著者 : 内田康夫
水中綱引きの神事で賑わう福井県若狭の名勝日向湖に男の死体が流れ着く!その一年後、東京・高島平で広告代理店勤務の細野久男が絞殺された。細野が死の前に、同人誌に発表していた短編小説「死舞」には、若狭を舞台とし、黒い服の男の謎の行動と暗い過去が描かれていた。浅見光彦は、小説が結びつける二つの殺人事件の接点に引きつけられ、若狭へ向かう!
岡山には珍しい大雪の翌日、美貌の音楽教師の服毒死体が発見される。しかし、その手に抱かれたフルートは、なぜか左右の構えが逆になっていた。警察が「自殺」で幕引きを図る中、今度はその婚約者が溺死体となって川に浮かぶ。音大移設を巡る汚職と、交錯する愛憎が招いた殺人に、浅見光彦の名推理が冴える!
「34歳は男の人生の転機だと私は信じているのです」浅見家に届いた一通の手紙。それは浅見光彦34歳の誕生日会の招待状だった。知らぬ間に企画されたことに驚きながらも、初恋のひとである稲田佐和の名前に心惹かれた浅見は参加を決める。誕生日会の直前、発起人代表である本沢千恵子が美貌のヴァイオリニスト、アリシア・ライヘンバッハを伴い浅見家を訪れた。丹沢篠山で行われるコンサートでボディガードを頼みたいというのだ。アリシアは祖母が彼の地に残した楽譜を預かるように言われていた。一度は断る浅見だが、兄・陽一郎からの要請もあり丹波篠山に赴くことに。ところが楽譜の手がかりである「インヴェ」という男の家で殺人事件が発生しー!?名探偵・浅見光彦“最後の”事件が新書版で登場!
「と、鞆の浦へ行きな…」妙な電話を受けた「軽井沢のセンセ」こと作家の内田。それはホテルで知り合った、広島出身の間宮という老人の声に似ていた。ところが間宮が翌朝から行方不明に!知り合いの浅見光彦に助けを求め、駆けつけてもらう。しかし間宮は戻ってきたのだ。内田の知らない別人の姿で!四日後、殺人事件が鞆の浦で起こり、浅見は現場へ向かう。著者登場の旅情ミステリ。
村上水軍の流れを汲む名家に育ち、ピアニストを目指す少女・咲枝は、来島海峡大橋から飛び降りた母の死に疑問を抱いている。上京中の咲枝と偶然知り合った浅見光彦もその死に不審を覚えた。しまなみ海道を訪れた光彦は咲枝とともに、真相を求めて調査を開始するが…。美しい瀬戸内の島と海を舞台に浅見光彦の推理が冴える、傑作旅情ミステリー。
長野県内で発見された男の遺体。品川区役所に勤める直子は、死んだ男・岡根から一カ月前に「長野県人の義務」として謎の角封筒を託されていたことを思い出す。そこに入っていたのは、長野のパンドラの箱。困り果てた直子は、夫の学生時代の同期である浅見光彦に相談をするが…。一方長野県では殺人事件の捜査を“信濃のコロンボ”竹村警部が取り仕切っていた。何故、男は殺されたのか。信濃を巡る巨悪に、浅見と竹村が挑む!
信州飯田のダム湖に、腐乱したバラバラ死体が浮かんだ。飯田署の巡査部長・竹村岩男は、単純な親族の借金トラブルとされた捜査結果に、一人異を唱える。東京・青森・鳥羽ー、わずかな目撃証言を頼りに、執拗な追跡が始まる。圧倒的な筆力でミステリー界に旋風を巻き起こした、著者・伝説のデビュー作!
静岡の寸又峡で、地元テレビ局の記者・久保が殺された。彼は記者仲間の伴島に謎の言葉を残していた。次の被害者は、秋田の大曲で資産家老女を殺し指名手配中だった。かつて大曲の通信部にいた伴島は、事件の手掛かりを掴み、秋田へと急行するが、やがて姿を消した。その報せを受け、浅見光彦も現地へ向かった。事件の鍵を握るのは大曲の資産家一族。光彦は事件の謎に迫れるのか。
信州毎朝新聞の牧田編集局次長が水内ダムで絞殺死体で見つかった。前夜、牧田と口論していた部下の中嶋が疑われてしまう。新婚早々の出来事に、中嶋の妻・洋子は困惑する。その後、恵那山トンネル、長楽寺、寝覚ノ床で次々と遺体が発見され、洋子は長野の県歌「信濃の国」に出てくる地名と現場が一致していることに気づく。信濃のコロンボ・竹村岩男警部は四人の被害者を結ぶ糸口を探り出した!
老舗骨董店の娘から依頼され、妖壼“紫式部”とともに消えた母の行方を探すうちに、七年前、壼に魅せられた男が謎のメッセージを残して変死していたことが判明。様々な京女に翻弄されながら、浅見光彦は事件の真相に近づいていくー。巻末に、自作解説と、小林由枝による絵と文「京都 空想迷路ー浅見光彦と歩くー」を収録。
浅見光彦のもとに、全国紙J新聞の大阪支社から文化部の富永という男が訪れた。部下の女性記者・前田淳子が、明石の自宅を出たまま失踪したというのだ。浅見は、淳子の後輩で、源氏物語を学ぶ女子大生・崎上由香里とともに淳子の行方を捜す。淳子は明石原人の取材話の際に、怪しい2人連れの男を気にしていたというのだが…。若き記者の未来を無情にも奪った事件。憤りを隠せない心優しき名探偵が辿り着いた意外な真実とは。
真珠の養殖で知られる志摩半島の英虞湾。風光明媚なその海に、男の他殺体が浮かんだ。被害者は自らの刑務所体験を書きベストセラー作家となった袴田啓二郎。所轄の鳥羽署は、かつての黒い交友が関係すると見て捜査を開始。一方、美少女海女取材で当地を訪れていた浅見光彦も事件を知り、調査を始める。だが、その矢先に第二の殺人が発生。事件は混迷を深めていくが…。
愛知県犬山市の明治村にある品川灯台で、大京物産の社長・高桑雅文の遺体が発見された。死因は刃物で刺された失血死。遺留品の中に血のついた京王電鉄の回数券が見つかる。その血液は被害者とは別のものだった。美濃和紙の取材をしていた浅見光彦は、ニュースで事件を知る。見覚えのある高桑の顔ー。好奇心がとめられずに現場へ!凶器が包まれていた和紙が語る、旅情ミステリー。
「オンナニ…ウシク…」都内の神社で胸を刺された商社マンは、奇妙な言葉を遺して息絶えた。直後、その第一発見者である女子大生が、金沢の名勝兼六園そばの「美術の小径」で謎の転落死を遂げる。二つの事件に繋がりはあるのか?興味を抱いた名探偵・浅見光彦は北陸の古都へ飛んだ。やがて、「紬の里」で事件解決の糸口を掴むが…。旅情溢れる推理傑作!
浅見光彦は「旅と歴史」の依頼で、長崎県五島列島へ教会堂の取材に行くことになった。飛行機嫌いの浅見がフェリーで九州へ向かっていると、船中で元刑事の後口と出会い意気投合する。彼は浅見を案内しながら、軍艦島で起きた未解決の連続変死事件について語る。だが、後口は娘が住むという長野県へと向かう途中で、静岡県御前崎の海岸で遺体となって発見された。現地で浅見は、後口と意外な人物との接点に気づいたのだがー。
炭鉱の街として一瞬の栄華をきわめた軍艦島。島で人が亡くなると、隣にある無人島、中ノ島で火葬されたという。軍艦島に魅せられていた元刑事の後口は、浅見に中ノ島に次々に流れ着く不思議な遺体のことを語り、そして亡くなった。後口の足跡を辿る浅見は、島で不審死した神主が「大切なもの」を娘に託したと知る。島に関わる者たちが、三十年間口をつぐんできた秘密。名探偵・浅見光彦が対峙する、最大の「巨悪」の正体とはー。
「親友が心を寄せる男に掛けられた、殺人の嫌疑を晴らしてほしい」。お手伝いの須美子に頼まれ、霞ヶ浦を訪れた浅見光彦は、秋田・西馬音内盆踊りで起きた不審死事件との関連に目を留める。二つの事件の被害者は、共に“奇跡の米”開発に携わる農業技術者だった。亡者の装束で死んだ男が握る巨大利益を巡る秘密とは?農業界vs.製薬業界。「遺伝子組み換え米」に群がる巨悪に浅見光彦が挑む!
皇女和宮が降嫁の際に立ち寄った馬篭宿の脇本陣には、幻の柩が残されていたー。姪に頼まれ、大学の人類学研究室職員の女性殺害事件の謎を追って妻篭・馬篭を訪れた浅見光彦は、そこでも女性が殺されていたことを知る。二つの殺人を結ぶ柩。和宮の怨念が、浅見に立ちはだかる。シリーズ屈指の歴史ミステリー。
第二次世界大戦前、ドイツより日本を訪問し、全国を歓迎と熱狂の渦に巻き込んだヒトラーユーゲント。その盛大な歓迎会の最中に、ある秘密工作は粛々と仕組まれていたー。「インヴェ」という名前に導かれ、丹波篠山である男の家を訪れた浅見は、殺人事件の嫌疑をかけられることに。ナチスドイツが遺した爪痕は、意外な形で日本へと繋がっていた。気鋭のヴァイオリニスト、アリシア・ライヘンバッハの祖母からのたっての頼みを受け、ドイツへと赴いた浅見光彦が目の当たりにした悲しみの真実とは?緻密に組み立てられた陰謀は、70年の時を経て現代へ甦る!官僚一家の名門・浅見家を脅かす「亡霊」の正体とは?現代ミステリー界の雄が不退転の決意で描きだした名探偵“最後の”事件!