著者 : 司馬遼太郎
司馬遼太郎による国民的ベストセラー、映像化に合わせて待望の新装版刊行。 俺は今日から武士になるーー。 佐幕派と倒幕派が対立する幕末の激動期。 武州多摩のバラガキだった土方歳三は、近藤勇、沖田総司らとともに、 幕府徴募の浪士組にまじって、京へ向かう。 京都守護職御預の名のもと、「新選組」を結成。 副長・土方は厳しい局中法度を定め、類のない苛烈な軍事集団を創り上げ、 池田屋事件などで、世にその名を轟かせていくーー。 しかし、薩長同盟成立で、時流は一気に倒幕へ。 土方は最後まで激しく抵抗、夢と信念を貫き、江戸、会津、箱館へ向かう。 稀代の男の生涯を巧みな物語展開で描いた、傑作長編。 〈名著が一冊で読める、大変お得な決定版!〉 司馬さんによる「あとがき」、原田眞人監督による特別寄稿「そびえ立つ歴史的遺産『燃えよ剣』を映画化して」を収録。
土佐二十二万石の領主・長曾我部盛親は、関ケ原の戦いで西軍に組したため、一介の牢人の身に落ちた。謫居を京都に定めた盛親は、再起の野望を密かに育む。大坂冬ノ陣を機に立ち上がり、夏ノ陣に旧臣五千人とともに血戦へと臨むのだがー乱世の運命に翻弄された悲運の武将を鮮やかな筆致で描いた傑作!
乃木希典ー日露戦争で苦闘したこの第三軍司令官、陸軍大将は、輝ける英雄として称えられた。戦後は伯爵となり、学習院院長、軍事参議官、宮内省御用掛など、数多くの栄誉を一身にうけた彼が、明治帝の崩御に殉じて、妻とともに自らの命を断ったのはなぜか?“軍神”の内面に迫り、人間像を浮き彫りにした問題作。
清の八十翁・松齢の庭に突如咲いた一茎の黒い花。不吉の前兆を断たんとしたその時に現われたのは(黒色の牡丹)。人間稼業から脱し、仙人として生きる修行を続ける小角がついに到達した夢幻の世界とは(睡蓮)。作家「司馬遼太郎」となる前の新聞記者時代に書かれた、妖しくて物悲しい、花にまつわる十篇の幻想小説。
長州藩の下層の出ではあったが、天堂晋助の剣の天稟は尋常なものではなかった。ふとしたことから彼を知った藩の過激派の首魁高杉晋作は、晋助を恐るべき刺客に仕立てあげる。京で大坂でそして江戸で忽然と現われ、影のように消え去る幻の殺人者のあとには、常におびただしい血が残された…剣の光芒が錯綜する幕末の狂宴。
幕末の情勢は大きな曲がり角にさしかかった。中央から締め出され、藩領に閉じ込められた長州藩では、勤王党の高杉晋作がクーデターに成功。そして慶応二年、ひそかに薩摩藩と手をにぎり、藩を挙げて幕府との決戦に肚を固める。その緊迫した状況の下で、刺客晋助の剣は獲物を狙って冷酷にふるわれ続けたー。
織田信長の岐阜城下にふらりと現れた男。真っ赤な袖無羽織に二尺の大鉄扇、日本一と書いた旗を従者に持たせたその男こそ紀州雑賀党の若き頭目、雑賀孫市。無類の女好きの彼が信長の妹を見初めて……痛快長編。
木下藤吉郎に請われ、織田勢に荷担した孫市だったが、「信長にだまされた」と飛び出し、なんと信長最大の敵・石山本願寺の侍大将を引き受ける。信長に「尻啖わせ」、戦国を駆け抜けた快男児を活写する痛快長編。
貧農の家に生まれながら関白となり、位人臣を極めた豊臣秀吉の奇蹟の栄達は、その一族、縁者たちを異常な運命に巻き込んだ。平凡な彼らに与えられた非凡な栄誉と境遇は、ときに豊臣凋落の予兆となる悲劇をもたらす。甥・秀次、正室・北ノ政所、弟・秀長、妹・朝日、養子とした皇族や武将、そして大坂城に散った淀殿と秀頼。彼らの運命を描きながら、豊臣の栄華と衰亡の軌跡をたどる司馬文学の傑作。文字が大きく読みやすい新装版。
伊賀忍者の末裔で貧乏御家人の次男坊・柘植信吾は、小さな町道場・無一流指南練心館で代稽古を務めていた。ある日、道場に赴くと、用人格の老人が刺殺されていた。多くを語らない道場主と娘のちの。しかしこれが、巨万の財宝が秘蔵されているという熊野の隠し国・安羅井をめぐる壮絶な戦いの始まりだった。
公儀隠密を命じられた信吾は江戸から東海道を経て熊野の秘境へ向かう。安羅井国の財宝を独り占めしようとする紀州藩の隠密、幕府のお庭番が入り乱れるなか、信吾はついに安羅井国への道程を描いた丹生津姫草紙を手に入れる。凄惨な血闘の果てにたどり着いた地で信吾が見たものは?司馬伝奇長編の傑作。
怨霊や生霊の世界が身近にあった室町時代末期。六代将軍の落胤という熊野の源四郎は「将軍になろう」と、飢饉と戦乱で荒廃しきった京へ上る。都では八代将軍足利義政の御台所日野富子と、側室の今参りの局が権勢争いに明け暮れていた。その暗闘に巻き込まれた源四郎を、幻術師・唐天子の奇々怪々な幻戯が襲う。
薩長両藩が暗躍し、攘夷派の浪士たちが横行する、無政府状態に近い幕末の京。新たに京都守護職を命じられた会津の青年藩主・松平容保は、藩兵千人を率い、王城の護衛者として治安回復に乗り出すが、複雑怪奇な政治の術数に翻弄され…。表題作の他に、「加茂の水」「鬼謀の人」「英雄児」「人斬り以蔵」を収録。
戦国大名がしのぎを削った乱世の日本。その裏側で、忍びの者たちは熾烈な闘いを繰り広げていたーみじめな生活から逃れるべく伊賀を抜けた若き下忍の運命を描いた「下請忍者」、武田信玄が織田信長のもとに送り込んだ謎の忍者を取り上げた「忍者四貫目の死」、優れた術者二人が死力を尽くして対決する「伊賀の四鬼」等、司馬遼太郎が世に送り出した忍者小説五篇を収録した短篇集。文庫オリジナル。
驚異的技術と凄まじい職業意識を持つ怪人たち、伊賀忍者はいかにしてつくられどのように生きたか。城取り、後方撹乱、探索密偵等、戦国の武器として使いちらされた危険な傭兵、詐略と非情の上に成り立つ苛酷な働きが、歴史の動きに影響を与えた不思議な人間たちを、自在に描く短編等、魅力溢れる7編を収録。