著者 : 吉浦澄子
緑の蔦に覆われた大学の古い建物、深い霧に包まれる森。東部ヴァーモント州の大学に編入した主人公リチャードは、衒学的なモロー教授のもとで古代ギリシアの世界に耽溺する学生五人と知り合う。そしてある夜、バッコス祭の神秘を再現する熱狂の中で凄惨な事件が起こった。美と恐怖と狂気が彼らを駆り立てるー『罪と罰』を彷彿とさせる傑作長編小説!
事件を知り、農夫の死に疑いを持った一人の学生が、四月の雪の夜に崖から転落した。音信が途絶えた息子を探す両親。町中が狂奔し、古代ギリシア語クラスの学生たちにもFBIの捜査が入った。密議を重ねながらも、しだいに精神の平衡を失ってゆく四人。そしてリチャードにも危機が…。世界が注目する作家のデビュー長編!
事故以来、人間嫌いになったジェシカは孤独な殻の中に逃避、ロペス島に犬と暮らしている。ルークの脳裡には、いつもジェシカがいる。このジェシカへの想いは何なのか?もう一度ロペス島に飛んだルークは、逃げる彼女に真実をぶつけた。二人に一週間の時間が流れ、ジェシカに愛の歓びと生きる力が蘇った。だが彼女は、ルークに黙ってシドニーへと旅立つ。大人の愛の行方は…。
演出家のルークは、祖母コンスタンスの遺品にあった手紙に心を奪われていた。それは、舞台女優の祖母が愛弟子として慈しみ育てた、ジェシカの24年間にわたる親交の手紙だった。スターの道を歩む34歳のジェシカを襲った6年前の列車事故。彼女の人生は暗転した。ルークは、ジェシカが住むロペス島に飛んだが、かいま見た彼女の容貌にショックを受け、心痛の思いでその場を立ち去る…。
上流社会に育ったアッシュブルック家の令嬢ヴァレリーは、恋愛と結婚を切り離し、学生時代の恋人ニックと別れた。シビルは、子供の頃から羨望の眼差しでヴァレリーを見ていたが、ある事件で大学を除籍になり、彼女への復讐からニックと結婚する。しかし野心に燃える彼女は、ニックと息子を捨て、50も年上の実業家に近づき再婚。今、夫の死で、シビルは遺産を相続し笑いが止まらない…。
人を憎み利用するだけで愛を知らないシビルの目的は、ヴァレリーの全財産を奪い破滅させることだ。ヴァレリーは、銀行家の夫と別れ、最近、カールトンと再婚、自分の財産管理を夫に一任していた。その夫がヴァレリーの全財産を担保に借金をして急死。破産したヴァレリーは学生時代の恋人ニックと再会する。そして、資産家の未亡人になったシビルは、カールトンと密会していた…。
刑事専門の弁護士ダンはフィラデルフィアに法律事務所を開いている。ダンはマラと別れた日に、スーザンと出逢い、いつしか孤独なふたりは恋に落ちていた。ヘラルド新聞の社主ピーターは自社の売却を考え、妻スーザンの強い反対にあい彼女と別居、共有財産とひとり娘の養育権までも奪おうと妻を破滅させるためにあらゆる手段を用いた。が、ある日、泥酔して階段から落ち死亡した…。
ピーターの死は他殺であると、一族のボルター家の人々は、殺人犯として妻のスーザンを告発した。ヘラルド新聞の女社主になったのも束の間、スーザンはダンに弁護を依頼、ダンは一瞬、躊躇したが彼女の弁護を引き受けた。恋人でもあるスーザンの無罪を立証するための調査をしていくうちに、ボルター家のスキャンダルが暴かれていく。そしていま、思いもよらぬ真実が明るみに出る…。
クレア・マロイはよく事件に巻きこまれ、警察もいやがるほど見事に解決してしまう書店の店主。今度も娘のキャロンとともに亡夫の故郷ルイジアナへ、マロイ家の女当主である姑の八十歳の誕生祝いに赴くが、遺言書の発表を前に車椅子ごと沼にはまって当主は死んでしまう。警察は事故死とみるが、クレアは遺言書にからまる殺人事件だとして乗り出した。
アメリカ南部の名家キング牧場の長女グレイスは、学生時代に恋の虜になったエディと結婚。28歳の今、35歳の夫と、やはり乗馬に夢中の愛娘と3人で完璧な人生を歩んでいた。そして運命が彼女を狂わせる。ある昼下がりの路上で、夫が赤いドレスの女と情熱的なキスをしているのを見てしまった。二人に愛の亀裂が走る。ジュリア・ロバーツ主演による同名映画のノヴェライゼーション。
アニーが17歳、ローレル11歳の時にオスカー賞大女優の母親がアル中自殺をした。アニーは、弾みから継父をオスカーの像で欧ってしまい自分を慕っている妹を連れてニューヨークへ家出をした。伯母とのめぐりあいで貧乏せずに姉妹は美しい娘に成長していた。姉はチョコレート作りの名人をめざしパリへ、妹は画家になる夢をいだき、そして、ふたりはひとりの男ジョーに思いを寄せた。
ローレルは18歳の美しい娘時代に妊娠、ジョーの憐憫にも似た愛情からローレルは未婚の母を免れた。妹の幸福を思えば二人の結婚を祝福したい…だがアニーの心は虚しかった。世界中のチョコレート業者が注目するコンクールに準優勝したアニーは事業に成功。そしてパリ時代からアニーを愛していたエメットが、彼女の子供時代の懐かしい家ベル・ジャルダンを買い戻す準備をしていた。
色の浅黒いローズと色白のレイチェルは同じ病院で生れた。誕生と同時に両親を亡くしたローズは、貧乏に耐え意地悪な祖母に仕え苦学して弁護士になり、レイチェルは、家族の愛情に包まれて贅沢に育てられ医者になった。情熱的な二人の出生の秘密を握るシルヴィの苦悩。愛の時が流れ、ローズの恋人ブリアンと男に裏切られたレイチェルは、ベトナムの戦地で運命の出会いをした…。
恋人ブリアンからの手紙はローズに届かず消息が絶たれた。九死に一生を得たブリアンとレイチェルは地獄のベトナムから奇跡的に脱出し強い愛の絆で結ばれた。作家となり成功した彼の幸福な結婚に絶望したローズが、過去の卑劣な男の報復で訴えられたレイチェルを弁護するという運命の皮肉。そして出生の秘密を明かすシルヴィ。二人の現代女性の真実の愛と友情を見事に描いた長編。
ボストンの老舗の紅茶会社テンプルトン・ティー社。その女社長ミネルバ・テンプルトンの80歳の誕生日に、16年前、従兄のトラビスとの結婚を反対され、喧嘩別れ同然にミネルバのもとを去っていった孫娘のデリラが帰ってきた。引退するミネルバの後継者の座を目指し、かつて愛しあっていたトラビスとデリラは激しく競いあう。ボストンの名門一家を舞台に描く、危険な愛と野望のドラマ。
トラビスとの愛を祖母に引き裂かれ、ひとりロサンゼルスに旅立ったデリラ。彼女はハーブティーの会社を設立し、祖母譲りの経営の才能を存分に発揮して、女実業家として大成功をおさめた。夫と死に別れ、成熟した大人の女性としてボストンに戻ってきたデリラの心は、危険なかおりをふりまく昔の恋人トラビスと彼女を優しく見守る彼の弟ニックとの間で激しく揺れ動く。愛の大河ロマン。
英国政府が矯正不能な男達を集めて大西洋の孤島に作った流刑地サート。そこではファーザーと呼ばれる男が指揮する規律ある集団ヴィレッジとアウトサイダー達が抗争を繰り広げていた。その陰で密かに進む脱出計画。そこに送られたラウトリッジを待つ運命は…。無実の罪に陥れられ、絶望のどん底に突き落とされながら、過酷な流刑地で人間として成長していく男の姿を描いた冒険小説。