著者 : 坂口安吾
文明開化の明治の世に次々起こる怪事件。その謎を鮮やかに解くのは英傑・勝海舟と青年探偵・結城新十郎。果たしてどちらの推理が的を射ているのか? 安吾が描く本格ミステリ12編を収録。
風 博 士 傲慢な眼 姦淫に寄す 不可解な失恋に就て 南 風 譜 白 痴 女 体 恋をしに行く 戦争と一人の女〔無削除版〕 続戦争と一人の女 桜の森の満開の下 青鬼の褌を洗う女 アンゴウ 夜長姫と耳男 解 説(七北数人)
文明開化の世に次々と起きる謎の事件。それに挑むのは、紳士探偵・結城新十郎とその仲間たち。そしてなぜか、悠々自適の日々を送る勝海舟も介入してくる……世相に踏み込んだ安吾の傑作エンタテイメント。
詩人・歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まった様々な男女。邸内に異常な愛と憎しみが交錯するうちに、血が血を呼んで、恐るべき八つの殺人が生まれたーー。第二回探偵作家クラブ賞受賞作。
“戯作者”の精神を激しく新たに生き直し、俗世の贋の価値観に痛烈な風穴をあける坂口安吾の世界。「堕落論」と通底する「白痴」「青鬼の褌を洗う女」等を収録。奔放不羈な精神と鋭い透視に析出された“肉体”の共存ー可能性を探る時代の補助線ー感性の贅肉をとる力業。
なぜ、それが“物語・歴史”だったのだろうかーー。おのれの胸にある磊塊を、全き孤独の奥底で果然と破砕し、みずからがみずから火をおこし、みずからの光を掲げる。人生的・文学的苦闘の中から、凛然として屹立する“大いなる野性”坂口安吾の“物語・歴史小説世界”。 ●桜の森の満開の下 ●梟雄 ●花咲ける石
“余は偉大なる落伍者となって歴史のなかによみがえる”雪の国新潟の教室の机に彫って上京し、あえて、孤独な自己鍛練の世界に彷徨する、“精神の巨人”坂口安吾の繊細にして豪放、聖にして俗の、ダイナミックな自伝世界。 ●女占師の前にて ●おみな ●孤独閑談 他