著者 : 吉沢康子
1857年秋、看護婦のヘスターは新聞の広告に応じ、エディンバラの名家の女主人、メアリの旅行の付き添いを請け負った。メアリは心臓に持病を抱えており、薬の飲み忘れは命に関わる。ヘスターは指示通りに薬を飲ませたが、翌朝、彼女はこときれていた。殺人の罪を着せられ起訴されたヘスターの絞首刑を防ぐには、裁判で無実を証明するしかない。緊迫感に満ちた傑作法廷ミステリ!
ニューゲイト監獄に送られたヘスターの絞首刑を防ぐため、真犯人を突き止めようとファラリン家を調べるモンク。だが、手がかりは皆目つかめない。さらに頼みの綱である法廷弁護士ラスボーンは、スコットランドで裁判が開かれるため、ヘスターの弁護人として法廷に立つことができない。窮地に追い込まれたヘスターを救う手立ては?そして裁判を経て明らかになる事件の真相は?
町ごと大火で焼失したグラストンベリー大修道院の墓地から、国王ヘンリー二世の命により掘り出された二体の人骨。それは伝説のアーサー王とその妃のものなのか?住み慣れた町を追われた女医アデリアは王に依頼され、供を連れ骨の鑑定に赴くが、途中まで一緒だった友人エマの一行は消息を絶ち、目的地でも数々の危難が待ち受ける…。CWA最優秀歴史ミステリ賞シリーズ第三弾。
セアは、故郷デスティニーに帰ってきたくはなかった。10年前、父に反抗して家を出た彼女は、いまやサンフランシスコで超売れっ子のインテリア・コーディネーター。弟の自殺の報せがなかったら、二度とこの地に戻ることはなかった。だが弟の死には他殺の疑いもあると知り、真相を突き止めるまで、「運命」という名のこの町に留まることに…。父と子の絆をめぐる本格ラヴ・サスペンス。
セアは、父の工場の顧問弁護士ベックと情熱のおもむくままに激しいキスを交わしてしまった。甘い恋の罠に落ちていく彼女の心は乱れる。労働環境の悪化が進む工場では、従業員の事故が相次いでいるというのに、心惹かれる彼は鬼のような経営者、父の側の人間なのだ。やがて労働争議が始まった。そして、兄のクリスが弟殺しの容疑者としてあげられて…。灼熱の愛に燃える野心作。
16世紀英国。幽閉中の王女エリザベスは、伯母が何者かに命を狙われていることを知り、密かに脱出した。が、駆けつけた直後、伯母は毒を盛られて殺されてしまう。哀しみのなか、男装して身分を隠したエリザベスは犯人を追うが、彼女の身辺にも危険な罠が!陰謀渦巻く時代、勇気と気品を兼ねそなえた若き日のエリザベス1世が、果敢に謎に挑む本格ミステリ。
カール・ハーボールドの脱獄が、ブルーワー郡を恐怖に陥れた。退職を迎えた保安官エズィー・ハージの脳裏からは、カールたちの犯行とされた暴行殺人事件の謎が今も離れない。牧場主デルレイ・コービットも状況を憂慮して、流れ者のジャック・ソーヤーを雇い入れた。デルレイの義娘で耳の不自由な未亡人アンナは、一粒種デイヴィッドとの平穏な生活を根底から揺さぶられてゆくー。
デルレイは世を去り、土地の買収を目論む開発会社と銀行の圧力は日増しに強まる。カールとその一味は近隣に恐怖を振りまきながら、ブルーワー郡へと迫る。ジャックを慕う息子デイヴィッドの姿に戸惑いながらも、アンナはジャックと力を合わせて牧場と生活を守る決意を固める。そして、対決の時はやってきた。かつての忌まわしい事件の真相と、それぞれの秘密が明かされる時がー。
わたしは耳が不自由。だけど言葉を話せるし、読唇術などを駆使して女性新聞記者として多忙な毎日を送っている。そんなわたしのもとに前町長の未亡人が訪れ、行方不明の妹を捜す広告を依頼してきた。だがその夜、広告は突然キャンセル、翌朝、彼女は死体で発見された。保安官は自殺と見るが、死体のポーズが気になるわたしは密かに調査を始めるー研ぎ澄まされた感性で事件を追うコナーの活躍を描くマカヴィティ賞受賞作
銃撃され、診療所に駆けこんだフリーのパイロット、キイ・タケット。診察に当たった女医ラーラは、かつて上院議員だったキイの兄とスキャンダルを起こし、その失脚と謎の死の原因を作った張本人だった。ラーラがあえてタケット家の近隣で開業した目的は、キイの腕を借りて内戦状態のモンテサングレに密入国し、わが子の遺体を取り返すことだった。
試合では万年二位の中距離走者の高校生・ジョンは、ある日、林の中で新種の蝶を見つける。小さな製材の町の運命さえ変えてしまうかもしれないこの蝶の出現で、ジョンは友人、町の人まわりのすべてとぶつかってしまう。不治の病に冒された父親とも-。淡い初恋に胸を焦がし、将来を思い悩みながら、大人への一歩を踏み出していく17歳を瑞々しく描いた青春小説。
夢も見ない眠りから覚めたとき、彼は病院の寝台に横たわり、すべての記憶を喪っていた。自分がウィリアム・モンクという名の刑事だと知らされた彼は、病状を隠して職場に復帰したが、そこで割りふられたのは、万全の態勢で臨んでさえ解決困難と思わせる難解な殺人事件だった…。十九世紀ロンドンに孤立無援の警部が展開する、自分探しと真相究明の旅。時代ミステリの決定版。
サンドラの場合、19歳。美しく、憐れだった。悲惨な子ども時代。体を売るのが商売。そして夜の小路で殺された。わたしは、キャット・マーサラ、TVのリポータ。おしゃべりなオウムとシカゴで暮らしている。チャンネル3から依頼されたテーマは、売春婦。女性裁判所でサンドラと知り合い、彼女たちのリポートをするうちに、犯人を追跡する羽目に。
カレン・ニューマンはニューヨークに住む有能な会社役員。ハロウィーンの夜、彼女は娘と電話でおしゃべりを楽しんでいた。ところが、その途中で娘の家にチンピラ集団が押し入り、残忍なレイプのあとで娘を殺害する。この犯罪の一部始終を電話で聞き、伝聞証人となったカレンだが、アメリカの法は彼女に冷たかった。カレンはやがて、実質的に犯人を守ることもある法に業を煮やし、自讐という考えにとりつかれていく。かつて、ほのかな恋心をいだいたFBIマンを敵にまわし、みずからスパイとなってまで、自讐活動にのめりこむカレン。はたして、その行く末は…。都市暴力に悩まされる現代女性の心理をこまやかに描く、サイコロジカル・サスペンス・スリラー。