著者 : 内田百間
『おばけずき』に始まる平凡社ライブラリーの夏の定番“文豪怪異小品集”シリーズの記念すべき十冊目「特別篇」は、幻想童話ー文豪たちによるファンタジー名作集!泉鏡花「海戦の余波」、内田百〓「王様の背中」、宮沢賢治「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」のほかこの分野の創作に長けた名匠たちが決まって生涯に数作、あたかも示し合わせたかのように書き残した名作を厳選し、一巻に集成した、かつてないアンソロジー。
漱石と夢文学。 アーサー王伝説を踏まえたファンタジー「幻影の盾」。SPレコードにまつわる怪異をえがいた「サラサーテの盤」。妖しい幽霊屋敷を舞台にした都市幻想小説「白血球」。超現実主義的手法で夢の世界を克明に記述した「夢の中での日常」。他全38編。 夢の記述と夢の軌跡。 夏目漱石 富士川義之編 夢十夜 永日小品 より 琴のそら音 一 夜 趣味の遺伝 変な音 カーライル博物館 倫敦塔 幻影の盾 薤露行 解説 幻想作家漱石 内田百間 別役実編 盡頭子 件 道 連 豹 冥 途 昇 天 山高帽子 影 狭 莚 青炎抄 東京日記 サラサーテの盤 解説 内田百間的幻想の特質 豊島与志雄 堀切直人編 白 蛾 沼のほとり 白血球 都会の幽気 或る女の手記 道 連 白塔の歌 どぶろく幻想 霊 感 幻の園 真夜中から黎明まで 猫 性 怪異に嫌はる 解説 謙譲な闘い 島尾敏雄 種村季弘編 孤島夢 石像歩き出す 摩天楼 夢の中での日常 勾配のあるラビリンス 亀甲の裂け目 大 鋏 月 暈 死人の訪れ 子之吉の舌 鬼剥げ むかで 冬の宿り 解説 へんなあひるの子
からだが牛で顔丈人間の浅間しい化物〈件〉。生まれて三日にして死に、その間に人間の言葉で、未来の凶福を予言する。その〈件〉に生まれ変った私の根源的な孤独と不安を描く「件」ほか、鮮明、不可解な夢幻的世界を稀有の文章で描いて、漱石の『夢十夜』に勝るとも劣らない不朽の短篇小説集。
日常の中に突如ひらける怪異な世界を描いて余人の追随を許さない百〓@6BE1文学、後期の傑作七篇を収録。東京幻想紀行とでもいうべき「東京日記」をはじめ、「白猫」「長春香」「柳検校の小閑」「青炎抄」「南山寿」「サラサーテの盤」を収録。
夏目漱石の『吾輩は猫である』の主人公吾輩が、ビールを飲んでカメの中に落ちて、ナムアミダブツを唱えたけれど、酔いが醒めればカメの縁から這い上がってくる。独語教師・五沙弥入道宅に移して「猫」が見る人間模様を描く百〓@6BE1版『吾輩は猫である』。
恐怖と笑い、幻想とリアリズム、痛烈な諧謔ー。稀有の文章で自らの世界を紡いだ百〓@6BE1文学から、『冥途』『旅順入城式』以降に執筆された短篇小説21篇を初めて1冊にまとめ、現代かなづかいにしたアンソロジー。