著者 : 内田康夫
浅見家の「坊っちゃん」光彦は、夏目漱石、正岡子規らの足跡を辿る取材のため松山へ向かう。途中、訪れた場所で何度もすれ違った美女から変質者扱いをされ、警察に目を付けられてしまう。後日、その女性が絞殺体で発見され、容疑者としてマークされる光彦。新たに発生した事件への関与も疑われた光彦は、事件を解決するため推理を働かせるがー。
ルポライターの浅見光彦は、佐田教授らと後鳥羽上皇遺跡発掘調査のために隠岐の中ノ島を訪れる。そこで、上皇の祟りだと騒いでいた老人が溺死し、佐田教授も変死を遂げた。一方、白倉教授と村上家を訪ねた女子大生佐治貴恵は、上皇から藤原定家に宛てた稀本「源氏物語絵巻」に関する秘密の古文書を発見するがー光彦が後鳥羽上皇の謎に挑む傑作長編旅情推理。
ルポライターの浅見光彦は後鳥羽上皇遺跡調査のため隠岐中ノ島に来ていた。だがそこで血の字の祟りの話をしていた小野老人は溺死、同行していた佐田教授も謎の死を遂げた。時価数十億円といわれる「源氏物語絵巻」はどこに。貴恵が五反田の邸で会った老執事と小野老人の関係は?四十年前に遡る事件の真相は後鳥羽上皇の怨念か、人間の欲望かー傑作長編旅情推理。
能の水上流宗家の嫡男・和春の七回忌に催された追善能。宗家である和憲の二人の孫、和鷹と秀美もそれぞれ「道成寺」と「二人静」を舞うことになっていた。しかし、和鷹は舞台の最中に蛇面をつけたまま急死する。センセーショナルな和鷹の死、兄妹間の後継問題などに注目が集まる中、和憲の行方もわからなくなる。秀美は祖父の残した言葉を頼りに吉野へと向かうが…。惨劇に隠された悲劇に浅見光彦が挑む。シリーズ屈指の人気作!
東京・秋葉原の路上、若い女性が浅見光彦の腕の中に倒れ込んだー。それはロマンチックな出会いなどではなく、凄惨な事件の始まりだった!そのまま絶命した女性からは毒物が検出され、死の直前まで故郷の兵庫県淡路島の神社にまつわる“祟り”を怖れていたという。浅見は古事記に描かれた神話の里・淡路へ飛ぶが、待っていたのは官僚の死と巨大な闇だった…。
北緯三十四度三十二分。数々の遺跡と神社が一本の線上に並んだ通称「太陽の道」。事件の鍵はその「道」にあると考えた浅見光彦は、連続毒殺事件を追って淡路島から伊勢に向かう。すると不気味な動きを示す謎の宗教集団が浅見の前に!やがて、有力政治家と大企業の黒い関係が浮上、関係者が次々と姿を消した。難事件に挑む浅見が掴んだ戦慄の事実とはー!?
捕鯨問題の取材で南紀・太地を訪れた浅見光彦は、「くじらの博物館」の展示物を見つめ歪に笑う青い帽子の女を目撃する。彼女の視線の先には背に銛が刺さった漁師人形。それはかつて、この町で起きた殺人事件の被害者と同じ姿であるらしい。さらに青い帽子の女は6年前に岬で心中した娘ではないかと言われた浅見は、真相を探るべく心中相手の新聞記者「アザミ」の故郷・秩父へ向かう。無関係に思える2つの事件を繋ぐ悲劇とは。
母親・雪江のお伴で城崎温泉を訪れたルポライターの浅見光彦は、かつて金の先物取引の詐欺事件で悪名高い保全投資協会の幽霊ビルで死体が発見された現場に行きあたる。しかも、この一年で三人目の犠牲者だという。警察は、はじめの二人は自殺と断定。今回もその可能性が高いというのだ!?城崎、出石、豊岡…不審を抱いた浅見は調査に乗り出した。会心の長篇旅情ミステリー。
東京青梅で発見された会社役員の他殺体は、奇妙なことに虚無僧姿だった。事件に遭遇した浅見光彦は、尺八名人の被害者が名曲「滝落之曲」だけは一度も吹かなかったことに疑問を抱く。かつて暮らしていた修善寺由縁の曲をなぜ?現地へ向かった浅見は、事件当日修善寺でも虚無僧が目撃されていたことを知る。青梅の殺人との関連は?やがて被害者の残した謎の言葉が浮上する!
本人の知らぬ間に企画された浅見光彦34歳の誕生日会。初恋のひとである稲田佐和との再会に心躍る浅見は、美貌のヴァイオリニスト、アリシア・ライヘンバッハからボディガードを頼まれる。一度は断ったものの、陽一郎からの要請でアリシアのコンサートが行われる丹波篠山に赴くことに。彼の地で彼女の祖母の遺譜を捜索するが、手がかりの「インヴェ」につながる男が殺され浅見に嫌疑がかかり!?国民的名探偵“最後”の事件!
美貌のヴァイオリニスト、アリシアから「遺譜」捜索の依頼を受けた浅見光彦は、依頼の裏に戦前日本とドイツまで遡る陰謀があることに気づく。浅見家にも繋がる「遺譜」に隠された盟約と、陽一郎の暗躍。真相を確かめるため赴いたドイツで、アリシアの祖母から明かされた哀しい事実は浅見の大義と正義を揺るがす。70年の時を経て甦る陰謀に、浅見家の人間として下す究極の決断とはー。国民的名探偵が迎える衝撃のラスト!
各企業が車を飾りたてて大阪・御堂筋をパレードーその最中に事件は起った。繊維メーカー・コスモレーヨンが開発した新素材をまとったミス・コスモの梅本観華子が、大観衆注視の中、急死したのだ。胃から青酸化合物が発見され、コスモレーヨンを取材中の浅見光彦が事件にかかわることに。コスモの宣伝部長・奥田とともに観華子の交友関係を調べ出した矢先、第二の殺人が。長篇推理。
「巨大シーラカンス日本へ!」大東新聞に独占掲載されるはずのスクープがライバル紙の一面を飾った。“生きる化石”捕獲プロジェクトを後援する大東の一条記者が学術調査隊に同行しコモロ共和国へ特派されていたのになぜ?やがて帰国した調査隊員を狙った連続殺人が発生。姿をくらました一条に容疑がかかるが…。警視庁きっての名警部・岡部和雄の推理が冴える!
新進ピアニスト三郷夕鶴は、父伴太郎の誕生会の日、見知らぬ男から父への伝言を手渡された。紙片には「はないちもんめ」とだけ書かれていたが、それを見た伴太郎は表情を変えたのだ…。父の友人で古美術商の甲戸天洞の娘麻矢は夕鶴の親友。「はないちもんめ」の意味を探るため、夕鶴はルポライターの浅見光彦に会うが、同席するはずだった麻矢から、天洞の死の報せが!?
浅見光彦のもとに届いた一通の招待状。それは、芸能界の大物加堂孝次郎が箱根の別荘で開く晩餐会の案内だった。そこでは二年続けて不審な死亡事故が起きていた。浅見への依頼は不吉な事態を阻止してほしいというのだ。今をときめく十二人のスターが顔を揃える中、パーティーは始まった。しかし加堂の姿はなく、俳優の永井が毒殺される。悪夢の一夜の始まりだった…。
家族・親戚とともに水上バスに乗り込んだ花嫁の津田隆子は、船上から忽然と姿を消してしまった。定刻を過ぎても隆子は現れず、新婦不在のまま披露宴を行ったのだった。新郎の池沢英二と同じ絵画教室の縁で出席していた浅見雪江は唖然。息子の光彦に事件を調べるように依頼するが、何の手掛かりも発見できなかった。数日後、築地の掘割で女性の死体が発見される。それは隆子なのか!?
鮎哲の『黒いトランク』や清張の『点と線』の中で、刑事たちは長距離列車に乗って遥かな地へ捜査の旅に赴いていた。その後、交通機関や通信手段の発達で犯罪捜査は大きく変わったが、鉄道の特殊な空間はミステリーの恰好の舞台であり、人々の旅への郷愁はいささかも変わらない。本書はヴァラエティにとんだ名探偵たちの鉄道の旅を八編収録した傑作集!