著者 : 吉永南央
小蔵屋、まさかの閉店。 静かな時間が流れる、いつもの小蔵屋。 オーナーシェフだったバクサンが引退し、お祝いをするお草だが、心には一抹の不安が。 一つ、不審な間違い電話が相次いでいる。 もう一つ、久実の婚約者・一ノ瀬が8ヵ月以上も店に顔を出さないのだーー。 小蔵屋に、何が起こっているのか? 止まっていた時間が、動き出す。
お草が営む珈琲豆と和食器の店・小蔵屋が、高名な映画監督の新作の撮影候補地になった。店員の久実や常連客たちは色めき立つが、お草は店の通常営業ができなくなると、乗り気になれない。だが監督と面会すると、その件とは別に、お草は別のお願いをされる。彼に大きな影響を与えた古い映像作品を作った、ある無名の男を捜してほしいというのだ。わずかな情報とおぼろな記憶を頼りに、お草は男の姿を追うがーー。彼はいったい誰なのか? 第一章 雨だれの標本 第二章 別のお願い 第三章 狐雨は嵐の晩に 第四章 消えた場所まで 第五章 たずね人の午後
一度は売ったものの手放したことを後悔していた帯留めが戻ってきたと、旧知の東京のアンティークショップから連絡をもらったお草。早速その店に向かうが、そこで耳にしたのは顔なじみのバーの雇われ店長が殺されたらしいという話だった。生前に彼と約束を交わしていたお草はそれを実行に移すが、その後、新幹線で何者かに追われている様子の母親と少年と隣り合わせる。そして、その少年を預かることになるがーー。 殺された知人、生前の約束と怪しげな現金、最凶の男……。事件の全貌もわからぬまま少年と逃避行を続けるお草は、どこへ行くのか? 第一章 長い約束 第二章 メジャーと竹尺 第三章 湖に降る 第四章 神様の羅針盤、くまの寝息 第五章 薔薇色に染まる頃
コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む杉浦草は、秋のある日、道端で「たすけて」と書かれたメモを拾う。 折しも紅雲町では女子中学生が行方不明中。メモと関連づけ、誘拐・監禁を視野に警察も動き出すが、直後に少女は家出とわかる。そして、無関係なメモの件は放置される。 腑に落ちないお草は周辺をあたり、独居の老女が自宅で倒れているのを発見、救助する。ところが数日後、留守のはずの老女宅に人の気配を感じてーー。 親の介護や「8050問題」に悩む人びとに、お草さんの甘いだけではなく厳しさも伴う言動は響くのか。 人気シリーズ第9弾! 第一章 昼花火 第二章 桜が一輪 第三章ストーブと水彩絵の具 第四章 コツン、コツン 第五章 月夜の羊
累計65万部突破! 人気シリーズ第8弾。 5月。お草が営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の近所のもり寿司は、味が落ちたうえ新興宗教や自己啓発セミナーと組んでの商売を始め、近頃評判が悪い。店舗一体型のマンションも空室が目立ち、経営する森夫妻は妻が妊娠中にもかかわらず不仲のようだ。その様子を見て、お草は自らの短かった結婚生活を思い出したりしている。 そんな折、紅雲町に50歳過ぎの男が現れる。新規事業の調査のためといって森マンションに短期で入居している男は親切で、街中で評判になっていた。 その男が、お草のもとにやってきた。店の売却・譲渡を求められるのかと思ったお草に対し、男は自分は良一だ、と名乗る。 良一とは、お草の息子。夫や婚家との折り合いが悪く、お草が一人で家を出た後、3歳で水の事故で亡くなったはずだった。だがその男によると、じつは良一は助け出されたものの、父と後妻の間に子供が生まれて居場所がなくなり、女中だったキクの子として育てられたという。その証拠として、お草と別れた夫との間で交わされた手紙や思い出の品を取り出して見せるーー。 男の言うことは本当なのか、本当に我が子なのか。お草の心は千々に乱れるーー。 嘘は、人生の禍となるが、救いとなることもあるーー。甘いばかりではなく苦みを伴いつつ、深い味わいのある佳品。
草が営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の頼れる店員・久実。ついに久実に訪れた春の予感に浮き立つ店に、衝撃のニュースが。元アイドルの女性が店の敷地内で暴行を受けたと訴え出たのだ。犯人は地元名士の息子。大騒動の町で気付けば久実は浮かぬ顔で…。暴行を受けたと訴え出た元アイドル。他にも被害者が?小さな町の大事件が小蔵屋の日常を揺るがせる。
北関東の小さな町で、珈琲豆と和食器の店「小蔵屋」を営むおばあさん、お草さん。 彼女の周囲にあたたかく描かれる人間の営み、日常にふと顔をのぞかせる闇が読む者を引き込む大人気シリーズ第6弾。 秋のある日、草のもとに旧友の初之輔から小包が届く。中身は彼の書いた短い小説に、絵を添えたものだった。 これをきっかけに初之輔と再会した草は、彼のために短編を活版印刷による小本に仕立て贈ることにした。そんな中、本作りを頼んだ印刷会社が個人データ流出事件に巻き込まれ、行き詰まる印刷会社を助けることに。その過程で、お草は印刷会社周辺の人々の過去に触れ、ある女性の死にまつわる“不可解”を解きほぐすことに……。 「一つほぐれると、また一つほぐれてゆくものよ」--逃した機会、すれ違い、あきらめた思いーー長い人生、うまくいくほうがまれだったけど、丁寧に暮らすのが大切。 お草さんの想いと行動が心に染みる珠玉の一冊。
北関東の小さな町で、コーヒー豆と和食器を扱う店「小蔵屋」を営むおばあさん、杉浦草。 人生経験と、丁寧に紡いできた人間関係を通して、街で起こる事件のあれこれを解決に導いてきたが、ある日、町の山車蔵の移転問題がもちあがり、小蔵屋の敷地が第一候補に。 町内の話し合いが必要だが、草は亡き母の遺言で「うなぎの小川」にだけはこの二十年行くことができず、移転問題の話し合いが思うようにいかない。 かつては親友だった「うなぎの小川」の女将とお草の母の間に、一体なにがあったのか。祭りの音が響く真夏の紅雲町を歩き回るうち、お草は町全体に関わる過去のある重い事実にたどり着く。 ほっこりとあたたかな日常の奥に覗く闇がドキドキさせる、ヒットシリーズ第5弾。
北関東の小さな町で、珈琲豆と和食器の店「小蔵屋」を 営むおばあさん、お草さん。 彼女の周囲にあたたかく描かれる人間の営み、日常に ふと顔をのぞかせる闇が読むものをグイグイ引き込む大人気シリーズ第6弾。 秋のある日、草のもとに旧友の初之輔から小包が届く。中身は彼の書いた短い小説に、絵を添えたものだった。 これをきっかけに、初之輔と再会した草は、彼の苦しかった人生を元気づけるために、彼の短編を活版印刷による小本に仕立て贈ることにした。この本を作るために小さな印刷会社と関わり、個人データ流出事件に遭遇。行き詰まる印刷会社を助けることに。草の働きによって、印刷会社周辺の人々の記憶までもが明るく塗りかえられてゆく。 「一つほぐれると、また一つほぐれてゆくものよ」--逃した機会、すれ違い、あきらめた思いーー長い人生、うまくいくほうがまれだったけど、丁寧に暮らすのが大切。 お草さんの想いと行動が心に染みる珠玉の一冊。
誰も本当の名前を思い出せない、ただFと呼ばれる彼。会社の不正を知った43歳の容子は、Fだったら、と自問する。解体業を営む43歳の悦史は、高校でリンチに遭わせたFの言葉に今も囚われている。41歳の有輔は25年前、淫蕩な母をナイフで刺し殺そうとしていた自分を止めたFの一言を反芻していた。目撃談のように語られるそれぞれのFの記憶。人生において喪失は再生の始まりであることを描いた一筋の光のような美しい物語。
コーヒー陶と和食器の店「小蔵屋」の敷地に、山車蔵を移転する話が持ち上がった。祭りの音が響く真夏の紅雲町で、草は町全体に関わるある重大な事実に気づくー日常の奥に覗く闇にドキリとする、シリーズ第5弾。
紅雲町のはずれにある小さな商店街、通称「ヤナギ」が大家の発案で改装されることになった。手掛けるのは新進気鋭の女性建築家だという。長年の客で、数日前に店の前で車に轢かれそうになったお草も改装話を見守っていたが、関係者それぞれの“秘密”と思惑が絡んで計画は空中分解寸前にー。大好評シリーズ、待望の第4弾!
働かず、ひたすら酒代をせびる父から逃げるため、泥酔した父の前に農薬の小瓶をおいた青年・聖人。家から逃げ出した彼の前に現れた黒ずくめの女性・日和満。自らをヒワマンと呼ぶ彼女から旅の同行を頼まれた聖人は、ヒワマンとともに一度、家に戻るのだが…。仕事、親の介護、熟年離婚、そして日本という国が抱える病。人生の綻びに戸惑い、今に苦悩する人々が、ふとしたきっかけで、ヒワマンと出会い、新たな希望を見いだす様を描く、新次元のミステリ!
父が遺したアトリエ兼自宅で革製品の修理をして生計を立てている透子。十年前から止まっていた歯車が、婚約者だった男との再会によって動き出した。目を背けてきた過去と向き合う時、浮かび上がるのは「あの女」…彼女からすべてを奪った事件の真相を、アトリエに持ち込まれる品々にひそむ人間ドラマとともに描きだす。
「紅雲町珈琲屋こよみ」の著者が放つ書き下ろしサスペンス! タクシードライバーの千春には、正当防衛で人を殺した過去があった。ある日、客の小学生の行方が分からなくなり、千春にも疑いが…。
版画家の黒木が消えた。美しい蝶“ユリシス”の木版画を託された親友の善如寺は、黒木の才能を信じ、この「複数性に頼らない、絵画のような版画」を大切に守ってきた。だが18年後、善如寺は4枚もの複製の存在を知る。それらは偽物なのか?あるいは黒木に裏切られていたのか?衝撃を受けた善如寺が探偵に依頼した調査は、思わぬ人物へと波紋を広げてゆく。“信頼”と“希望”をめぐる傑作長編ミステリー。
観音様が見下ろす街で、珈琲豆と焼き物のお店『小蔵屋』を営む、おばあさんの杉浦草。常連客からは親しみを込めて、「お草さん」と呼ばれている。その『小蔵屋』がある紅雲町にある疏水のそばに、ぽつんとある商店街というには小さな「ヤナギショッピングストリート」がある。そこへ、雨の日に買い物に出かけたお草さんは、さみしそうな男が落としていった手紙を拾おうとして、黒い車にひかれそうになり、誤って電器店の店先にあるマスコット「ドリ坊」を壊してしまう……。 電器店の店主の五十川からは、高額の弁償を迫られるが、商店街の他の人たちが間に入り、弁償の件は棚上げとなる。しかし、草が気がかりなのは拾った手紙のほうだった。 手紙の「帰っておいで」の文字は、水ににじんで、器の牡丹餅の景色のよう。それは、一体、誰から誰への手紙なのか。そして、小さな商店街にもある〈秘密〉があった。 北関東の地方のある街を舞台に、老若男女が織りなす日々を「小さな謎」を軸に、たおやかに描き出した、コーヒーのように、すこしビターな味わいの短編集。 「小蔵屋」のお草さんが活躍する「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ第四弾。
大好評「紅雲町のお草」シリーズ第三弾! 新聞記者、彼の師匠である民俗学者、そしてその娘。ある事件をきっかけに止まった彼らの時間を、お草さんは動かすことができるのか?
北関東のとある地方都市の一角、観音さまが見下ろす街、紅雲町で、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む気丈なおばあさん、杉浦草。人々を温かく見守り続ける彼女は、無料のコーヒーを目当てに訪れる常連たちとの会話がきっかけで、街で起きた小さな事件の存在に気づいていく人気シリーズ第三弾。今回は、お草さんが、コーヒーを仕入れるミトモ珈琲商会が、紅雲町のある街に出店を計画。ミトモでは、二代目の若手女性社長・令が紅雲町をリサーチしていた。珈琲豆の仕入れに不安を感じたお草さんは、懇意であるミトモ初代社長に相談へ行くが、社長になった娘の令と、彼女をサポートする井(い)との対応で、逆に三友から相談されてしまう(「長月、ひと雨ごとに」)。紅雲町の青果店に持ち上がった産地偽装問題を記事にしようと、意欲に燃えている新聞記者の萩尾。だが、事件の背景には、意外な事情があった。萩尾の元の雇い主で、お草さんのコーヒーの師匠であるレストラン「ポンヌフアン」であるバクサンこと寺田博三は、正義感が先行し、ややあぶなかったしい萩尾を心配して、青果店と同じ町に住むお草にお目付け役を依頼する(「霜月の虹」)。お草は、この事件を通して、草の友人である由紀乃のいとこのかつての夫で、萩尾の民俗学の師匠である勅使河原先生と、その娘の美容師・ミナホとも関わることになる。草から見る、萩尾とミナホの関係は、どこかギクシャクとした不思議な関係だった。そんななか、勅使河原先生に論文盗用の疑惑が持ちあがる。そして、論文盗用疑惑をきっかけに、三人の止まっていた時が動き出そうとしていた……。「萩を揺らす雨」でブレイクした著者が、お草さんと彼女をとりまく街の人々の生活を通して、四季を描きつつ、お草さんならではの機転と、ささやかな気配り、そして豊富な人生経験から、小さなトラブルを解決していく滋味あふれる短編連作小説集。