著者 : 前田司郎
「私このままこの人と結婚するのかなあ。なんだかピンと来ないんだ。」 結婚に踏み切れない二人が、美味しい匂いのする草を探し歩く「私たちは塩を減らそう」。 テーブルである私と共に暮らす裸の男女が、げっぷをめぐる哲学談義を交わす「部屋の中で」。 性愛に焦がれるようにして、少年と少女が幻想的な夜の東京をさまよう「悪い双子」--。 異才が贈る、愛おしさ溢れる奇妙な恋愛短篇集。 【収録作品】 私たちは塩を減らそう お米を宝石だと言う人 ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ 美しいうどん 嫌な話 部屋の中で 悪い双子 エベレストの方へ 解説:南沢奈央(女優)
小児性愛者殺害事件を追う、異常事件専門の探偵・宇宙船。美青年だが使い物にならない助手の米平青年、鳩狩りをする姉弟コンビ、浮浪者の出で立ちで森羅万象を知る直角仙人など、一般社会からはみでた人々を束ね、捜査を進める宇宙船。その正体は、一人娘を亡くし、重いうつ病にかかった主婦だった。 調査の依頼主・お嬢さんの下着が盗まれたり、怪人・空気ゴキブリに脅かされたりしながら、事件を追う宇宙船を待ち受ける真犯人とはーー。 弱き者たちへの眼ざしと不意打ちの笑いがクセになる、奇才・前田司郎による初の推理小説!
愛とは何か? 愛は存在するのだろうか。 愛が信じられない男をめぐる三角関係 36歳の京子と、もうすぐ40歳の俊介。 結婚して6年目の夫婦の悩みは、子どもができないことだ。 愛なんてこの世にないかもしれない。 でも、京子に子どもが生まれたならば。 諦めきれない俊介が提案したのは、 驚くべき解決策だった。 男二人と女一人。 過去が思いがけない形で未来へと接続される、危うい心理劇。 第158回芥川賞候補作。
魚彦。僕の変な名前は、お母さんの初恋にちなんでつけられた。写生大会で行った臨死の森で、転校生・海子の秘密を見てしまう。二人だけの秘密。夏の海の水の音。色ガラスの破片。車椅子の今田は魔法使いに会ったという。そんなの嘘だ、嘘であって欲しいと思う。出処の知れない怒り、苛立ち、素晴らしい遊び、僕はこの楽園を飛び出したいのかもわからない。あの神話のような時代を。
「ひたむきに、勤勉に、自らの時間を捧げて僕は、超レベル上げた。でもなあ、流れのままに魔王を倒していいのだろうか?」それが悩み。30歳。ヒモ生活。爆発すれすれの感情を封じ込めた無職の男が、生活という冒険を華麗に生き抜く表題作。そして、死に行く女の意識を彩るエンドレス走馬燈「ゆっくり消える。記憶の幽霊」併録。日本演劇界の寵児が描く青春大冒険小説集。
この小説は、恋愛小説かもしれないし、純文学かもしれない。そうでないかもしれない。ここにあるのはいわゆる青春ではない、しかし、まぎれもない青春小説だ。