著者 : 倉阪鬼一郎
子猫を殺し、子犬を殺す。いい人も、悪い人も、子供も大人も、殺して殺して殺し抜く。殺しすぎだぞ倉阪。いったい誰が生き残るんだよ倉阪。死体の山を築いて爆走する戦慄のローラーコースター。おねがいだれかわたしをとめて。どうにかしてくれ、いやに単調なメロディの童謡が耳について離れない。やめろ倉阪、俺の枕もとで歌うんじゃない!モダンホラーの極北に立つ鬼畜の所業。倉阪鬼一郎、爆裂。
うち捨てられた病院で起きた荒唐無稽な不可能犯罪-収容されていた院長の娘が密室で刺殺され、凶器の短剣も“三重の密室”から持ち出されていた。彼女が遺した奇怪な小説『迷宮Labyrinth』は何を語る?不吉な紅姫の伝説とは?混沌のなか惨劇はエスカレートし、悪魔的終局が現出する。これぞ鬼才の精華。
ホラーを知り尽くした著者が、自信をもっておくる本格的怪奇小説の決定版!とにかく怖い!怪奇実話作家のもとに持ちこまれた一冊の日記帳。赤い羽根を極端に恐れる男の記録に隠された驚愕の真実とは?切れ味するどい第一章「赤い羽根の記憶」から、幽霊屋敷パターンに新機軸をうちだす第三章「黒い家」、今までの登場人物が総登場して百物語をくりひろげる最終章「百鬼譚の夜」まで、奇想と企みに満ちた恐怖の迷宮の中で、怪奇小説ならではの醍醐味をたっぷりと味わっていただきます。
南米の元独裁者が亡命先のキュラソー島で食事中、ホテルの支配人が毒殺された。休暇で西インド諸島に滞在中のアメリカ人心理学者ポジオリ教授が解き明かす皮肉な真相「亡命者たち」。つづいて、動乱のハイチに招かれたポジオリが、人の心を読むヴードゥー教司祭との対決に密林の奥へと送り込まれる「カパイシアンの長官」。マルティニーク島で、犯人の残した歌の手がかりから、大胆不敵な金庫破りを追う「アントゥンの指紋」。名探偵の名声大いにあがったポジオリが、バルバドスでまきこまれた難事件「クリケット」。そして巻末を飾る「ベナレスへの道」でポジオリは、トリニダード島のヒンドゥー寺院で一夜を明かし、恐るべき超論理による犯罪に遭遇する。多彩な人種と文化の交錯するカリブ海を舞台に展開する怪事件の数々。「クイーンの定員」にも選ばれた名短篇集、初の完訳。