著者 : 吉永南央
小蔵屋、まさかの閉店。 静かな時間が流れる、いつもの小蔵屋。 オーナーシェフだったバクサンが引退し、お祝いをするお草だが、心には一抹の不安が。 一つ、不審な間違い電話が相次いでいる。 もう一つ、久実の婚約者・一ノ瀬が8ヵ月以上も店に顔を出さないのだーー。 小蔵屋に、何が起こっているのか? 止まっていた時間が、動き出す。
殺された知人、生前の約束と怪しげな現金、最凶の男。お草は事件の全貌も分からぬまま少年と…逃避行を続けるふたりはどこへ?シリーズ第10弾。
朝の散歩の途中、“たすけて”と書かれたメモを拾ったお草。その日の夕、紅雲中の女子生徒が行方不明になる。その後、生徒は家出と判明し一件落着するが、では助けを求めているのは、いったい誰ー。
紅雲町にやってきた、親切と評判の五十過ぎくらいの男。ある日彼は小蔵屋を訪ね、草に告げた。「私は、良一なんです」草が婚家に残し、三歳で水の事故で亡くなった息子・良一。男はなんの目的で良一を騙るのか、それともー。
草が営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の頼れる店員・久実。ついに久実に訪れた春の予感に浮き立つ店に、衝撃のニュースが。元アイドルの女性が店の敷地内で暴行を受けたと訴え出たのだ。犯人は地元名士の息子。大騒動の町で気付けば久実は浮かぬ顔で…。暴行を受けたと訴え出た元アイドル。他にも被害者が?小さな町の大事件が小蔵屋の日常を揺るがせる。
「小蔵屋」を営むお草のもとに、旧友の初之輔から小包が届く。中身はかつて彼が書いた小説に絵を添えた巻物。お草はその小説を活版印刷の本にしようとして、制作を依頼した印刷会社の個人データ流出事件に巻き込まれ、さらに周囲の人々の“過去”を辿ることに…。お草さんの想いと行動が心に染みる一冊。シリーズ第6弾。
紅雲町では山車蔵の移転問題が持ち上がり、お草が営む小蔵屋の敷地が第一候補に。話し合いが必要だが、お草は母の言いつけで「うなぎの小川」とは絶縁状態で、話し合いができない。かつては親友だった女将と亡母の間に、なにがあったのか。紅雲町を歩き回るうち、お草は町全体に関わる重い事実にたどり着く。シリーズ第5弾。
コーヒー豆と和食器の「小蔵屋」店主・お草さんがふと思いたった、心躍る計画。やがて過去の事件の記憶を揺さぶってーヒットシリーズ第6弾。
誰も本当の名前を思い出せない、ただFと呼ばれる彼。会社の不正を知った43歳の容子は、Fだったら、と自問する。解体業を営む43歳の悦史は、高校でリンチに遭わせたFの言葉に今も囚われている。41歳の有輔は25年前、淫蕩な母をナイフで刺し殺そうとしていた自分を止めたFの一言を反芻していた。目撃談のように語られるそれぞれのFの記憶。人生において喪失は再生の始まりであることを描いた一筋の光のような美しい物語。
コーヒー陶と和食器の店「小蔵屋」の敷地に、山車蔵を移転する話が持ち上がった。祭りの音が響く真夏の紅雲町で、草は町全体に関わるある重大な事実に気づくー日常の奥に覗く闇にドキリとする、シリーズ第5弾。
紅雲町のはずれにある小さな商店街、通称「ヤナギ」が大家の発案で改装されることになった。手掛けるのは新進気鋭の女性建築家だという。長年の客で、数日前に店の前で車に轢かれそうになったお草も改装話を見守っていたが、関係者それぞれの“秘密”と思惑が絡んで計画は空中分解寸前にー。大好評シリーズ、待望の第4弾!
働かず、ひたすら酒代をせびる父から逃げるため、泥酔した父の前に農薬の小瓶をおいた青年・聖人。家から逃げ出した彼の前に現れた黒ずくめの女性・日和満。自らをヒワマンと呼ぶ彼女から旅の同行を頼まれた聖人は、ヒワマンとともに一度、家に戻るのだが…。仕事、親の介護、熟年離婚、そして日本という国が抱える病。人生の綻びに戸惑い、今に苦悩する人々が、ふとしたきっかけで、ヒワマンと出会い、新たな希望を見いだす様を描く、新次元のミステリ!
父が遺したアトリエ兼自宅で革製品の修理をして生計を立てている透子。十年前から止まっていた歯車が、婚約者だった男との再会によって動き出した。目を背けてきた過去と向き合う時、浮かび上がるのは「あの女」…彼女からすべてを奪った事件の真相を、アトリエに持ち込まれる品々にひそむ人間ドラマとともに描きだす。
タクシードライバーの千春には、正当防衛で人を死なせた過去があった。ある日、千春のタクシーを予約していた小学生が失踪する。その後少年の行方は判明したが、千春の過去に関連づけた噂が流れたため後味の悪さを残していた。さらに彼女の周りでは、不穏な出来事が相次ぐ。一体誰の、どんな思惑があるのか。
版画家の黒木が消えた。美しい蝶“ユリシス”の木版画を託された親友の善如寺は、黒木の才能を信じ、この「複数性に頼らない、絵画のような版画」を大切に守ってきた。だが18年後、善如寺は4枚もの複製の存在を知る。それらは偽物なのか?あるいは黒木に裏切られていたのか?衝撃を受けた善如寺が探偵に依頼した調査は、思わぬ人物へと波紋を広げてゆく。“信頼”と“希望”をめぐる傑作長編ミステリー。
紅雲町にある五軒だけの小さな商店街「ヤナギ・ショッピング・ストリート」。雨の日に、そこで落ちていた手紙を拾おうとしたお草は、黒い外車にひかれそうになり、電器店の店先にあるレアなマスコット人形「ドリーム坊や」を壊してしまう。小蔵屋の従業員・久実は、電器店がその修理代金をお草に請求したことに憤慨するのだが…。シリーズ第四弾。
小蔵屋を営むお草は、新聞記者の萩尾の取材を手伝って以来、萩尾と、彼のライフワークである民俗学の師匠・勅使河原、その娘のミナホのことが気にかかっている。15年前のある“事件”をきっかけに、3人の関係はぎくしゃくしているらしいのだ。止まってしまった彼らの時計の針を、お草は動かすことができるのか。好評第3弾!