著者 : 倉知淳
売れないミステリー作家の冷泉彰成は、弟子の久高享に創作テクニックを仕込みながら、執筆を続ける日々を送っていた。そんな折、冷泉の元に二通の手紙が届く。一通は女性からのファンレター、もう一通はファンレターのようではあるものの、「殺人と云う名の粛清を献上する」と書かれた怪文書だった。不気味ながらも悪趣味な悪戯だろうと捨て置くが数日後、今度は殺人事件捜査中の刑事が訪ねてきた。被害者の女性は半年前に冷泉にファンレターを送っており、殺害当日は冷泉と会う予定だと周囲に語っていたという。まったく身に覚えのない冷泉は潔白を訴え、一旦は事なきを得た。だが、再び殺人事件が発生。被害者はまたもや冷泉のファンだった。そして冷泉宛てにまたしても不気味なファンレターがーー。
取扱注意! 変な死体×本格ミステリ 作家デビュー30周年記念作品 不謹慎だがガチ本格の死体ミステリ! 「本格・オブ・ザ・リビングデッド」 夏の山荘で起きた惨劇。殺人犯はゾンビ⁉ 「三人の戸惑う犯人候補者たち」 「人を殺したかも」相談の内容は殺人で… 「それを情死と呼ぶべきか」 〈死者が生者を殺した〉密室心中の真相は⁉ 「死体で遊ぶな大人たち」 なぜ腕だけ別人に“すげ替え”られたのか? 「死体を有効活用すれば、ここまで奇怪な状況をロジカルに成立させられるのか! 著者が示した4態(シタイ)に驚嘆!」--村上貴史氏(書評家)
“読書”の快楽が存分に味わえる、これぞ本格ミステリ。大好きな従姉の転落死に不審を抱く大学生・高文は、彼に片思いするフリーター女子・来宮を“助手”に真相を探っていく。大型猫科肉食獣を思わせる担当刑事・鷲津にあしらわれながら“捜査”を進める高文だが、彼が協力を依頼した人が次々と殺されていく。一体、何がどうなっているのかー?
ミステリ小説みたいな事件なんて、現実にはそうそう起きたりしない。世に起きる事件のほとんどは一般的な事件であり、優秀な警察によって早急に解決されていく。だが、しかし。この平和な日本でも起きるのだ。密室殺人が。怪盗による犯行予告が。そうしたやっかいな事件は並の警察官では歯が立たない。いわゆる「名探偵」の力が必要だが、毎回民間人に協力を仰ぐのも警察の名折れである。それならば警察組織にしてしまえばいい!こうして生まれたのが、警察庁特殊例外事案専従捜査課ー略称「特専課」-通称「探偵課」。探偵課に所属する名探偵たちは、例にもれず全員めんどくさい。事件が起きると召集され、ずかずかと現場に現れて華麗に解決する。そんな愉快な探偵課に、警察庁に入庁したばかりの新人・木島壮介が配属されてしまい…
死神だ。死神が来たー罪を犯した者たちが乙姫警部に出会って最初に抱くのは、畏怖をはらんだそんな錯覚だ。削ぎ取ったように痩せた頬、刃物で切り落としたようにシャープな顎、悪魔を思わせる鉤鼻、そして虚無の深淵を覗き込んだかのような陰気で表情の感じられない瞳。それらが与える死神めいた印象に違わず、乙姫警部は、じわりじわりと犯人たちを追い詰める。“猫丸先輩”シリーズや『星降り山荘の殺人』の倉知淳が挑んだ、“刑事コロンボ”の衣鉢を継ぐ大人気倒叙ミステリシリーズ!
猫丸という風変わりな名前の“先輩”は、妙な愛嬌と人柄のよさで、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。そして、どうにも理屈の通らない出来事も彼にかかれば、ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。悪気なさそうな侵入者たちをめぐる推理が温かな読後感を残す表題作や、電光看板に貼りつけられた不規則な文字列が謎を呼ぶ「ねこちゃんパズル」など、五つの短編を収める。日常に潜む不可思議な謎を、軽妙な会話と推理で解き明かす連作短編集。
私の誇りを傷つけるなど、万死に値する愚挙である。絶対に許してはいけない。学内で“皇帝”と称される稲見主任教授は、来年に副学長選挙を控え、恐喝者の排除を決意し実行に移す。犯行計画は完璧なはずだった。そう確信していた。あの男が現れるまでは。-倉知淳初の倒叙ミステリ・シリーズ、全四編を収録。“刑事コロンボ”の衣鉢を継ぐ警察官探偵が、またひとり誕生する。
友人が交通事故に遭った都心の街道沿い、電柱の傍らに供えられた花を眺めながら物思いに耽っていた男の前に、呼んでもいないタクシーが次々と…運転手たちが存在しない乗客を取り合う騒動にまで至った不可解な自動車集結事件をめぐる表題作、毎朝ベランダの同じ場所に置かれるペットボトルが謎を呼ぶ「水のそとの何か」など、猫丸先輩の推理が冴え渡る全六編を収めた連作短編集。
ある時は幻の珍獣アカマダラタガマモドキの捜索隊員、ある時は松茸狩りの案内人、そしてある時は戦隊ショーの怪人役と、いっぷう変わったアルバイトに明け暮れる神出鬼没の名探偵・猫丸先輩が遭遇した五つの事件。猫コンテスト会場での指輪盗難事件を描いた「猫の日の事件」、意外な真相が爽やかな余韻を呼ぶ「たたかえ、よりきり仮面」ほか三編を収録した、謎解き連作短編集。
亡き妻に謝罪したいー引退した不動産業者・方城兵馬の願いを叶えるため、長男の直嗣が連れてきたのは霊媒だった。インチキを暴こうとする超常現象の研究者までが方城家を訪れ騒然とする中、密室状況下で兵馬が撲殺される。霊媒は悪霊の仕業と主張、かくて行なわれた調伏のための降霊会で第二の惨劇が勃発する。名探偵・猫丸先輩が全ての謎を解き明かす、本格推理小説の雄編!
「だいたいお前さん達は想像力ってもんが足りなさすぎるよ、新聞や雑誌にひょいひょい乗せられて、やれ空飛ぶ人だ空中散歩者だってはしゃいでるんだからーもう少し頭使って自分の考えで物を云いなさいよ」そう言い放ったこの、仔猫みたいなまん丸い目をした小男こそ、名探偵猫丸先輩その人である。コミカルな筆致とロジカルな推理で読者を魅了する倉知淳の本格的なデビュー作。
密閉空間に忽然と出現した他殺死体についてー「文豪の蔵」。二つの地点で同時に事件を起こす分身した殺人者についてー「ドッペルゲンガーの銃」。痕跡を一切残さずに空中飛翔した犯人についてー「翼の生えた殺意」。この謎を解くのはキャリア警察官僚の兄か、女子高生ミステリ作家の妹か、それとも…?
元銀幕の大スター・片桐大三郎(現芸能プロ社長)の趣味は、犯罪捜査に首を突っ込むこと。その卓越した推理力と遠慮を知らない行動力、濃すぎる大きな顔面で事件の核心にぐいぐい迫る。聴力を失った大三郎の耳代わりを務めるのは若き付き人・野々瀬乃枝。この絶妙なコンビが大活躍する最高にコミカルで抱腹絶倒のミステリー!
私の誇りを傷つけるなど、万死に値する愚挙である。絶対に許してはいけない。学内で“皇帝”と称される稲見主任教授は、来年に副学長選挙を控え、恐喝者の排除を決意し実行に移す。犯行計画は完璧なはずだった。そう確信していた。あの男が現れるまでは。著者初の倒叙ミステリ・シリーズ、全四編を収録。“刑事コロンボ”の衣鉢を継ぐ警察官探偵が、またひとり誕生する。
体質改善セミナーに参加したメタボな男性4人組。インストラクターの無慈悲な指導によって耐え難い空腹感が怒りへと変わっていく中、冷蔵庫のシュークリームが盗まれる大事件が発生する。爆笑必至の「限定販売特製濃厚プレミアムシュークリーム事件」はじめ、ひと味違う傑作本格ミステリ作品を全6編収録。
雪に閉ざされた山荘。そこは当然、交通が遮断され、電気も電話も通じていない世界。集まるのはUFO研究家など一癖も二癖もある人物達。突如、発生する殺人事件。そして、「スターウォッチャー」星園詩郎の華麗なる推理。あくまでもフェアに、真正面から「本格」に挑んだ本作、読者は犯人を指摘する事が出来るか。 星降り山荘の殺人 文庫〔新装版〕刊行によせて 倉知 淳 解 説 西澤保彦
ある朝いつものように登校すると、僕の机の上には分解されたたて笛が。しかも、一部品だけ持ち去られている。-いま五年三組で連続して起きている消失事件。不可解なことに“なくなっても誰も困らないもの”ばかりが狙われているのだ。四番目の被害者(?)となった僕は、真相を探るべく龍之介くんと二人で調査を始める。小学校を舞台に、謎解きの愉しさに満ちた正統派本格推理。
聴覚を失ったことをきっかけに引退した時代劇の大スター、片桐大三郎。古希を過ぎても聴力以外は元気極まりない大三郎は、その知名度を利用して、探偵趣味に邁進する。あとに続くのは彼の「耳」を務める野々瀬乃枝。今日も文句を言いつつ、スターじいさんのあとを追う!