著者 : 国枝史郎
英傑英傑
時代を越え愛される維新最大の功労者、西郷隆盛ー。西郷と入水した月照の死の真相(「悲恋 犬神娘」)。熊本城で官軍を勝利に導いた司令官夫人の活躍(「谷干城夫人」)。西南戦争の天王山・田原坂(「田原坂合戦」)。西郷の副将・桐野の熱き忠誠(「賊将」)。薩摩軍が発行した軍票秘話(「西郷札」)。西郷は生きていた?!芥川の意外な逸品(「西郷隆盛」)。謎多き偉人、その知られざる生涯を旅する傑作集。
蔦葛木曽桟(上)蔦葛木曽桟(上)
時は室町の末。木曽の領主・義明に愛妾として迎えられた遊女の鳰鳥には、秘めた大望があった。イスパニア司僧であった父を惨殺した義明への復讐である。兄の御岳冠者もまた御岳山中深く一党を率いて仇の隙をうかがっていた。兄妹の怨念が数多の妖士怪人を呼び集め、風雲まさに急を告げるとき、妖異壮大な物語の幕は開く。
八ケ岳の魔神八ケ岳の魔神
秘峰八ケ嶽を舞台に、姫をめぐる兄と弟の愛の確執と惨酷な結末が、果てもなく続く一族の血塗られた歴史の発端だった。憎悪は憎悪を呼び、復讐は復讐を生む。山窩族と水狐族に分れて争う末裔たちの呪詛と怨嗟の叫びは、時空を越え、いま大江戸の夜に凄然と谺する。近代劇作の手法もとりこんだ卓抜な構想力と無類の空想力で妖美幻想の世界を拓き、国枝三大伝奇長編の一つと評される豊饒な成果。
神州纐纈城神州纐纈城
武田信玄の寵臣土屋庄三郎は、夜桜見物の折に老人から深紅の布を売りつけられる。これぞ纐纈布。古く中国で人血で染めたとされる妖しい布だ。この布が発する妖気に操られ、庄三郎がさまよう富士山麓には、奇面の城主が君臨する纐纈城や神秘的な宗教暖が隠れ棲み、近づく者をあやかしの世界に誘い込む。怪異と妖美のロマンを秀麗な筆致で構築し、三島由紀夫をも感嘆させた伝奇文学の金字塔。
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