著者 : 八坂よしみ
不機嫌な大富豪がふと見せた笑顔。 でも心の奥までは見えなくて……。 グレナディ国の王女付き秘書官のクリステンにとって、 アメリカ人の天才実業家ディーンが最後の頼みの綱だった。 祖国の景気回復のため、彼の企業を誘致しなければならないのだ。 パリのホテルでつかまえた彼は目を奪われるようなハンサムだったが、 傲慢との評判どおり無愛想で冷たく、彼女のことなど歯牙にもかけない。 恐怖に震えつつも、クリステンは話を聞いてほしいと食いさがった。 すると、リムジンの中で聞く、飛行機の中で聞くと言われながら、 けっきょく話す機会を与えられないままニューヨークに着いてしまった。 そして、振り回され疲れ果てた彼女に、彼は思いがけない提案をするーー 「10万ドル払うから、今夜僕とパーティーに出席してほしい」 さすが億万長者らしい破格の提案をするディーンと、魅力的なうえに多言語を操る敏腕実業家の彼を畏怖するクリステン。超然とした大富豪と世慣れていない純真なヒロインが繰り広げるクリスマス・ロマンスをお贈りします。本作は〈ザヴィエラの花嫁〉関連作です。
夫が遺した莫大な借金、幼い息子を奪おうと画策する義父。サヴァナは困り果て、亡夫の弟で初恋の相手トレントに助けを求めた。2年前、サヴァナはトレントに身を捧げたあと、冷たくあしらわれ、打ちのめされていた。さらに妊娠に気づき、途方にくれていたとき、形だけの結婚をもちかけてきたトレントの兄ーまさかすべては跡継ぎ欲しさに彼が仕組んだ罠だったとは…。何も知らないトレントは、彼女と兄の結婚後、一切の接触を断った。今や成功者のオーラをまとう彼との久々の再会。目と目が合った瞬間、サヴァナは強烈な感情に心乱され、彼のオフィスで熱く結ばれてしまう。“息子の父親はあなたよ”とは言えぬまま。
愛されなくてもいい。一夜だけ、 あなたのシンデレラになれれば。 自分に自信のないララは、ある日、絶望の淵に突き落とされた。 恋人の裏切りを目撃し家を飛び出したら、どしゃ降りに見舞われたのだ。 よるべのない彼女は身も心もぼろぼろになり、 やむなく雇い主夫妻を頼って、ナニーとして働く屋敷を訪れた。 運よく、夫妻が休暇旅行で留守にするあいだ滞在を許されるが、 そこには思いがけない人物がいたーー雇い主の親友で大富豪のルーベン。 彼も事情があって一時的にこの屋敷に滞在しなければならないという。 こんなにハンサムな男性と二人きり、一つ屋根の下で過ごすなんて! だが、ララは思わず覚えた胸の高鳴りを戒め、もう恋はしないと誓った。 片や取り柄のないナニーと、片や大富豪……分不相応な恋ならなおさら。 2016年度RITA賞の最終候補に2作品同時にノミネートされた、飛ぶ鳥を落とす勢いの実力派作家スカーレット・ウィルソン。その2部作〈愛しの億万長者〉の第1話をお届けします。失恋したヒロインを癒やす、大富豪の甘い甘い誘惑をお楽しみください!
アイルランドの美しい古城のホテルで働くアーニャは、ホテルを買収した新オーナーのブレイディに呼びだされ、カリフォルニアを訪れた。出迎えにも来ないブレイディに腹をたてるが、やがて現れた彼をひと目見るなり、その野性的な魅力に圧倒されてしまった。人を寄せつけない謎めいたまなざしーアーニャは魔法にかかったように、彼に誘われるままベッドをともにした。だがその直後、ブレイディの言葉に凍りつく。「昇給は約束する。もうアイルランドに帰るといい」2ヵ月後…アーニャのおなかには新しい命が宿っていた。
ウエディング会社で働くグレッチェンのもとへ、奇妙な依頼が舞いこんだ。来週末の結婚式で、ある招待客の恋人役を演じてほしいというのだ。男の人は苦手だし、地味で太っちょなわたしにうまくやれるかしら……。彼女はおそるおそる、教えられたホテルのスイートルームを訪れた。出てきたのはなんと、とびきりハンサムな億万長者ジュリアン・クーパー。鍛えぬかれた身体、青緑色の瞳ーーああ、いったいどうしたらいいの?同じ部屋にいるだけで手が震えるのに、彼の恋人のふりだなんて!「きみがぼくの恋人役だって?」やっぱり、彼はがっかりしている
ピッパはひそかに憧れていた実業家キャムに誘惑され、めくるめくひとときを過ごした。夢の一夜のあと、いまだ興奮さめやらぬ彼女のもとに、キャムから思いもよらない連絡が…なんと、避妊に失敗したというのだ!呆然とするピッパだったが、やがて妊娠が判明。キャムは子どものために形式的な結婚をしようと言うが、ピッパはそんな関係はとうてい受け入れられない。冷酷にも「きみも子どもも愛したくないんだ」と言うキャムに、張り裂けそうな想いで、ピッパは彼のもとを去るが…。
ルーシーは、探偵ヘイデンの滞在するスイートルームに来ていた。継父がオーナーを務める会社が起こした事件の聴取を受けるためだが、ドアが開いた瞬間、出迎えたヘイデンに一目で心奪われたー。陰のある端整な顔立ち、息がとまるほどの存在感。だが、ヘイデンが継父を黒幕だと疑っていると知り、一瞬のうちに、彼は愛してはいけない人となってしまった。彼を求める心の叫びを無視し、ルーシーは継父の無実を証明しようと、調査の協力を申し出る。やがてヘイデンと行動をともにするうちに、彼の瞳に揺らめく欲望の炎を見つけ、めくるめく夜をともにしてしまう。しかしヘイデンは残酷な言葉を放った。「この関係は一時的なものだ」