著者 : 佐伯泰英
長崎で武者修行を続ける坂崎空也のもとに、想いを寄せる薩摩の渋谷眉月が訪れる。平穏に武者修行を続ける空也だったが、恨みを抱く東郷示現流酒匂一派の影が迫っていた。同じ頃、薩摩藩の江戸家老から呼び出しを受けた薬丸新蔵は、初めて江戸藩邸に出向くが…。空也と新蔵の二人と酒匂一派の因縁は決着の時を迎え、青春篇いよいよ完結!
北郷陰吉の報告では、鳶沢一族の荷運び方の文助の様子がおかしいという。分不相応な料理屋に出入りし、怪しい白い粉を手に入れている。総兵衛は、陰吉の他、林梅香、忠吉、筑後平十郎を召集して文助の後をつけるのだが、見事に巻かれてしまう…。交易船団は、カイト号を建造しているバタヴィアのオランダ商館造船場に人を残し、ホイアンで最後の荷を積み込み、いよいよ帰国の途についた。
久しぶりに幹次郎を訪ねてきた左吉。身代わりで入牢した間に財産を盗まれたという。それが吉原を巻き込む陰謀の一端と想像もしなかった幹次郎だが、周囲を危難が襲う。引手茶屋・喜多川蔦屋の沽券が狙われ、会所頭取・四郎兵衛には南北町奉行から圧力が。決死の幹次郎は吉原を守るため、ある危険な賭けに出るー。冬を迎える吉原が緊迫する、シリーズ第四弾!
小籐次父子は公方様に拝謁し、見事な芸を披露して喝采を浴びた。数日後、小籐次は駿太郎の乳母を務めたおさとと再会する。彼女の舅は名人と呼ばれる花火師だったが怪我を負って引退し、さらに余命数か月という。半端な花火職人の義弟が作った花火を舅に見せてやりたいというおさとの願いを知った小籐次は、一計を案じるー。
小藤次は、久慈屋昌右衛門との伊勢道中で知り合った三吉と再会したが、彼は酒飲みで乱暴者の父親のもとで苦労していた。職人になりたいという三吉に力を貸そうとするそんな折、父親が殺された。下手人は三吉を我が物にしようとする「強葉木谷の精霊」一味。敵は人か物の怪か、三吉を守るため小藤次は死闘を繰り広げるー。
五島列島の野崎島を後にした坂崎空也は、帆船肥後丸で対馬に辿り着く。岬で高麗の国を望みながら、渋谷眉月に想いを馳せていた空也は、対馬藩の重臣に声をかけられる。島での武者修行を許された空也だったが、領内に停泊している高麗船への同行を求められー。累計2000万部を突破した「居眠り磐音 江戸双紙」に続く新たな物語。激闘の四番勝負が始まる。
交易船団はバタヴィアでオランダとの直接交易に入ろうとしていた。最新型巨大帆船の発注について信一郎は大きな選択を迫られる。一方江戸では、平十郎が長屋前で、総兵衛が本庄邸訪問帰途、それぞれ正体不明の侍に囲まれた。きな臭い予感に大黒屋は包まれる。折しも、沢村伝兵衛より八州廻りを騙って商家を強請る悪党の噂がもたらされた。総兵衛は様々な方向から情報を集めていくのだが…。
文政三年冬。小藤次とおりょうは、うづと太郎吉の仲人を務め終えると、水戸藩に新たな竹細工を伝授するため旅立った。だが案内役の小姓頭・太田静太郎と街道筋を進むと、葵の御紋が入った藩主の状箱が強奪されるという事件と遭遇する。誰が何の目的でそんなことをしたのかー。新たに終章を書き下ろし、シリーズ堂々の完結!
浅草御蔵前で、亡き先代伊勢亀に代わる札差の新筆頭行司がなかなか決まらない。父の跡を継いでの就任を固辞する伊勢亀の当代半右衛門の元に、不可解な企てとも取れる文が届き、幹次郎は危ぶむ。巨額の富と莫大な権力を手にする筆頭行司の座を巡り、長い秋雨にけぶる吉原の町にも陰謀が蠢き始め、狙われる西河岸の桜季、そしてついにー。大人気シリーズ第三弾。
北町奉行所の年番与力が、小籐次に面会を求めてきた。極秘の依頼があるらしい。その晩遅く、酔った小籐次が嵐のなか望外川荘に帰ろうとするのが目撃される。だが翌朝、小籐次は帰宅しておらず、小舟や蓑などだけが発見された。奉行所の依頼とは何だったのか、そして小籐次は死んでしまったのか!?緊迫の書き下ろし第10弾!
秋雨が十日も続き、仕事にあぶれた住民たちが食べ物にも事欠くようになった新兵衛長屋で、炊き出しが行われることになった。その会場の空き部屋で、勝五郎が金無垢の根付を見つけた。元の住人は夜鷹の女、しかも部屋には家探しした跡がある。小藤次は根付の持ち主探しにかかわるが、はたして根付は誰のもとに落ち着くのか!?
駿太郎が夏風邪をひいた。幸い大事には至らなかったが、そんな折、小籐次は公儀の筋から相談を持ちかけられる。駿太郎の看病で研ぎ仕事がおろそかになり、御用の手助けは控えたかったが、すでに外堀は埋められているようだ。久慈屋の娘おやえと番頭の浩介の祝言が迫るなか、小籐次が巻き込まれた大事件とは?
かつて仕えた森藩の呼び出しに応じ、旧主・久留島通嘉と面会した小籐次は、思いがけず若き日の悪さ仲間だった松野藩藩主・松平保雅の窮地を救うよう依頼された。保雅と再会した小籐次は、保雅がお家騒動に巻き込まれ、嫡男が人質になっていることを知る。旧主と旧友の信頼に応えるべく松野へと急ぐ小籐次を、敵が迎え撃つ。
鎌倉の旅から帰った幹次郎らは、玉藻と正三郎の祝言を数日後に控え、忙しい日常に戻る。麻のための離れ家も着々と完成に近づき、祝いの空気が流れる秋。しかし幹次郎は、吉原が公儀から得た唯一無二の御免状「吉原五箇条遺文」が狙われていると直感していた。襲撃される幹次郎と汀女。張り巡らされる謀略と罠。新吉原遊廓の存続を懸けた戦いが、再び幕を明ける!
年の瀬が迫り、次々と舞い込む研ぎ仕事を片付ける傍ら、小藤次は想いを交わすおりょうのため、芽柳一派旗揚げ新春歌会の設えに奔走する。そのさなか、永代橋から落下した男に謎の花御札を託され、男は死んだ。聞き慣れぬ「大黒町」の文字、小藤次を待ち伏せる頭巾をかぶった羽織の武家…。背後に蠢く幕府を揺るがす策略とは?
深川惣名主・三河蔦屋染左衛門の信を得た小籐次は、染左衛門の成田山新勝寺詣でに急遽同行することに。物見遊山かと思いきや、一行を待ち構えるかのごとく不穏な賊徒が襲い来る。孤軍奮闘の末に辿り着いた成田山で、染左衛門の悲壮なまでの覚悟を知った小籐次に、江戸出開帳に蠢く闇が迫る。小籐次の剣が冴える決定版第14作。
小籐次は久慈屋昌右衛門に同道を請われ、伊勢神宮へと旅立った。昌右衛門は心に秘するものがあるようだが、小籐次にもなかなか胸の内を語らない。島田宿で川止めにあうなか地元の悪党どもを一掃した一行は、船を使って伊勢を目指すが、それを神路院すさめと名乗る妖しい黒巫女がつけ狙う。旅情溢れる好調書き下ろし第9弾!
足掛け五年の修行の日々は、すべてこの日のためー。国中から豪腕辣腕の武芸者が集結した上覧剣術大試合。出場者には、金杉惣三郎秘蔵の弟子神保桂次郎も名を連ねていた。清之助は吉宗が推挙する唯一の出場者として初戦を免除されたが、それは後半戦がより厳しくなることを意味していた。母や妹、葉月のお百度参りも続く中、清之助が一世一代の勝負の場に上がる!
上覧剣術大試合を終え、ついに家族と顔を合わせなかった金杉惣三郎の姿は、いま豊後相良の庵にあった。じつに五年の歳月が過ぎていたー。江戸では清之助、みわ、結衣それぞれが所帯を持ち、しのだけが飛鳥山で隠居していた。その年、大目付に任じられた清之助は、吉宗から尾張へ向かうよう言い渡される。それは、父の代より続く因縁を断つための重大な“密命”だった!