著者 : 坂口安吾
東の大国・今川の脅威にさらされつつ、西の新興勢力・織田の人質となって成長した少年時代。秀吉の命によって関八州に移封されながら、関ヶ原の戦いを経て征夷大将軍の座に就いた苦労人の天下人。その生涯と権謀術数を、名手たちの作品で明らかにする。
日常という名の虚偽に人一倍敏感だった坂口安吾は常に自分の現実を物語に変容させた。そう、安吾のファルスは現実を一度完全に解体してナンセンス化し、再構成する知性の働きが秀逸なばかりでなく、不条理でありながら拒絶よりも許容する雅量が光っているのだ。急き立てられるように書き続け、陶酔と分析、あくまで解剖する視線を失わない孤独の深淵を描いた作品群に、耽溺したい!
戦後の新聞小説『花妖』の原型は、戦前に書かれていた!安吾が生涯追い求めた長篇のヒロイン“雪子”。その名を持つ魔性の女を描いた、新発見小説「残酷な遊戯」と“安吾文学の一つの頂点”と評される「花妖」オリジナル版など花粉舞い散る妖かしの系譜をたどる作品群。
昭和22年9月、小田原の成金倉田家に、白衣姿の異形の傷痍軍人が現れた。片手片脚、両眼がつぶれ口もきけないその男は、外地から復員した倉田家の次男安彦と思われたが、その翌晩、倉田家を惨劇が襲う。そして、五年前の倉田家長男親子の轢死事件が浮上するー。安吾の途絶作を、名匠高木彬光が巨勢博士の活躍で見事に完成させた傑作。
絶体絶命の一匹狼たち! 血沸き肉躍る対決と冒険 英雄か悪魔か、狂気か死かーー 虚々実々の戦いをくりひろげるダークヒーローたち。 安吾のエンターテインメント精神がバクレツする痛快小説集。 全集未収録の掌篇「復員」を含む全6篇。 復員 決闘 金銭無情 現代忍術伝 保久呂天皇 左近の怒り
「私はあなたの言葉よりもオナラの方が好きでした」 読んで笑って何が悪い!? シュールなホラ話「風博士」で登場した文壇の異端児ANGOの、 抱腹絶倒おバカ短編傑作選。 全集三収録の掌篇「新伊勢物語」を含む全20篇 【収録作品】 風博士/村のひと騒ぎ/総理大臣がもらった手紙の話 天才になりそこなった男の話/禅僧/盗まれた手紙の話/新伊勢物語 大井広介という男/居酒屋の聖人/母の上京/わが戦争に対処せる工夫の数々 出家物語/無毛談/行雲流水/幽霊/牛/餅のタタリ 目立たない人/握った手/お奈良さま/人生案内
本格推理にして本格文学。安吾ミステリが『不連続殺人事件』だけではもったいない!同じくあの巨勢博士が活躍する「選挙殺人事件」「正午の殺人」、元奇術師・伊勢崎九太夫がいい味を出す「心霊殺人事件」「能面の秘密」。そして、あずかり知らぬわが涙かなー傑作「アンゴウ」…。知的パズルの面白さも存分に発揮した全10篇。
背徳と愛欲の魔界へ引きずりこむ、異形の物語集。 説話風幻想小説「閑山」「紫大納言」「桜の森の満開の下」「夜長姫と耳男」の4篇を収録するほか、 全集以外では読めなかった異形の傑作「女剣士」「落語・教祖列伝」を収録。 その他関連数エッセイ数篇も併収した、全18篇。
安吾が描く、孤絶のバガボンドたち。全3巻完結編! 《目次》 道鏡 道鏡童子 柿本人磨 源頼朝 真書 太閤記 島原一揆異聞 島原の乱雑記 島原の乱 第一稿 猿飛佐助 草稿 わが血を追う人々 天草四郎 勝夢酔 安吾下田外史 安吾武者修行 馬庭記念流訪問記 花さける石 道鏡 道鏡童子 柿本人磨 源頼朝 真書 太閤記 島原一揆異聞 島原の乱雑記 島原の乱 第一稿 猿飛佐助 草稿 わが血を追う人々 天草四郎 勝夢酔 安吾下田外史 安吾武者修行 馬庭記念流訪問記 花さける石
敗戦後の昭和二十年代、そして高度経済成長と新左翼運動の昭和四十年代。世を根底から疑い、これに背を向け、あるいは反逆しようとする「デカダン文学」なるものが、とりわけこの二つの時代を中心に現れ出た。頽廃、厭世、反倫理、アナーキー、およびそこからの反転。昭和期のラディカルな文学的実践十三編を照射し、その背後に秘められた思想的格闘を巨視的に読みなおす。
安吾の「本当の凄さ」は歴史小説にあるー。2018年8月から12月にかけて、全3巻刊行予定!(解説・七北数人) ■第一巻収録作品 ・梟雄・織田信長・二流の人〔九州書房版〕・我鬼・直江山城守・小西行長・家康・狂人遺書・鉄砲・エライ狂人の話・イノチガケ ■第二巻『信長』18年10月頃刊行予定 ■第三巻『真書太閤記』18年12月頃刊行予定
探偵小説を愛し、戦争中は仲間と犯人当てゲームに興じた安吾。本作は著者初の本格探偵小説にして、日本ミステリ史に輝く名作である。その独創的なトリックは、江戸川乱歩ら専門作家をも驚嘆せしめた。山奥の洋館で起こる殺人事件。乱倫と狂態の中に残された「心理の足跡」を見抜き、あなたは犯人を推理できるか?自らの原稿料を賭けた「読者への挑戦状」を網羅。感涙の短篇「アンゴウ」特別収録。
突然の兇行、横たわる死体、立ちはだかる大きな謎。もはや解決不能と思える難事件を、明晰な頭脳で鮮やかに解き明かしていく名探偵たちの推理を、とくとご堪能あれ。歴史ある日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリー界が誇る作家六名が生み出した名探偵たちの活躍を収録した珠玉作短編集シリーズ第六弾。
ノスタルジーと夢魔を宿す遙かなるメルヘン群。ある日一郎君のところに届いたふしぎな手紙「どんぐりと山猫」。金色の輪の少年が導く死の世界「金の輪」。不条理なリンチの慣わしがある奇妙奇天烈な村の物語「鬼涙村」。憎むべき論敵・蛸博士への復讐がたくらまれるナンセンス物語「風博士」。他全59編。
戦後無頼派の代表的作家・坂口安吾の代表作と、酒にまつわる小説・エッセイ等を多数収録したオリジナル作品集。戦後の文壇に新風を吹き込んだ「堕落論」などのエッセイはじめ、「白痴」「桜の森の満開の下」などの代表的小説、GHQの検閲により削除された幻のエッセイ「特攻隊に捧ぐ」、安吾、太宰、織田作が女について奔放に語る鼎談「歓楽極まりて哀情多し」収録。
【2025年2月現在、新本が定価(2,200円+税)で購入可能】 「私は生き生きと悲しもう。」(「ふるさとに寄する讃歌」より) ほとばしる才気、あふれ出る詩情、青い安吾がここにいる。 坂口安吾の詩情あふれる初期の作品を中心に、これまであまり単行本に収録されてこなかった、埋もれた名作・佳作を集成。 散文詩を思わせる言葉の連なりが美しい「ふるさとに寄する讃歌」を皮切りに、狂気をはらむ親友の死を描いた「長島の死」、壮絶な恋愛小説「花火」、ユーモラスなどんでん返しが鮮やかな「無毛談」、妻と親友への疑心が意外な結末へとつながる感動の名作「アンゴウ」、安吾流ファルスの到達点ともいえる「保久呂天皇」など、29作品を収録した。 ※七北数人氏を監修者に迎えた「シリーズ 日本語の醍醐味」は、“ハードカバーでゆったり、じっくり味わって読みたい日本文学”をコンセプトに、手に汗握るストーリーではなく、密度の濃い文章、描写力で読ませる作品、言葉自体の力を感じさせる作品を集成してゆきます。 ふるさとに寄する讃歌 〔翻訳〕ステファヌ・マラルメ──ヴァレリイ Piérre Philosophale 傲慢な眼 山麓 山の貴婦人 宿命のCANDIDE 長島の死 淫者山へ乗りこむ 流浪の追憶 母を殺した少年 お喋り競争 手紙雑談 山口修三宛書簡 夏と人形 南風譜 閑山 紫大納言 囲碁修業 探偵の巻 市井閑談 二流の人(抄録) 我鬼 花火 無毛談 アンゴウ 死と影 日月様 保久呂天皇 解説/七北数人