著者 : 八木敏雄
胸に赤いAの文字を付け、罪の子を抱いて処刑のさらし台に立つ女。告白と悔悛を説く青年牧師の苦悩…。厳格な規律に縛られた一七世紀ボストンの清教徒社会に起こった姦通事件を題材として人間心理の陰翳に鋭いメスを入れながら、自由とは、罪とは何かを追求した傑作。有名な序文「税関」を加え、待望の新訳で送る完全版。
均整と統一という明確な方法意識を持っていたポオ(1809-1849)は、短篇小説に絶妙な手腕を発揮した“スタイリスト”であった。胸躍る痛快な暗号解読の物語『黄金虫』、夢幻的雰囲気と緊迫感にひたされた『アッシャー家の崩壊』-。『ボン=ボン』『息の紛失』等、ノンセンス物も収録した、ヴァラエティゆたかなアンソロジー。
「モービィ・ディックだ!」-エイハブ船長の高揚した叫び声がとどろきわたった。執拗に追い続けてきたあの白い巨大な鯨が、ついに姿を現わしたのだ。恐るべき海獣との壮絶な「死闘劇」がいよいよ始まる。アメリカ文学が誇る叙事詩的巨編、堂々の完結。
“モービィ・ディック”との遭遇を前にして、エイハブ船長ひきいるピークオッド号の航海はつづく。ほかの捕鯨船との“出あい”を織りまぜながら、鯨と捕鯨に関する“百科全書的”な博識が、倦むことなく、衒学的なまでに次から次へと開陳されていく。
「モービィ・ディック」と呼ばれる巨大な白い鯨をめぐって繰り広げられる、メルヴィル(一八一九ー一八九一)の最高傑作。海洋冒険小説の枠組みに納まりきらない法外なスケールと独自のスタイルを誇る、象徴性に満ちた「知的ごった煮」。新訳。
胸に赤いAの文字を付け、罪の子を抱いて処刑のさらし台に立つ女。告白と悔悛を説く青年牧師の苦悩…。厳格な規律に縛られた17世紀ボストンの清教徒社会に起こった姦通事件を題材として人間心理の陰翳に鋭いメスを入れながら、自由とは、罪とは何かを追求した傑作。有名な序文「税関」を加え、待望の新訳で送る完全版。