著者 : 内田康夫
北大植物園とひかり公園。二つの殺人事件を探る浅見は、刑事局長である兄陽一郎に、プロモーター白井の調査を依頼する。だが、いつになく歯切れの悪い陽一郎…。浅見に事件から手を引くよう真剣に忠告する兄は、何を知っているのか?サッポロドーム計画の裏に蠢く欲望と疑惑。開拓者達が抱いた高邁な理想を裏切り、清新な北の大地を蝕んできた歴史的巨悪。浅見光彦の壮大な闘いを描く傑作ミステリー。
“コスモス、無残…”謎のダイイング・メッセージを残し、弘前の古書店主が東京のビジネスホテルで毒殺された。殺人現場から消えた太宰治が描いたという肖像画の行方は?浅見光彦は真相を求めて津軽へ向かうが、そこで第二の殺人が…。
邪馬台国の研究に生涯を費やした考古学者・小池拓郎が殺される。浅見光彦は小池が寄宿していた当麻寺の住職から事件解決を依頼され、早春の大和路へ。古代史のロマンを背景に展開する格調高い文芸ミステリ。
皇統をめぐる争いに敗れ、呪詛のうちに流刑の地で没した崇徳上皇。特別養護老人ホームの理事長・栗石は、この貴人を信仰していた。その施設内で、老人の不可解な死が相次いだ。一方、天皇家にまつわる怨霊伝説を追う浅見光彦は、京都で見知らぬ女性から唐突にフィルムを手渡される。現像してみると、そこには驚くべき光景がー!安楽死、老人福祉問題をテーマに、人間の尊厳を真摯に問い直す、感動の長編推理。
華道界の連続殺人 浅見光彦は京都へ! 国際生花シンポジウム開催中の京都で、雑誌記者が殺された。仕事を引き継いだ浅見光彦だが、目の前で第2の殺人が。500年の伝統を持つ華道家元の封印された秘密とは。 15歳の娘・奈緒をめぐる後継争い、異端の天才華道家との確執も絡む華麗なる連続殺人に、浅見は挑む。記念すべき傑作長篇。第100作!
湯けむり香る町で浅見は…。 傑作旅情ミステリー! 坊ちゃま、助けて。 浅見家のお手伝い・須美子が殺人容疑で群馬の警察に連行された? 助けに行った浅見光彦は温泉町・伊香保の夫婦怪死事件に巻き込まれる。会社重役の夫は焼死、妻は崖下に転落死。事件には、日本舞踊の後継者争い、晩年をこの地で過ごした竹久夢二の謎までが絡み…。傑作旅情ミステリー!
浅見家の出来の悪い「坊っちゃん」として肩身の狭い思いをしているぼくは、おふくろの説教から逃れるように漱石や子規の足跡を辿る松山取材に出かける。途中、瀬戸大橋で出逢った「マドンナ」に痴漢と間違われて「イノブタ」警官に睨まれたりしたが、名跡を訪れて文豪たちを偲んだり、内子座で句会を覗いたりするうちに、そんな不快なことも忘れていた。だが、その「マドンナ」が殺され、しかも第一容疑者はぼくらしいー!?名探偵の浅見自身が軽妙に語る文学散歩ミステリー。
世界一周クルーズに仕掛けられた罠。うごめく殺意の影。絶対不可能な状況の中で、犯人はなぜ凶行に及んだのか。浅見光彦と岡部和雄、二人の名探偵が船上の「罪と罰」に迫る。
長野県中野市の小内八幡神社、その名に惹かれて立ち寄ったフリーカメラマンの小内美由紀は、全国の八幡神社を巡礼している飯島という老人に出会う。だが、不可解な言葉を残して美由紀と別れた老人は、秋田県で死体となって発見された。浅見光彦は、日本各地の美しい風景と混乱の戦後史の中に、この元文部官僚の軌跡をたどることになるが…。この国のありかたを問う著者が壮大な思いをこめて紡ぐ巨編。
殺された飯島が八幡神社を巡った理由はなんだったのか?事件を追う浅見光彦は老人の閉ざされた半生と癒えることのない戦争の傷痕に胸を痛める。愛するものと信ずべきもののために殉じた人々が、若者たちに託した戦後半世紀の誓い。それが、美由紀と婚約者の松浦に思いもかけぬ悲劇をもたらすことになろうとは…。松浦の赴任地である高知県に飛んだ浅見を最大の試練が待ち受ける。
横浜テレビの看板レポーター山名めぐみが殺された。最後に取材したVTRを見た浅見光彦は彼女のインタビューが事件の鍵を握ると睨む。「赤い靴」と「青い眼の人形」、二つの童謡に隠された謎とは?また金沢八景で死んでいた会社員浜路恵一と事件の関連とは?異国情緒漂う横浜の街を舞台に、テレビスタッフの藤本紅子、浜路の娘智子、浅見の三人が事件の真相を追う。
八幡神社を巡歴していた老人が、秋田で非業の死を遂げた。平凡な日々と訣別し、残された時間で全国を旅する老人は何を希求していたのか。浅見光彦とともに50年の歳月を経てこの国のあり方を問い直す推理巨編。
敗戦の絶望的な状況のなか、愛すべきもの、信ずべきもののために散った命。戦争の傷痕と被害者である老人の閉ざされた半世紀を追う浅見の前で、老人の遺志を享け継いだ若い婚約者たちをさらなる悲劇が襲う。
私立探偵・鴨田英作のもとに、名器ストラディバリを護衛して欲しいという依頼が舞い込んだ。所有者は世界的に有名なヴァイオリニスト、辻真理。ところが、彼女の凱旋祝賀パーティ当日に事件が発生した。辻真理が演奏を開始した途端、“ダーン”という大音響が響き、最上席の中央の紳士が夥しい血を流して倒れたのだ。凶器は被害者の胸ポケットにあった小型ピストル。果たして自殺か、それとも…。鴨田英作と犯罪捜査用スーパーパソコン『ゼニガタ』が活躍する表題作他、警視庁のキレ者・フグハラ警部の名推理を描いた作品を収録した傑作短編。
米穀卸商の坂本義人が水死体で発見された。彼が死の直前に電話をしていた相手は、浅見光彦の母・雪江だった。嫌疑をかけられかねない状況の中、今度は浅見家が購入した高級米の袋から、大量の穀象虫が…。浅見は母に命じられ、調査に乗り出す。一方、長野県では巨額の米横流し事件が発覚、坂本事件との関連を重視した県警は“信濃のコロンボ”竹村警部に捜査を要請する。だが、二つの事件の容疑者・阿部隆三も失踪を遂げ、真相は混迷を極めていくー。二人の名探偵が、米市場を巡る巨大な闇に挑む!著者渾身の長編社会派推理。
殺人。不正。容疑者の失踪ー。浅見光彦は、事件の背後に見え隠れするヤミ米市場の実態を追って、新潟そして山形県酒田市へ。だが、事件の重要な鍵を握る遠藤という老人が殺害され、竹村警部が捜査を続ける長野県でも新たな犠牲者が…。二大名探偵の行く先々で立ちはだかる食管制度の光と影。基幹農作物を巡る巨大な利権の正体とは?そして、日本の社会システムの根幹を揺るがす事件の結末は?「米神話」の崩壊を予見し、日本人の文化、生き方までを深く問うた内田文学の金字塔。
国際生花シンポジウムの開催地・京都で雑誌記者が謎の死を遂げた。五百年の歴史を誇る華道家元の座をめぐり、様々な思惑が複雑に絡み合う中、第二の犠牲者が。連続殺人の裏には何が隠されているのか?美しく桜が咲き乱れる古都で、伝統と格式のもとに封印された秘密に、浅見光彦が挑む!著者にとって記念すべき百冊目の作品となった傑作長編。