、破戒坊主一味に命を狙われる。友の危機に磐音の剣花が咲き誇る。
吉原で新たな太夫を客が選ぶ催しが行われることに。花魁・白鶴となったかつての許婚・奈緒の名が「松の位」の有力な候補として噂され、磐音の心を騒がせる。一方、鰻屋「宮戸川」での奉公がはじまった幸吉は釣り銭騙りにひっかかり、磐音に泣きついてくる。さらに、奉公に出たばかりの娘が巻き込まれて…。磐音が悪を追う!
古着大市開催の二日前。将軍家斉近習、自称御用取次古瀬嶺斎なる旗本が古着大市の売上の一部を公儀に上納せよと圧力を掛けてきた。古瀬は無役の小譜請組から、瞬く間に将軍近習にのし上がった男だった。総兵衛は手を尽くして背後関係を調査する…。そして、バタヴィアのカイト号を引き取りに、一族三百余名を従え、いよいよ総兵衛が海を渡る。夢と希望を乗せた「武と商」の物語、ここに完結。
夏を迎えた江戸深川。浪人、坂崎磐音の用心棒稼業は相も変わらぬ貧乏暇なし。同じ長屋に住む婀娜っぽい女を行き掛かりで助けたことで、思わぬ“女難”を招き、一騒動に。そんな折、今津屋の内儀お艶が倒れた。病気平癒を祈るため、相州・雨降山大山寺詣でに発った今津屋一行を襲う不逞の輩。危機に相対し、磐音の剣が唸る!
おこんの慰労をという今津屋の心遣いで海晏寺まで紅葉狩りに出かけた磐音たち。美しい景色に心を奪われたその席で狼藉を働く直参旗本たちに出くわす。おこんに目をつけた旗本たちは、江戸市中に戻った後にも、難癖をつけてくる。後日、狐火見物に出かけた折にも、おこんの身に危険が迫り…。磐音の豪剣と知恵が冴えわたる!
土佐高知藩山内家の家臣の重富家に、次男・利次郎が生まれた。だが利次郎はやんちゃが過ぎて祖父の家に預けられることになる(「初恋の夏」)。一方、雑賀衆の姥捨の郷で育った霧子は、復讐の思いを秘めたまま、実の両親の仇である泰造に従っていた…(「霧子の仇」)。坂崎磐音の弟妹ともいうべき若者たちの青春の日々を描く連作集。
亡き親友が巻き込まれた、豊後関前藩の内紛終結に一役買った坂崎磐音。だが、故地に許婚の奈緒の姿はなかった。病気の父のため自ら苦界に身を落としたのだ。奈緒を捜して急ぐ道中、怪僧一派に襲撃された蘭医を救い、同道することになるが…。秋深まる西国から、京都、金沢へ。苦難の旅の果て、想い人との再会は叶うのか。
正月を迎えた江戸。深川で浪人暮らしを続ける磐音は吉原入りを間近に控えた奈緒の身を案じながらも、大店の一家が無惨に殺された騒動に巻き込まれる。そして、奈緒の運命が大きく動く日。危険が迫っていることを知らされた磐音は、花魁道中を密かに見守る決意を固める。刃を向けられる奈緒。その時、磐音はどう動くのか!?
廓の用心棒・神守幹次郎は、姉妹の売れっ子見番芸者が、禁忌を犯し客と床入りをしているとの噂を聞く。同時に年の瀬、煤払いの賑やかな吉原で、二人の間抜けな掏摸が捕まる。二つの小さな出来事の陰には、吉原を貶める大胆な企てが蠢いていた。命を懸け大捕物に挑む幹次郎は、苦悩の果てに、新たな使命を心に誓うことになるー。急展開を迎えるシリーズ第五弾。
大志を抱き切磋琢磨した友を喪い、豊後関前藩を出奔した坂崎磐音は、江戸・深川六間堀の長屋で浪々の日々を送る。糊口をしのぐべく、直心影流の剣さばきで用心棒稼業に励む最中、再会したのは関前藩勘定方・上野伊織。藩を揺るがす疑惑を知った磐音に迫る影とは?巻末には本シリーズ愛読者の谷原章介氏と著者との特別対談を収録。
安永二年、深川の夏祭りをめぐって、地元の親分の間で起こった諍い。浪人暮らしを続ける坂崎磐音は権造親分への借りを返すために一働きすることになる。国許の豊後関前藩では、磐音と幼馴染たちを襲った悲劇の背後にうごめく陰謀がだんだんと明らかになる。父までもが窮地に陥ったことを知った磐音は、決意を胸に江戸を発つ。
小籐次一家三人は、老中青山忠裕の国許であり駿太郎の実母・小出お英の故郷でもある丹波篠山へと旅立つ。駿太郎はお英の墓に参り、実父の須藤平八郎の足跡をたどって亡き両親への想いを募らせるが、同時に養父母である小籐次とおりょうとの絆を盤石なものとした。しかしその小籐次一行を、お英の実兄・雪之丞が付け狙っていた。
豊後関前藩の若き武士3人が帰藩したその日に、互いを斬り合う窮地に陥る。友を討った哀しみを胸に、坂崎磐音は江戸・深川の長屋で浪人暮らしを始める。大家の金兵衛に紹介された両替屋での用心棒稼業で、やがて幕府をもゆるがす大きな陰謀に巻き込まれ…。平成を代表する超人気時代小説の“決定版”が、ついに刊行開始!
全51巻で完結した平成最大の人気シリーズが復活!豊後関前藩中老職の嫡男・磐音の朋輩に妹の奈緒が生まれたその日(「赤子の指」)。四歳の奈緒が磐音の嫁になると口にした日の出来事(「梅雨の花菖蒲」)など、本編では描かれなかった、ふたりの幼き日々からやがて迎える悲劇の直前までの五つの物語を収録。万感胸に迫る一冊。