小説むすび | 著者 : 坂本憲一

著者 : 坂本憲一

ブラック・ベティブラック・ベティ

1961年のロサンゼルス。ホワイトハウスには若きジョン・F.ケネディ大統領がいて、南部ではマーティン・ルーサー・キング牧師を指導者にして黒人解放運動が燃えさかっていた。ブラック・アメリカの新しい夜明けが叫ばれるなかで、黒人の私立探偵イージー・ローリンズは不動産投資に失敗し、破産状態に近かった。親友マウスも五年の刑期を終えて出所していた。四十一歳になったイージーにとって、この五年は悲惨な日々だった。親友が酒場の路地裏で人を撃ち殺すところを目撃した彼は、悪夢に悩まされた。しかも、可愛い子供がふたり残ったものの、妻のレジーナは自分のもとを去っていた。そんな彼のもとに、人捜しの依頼がもちこまれた。捜す相手はなんと“ブラック・ベティ”ことエリザベス・イーディ。イージーがテキサス州ヒューストンの少年時代に憧れ、はじめて異性にめざめさせられた年上の女であった。ベヴァリーヒルズの大富豪の家で働いていた彼女の行方を捜すことは簡単に思われたが、事は連続殺人へと発展していき…。セピア色のロサンゼルスを舞台に黒人の私立探偵イージー・ローリンズの活躍を描く人気ハードボイルド・シリーズ、『ブルー・ドレスの女』『赤い罠』『ホワイト・バタフライ』に続く第四弾。

嵐の絆嵐の絆

大西洋横断ヨット・レース優勝などで名を馳せ、いまは造船所を経営している英国の冒険家ブラックバーンは、愛する妻が殺されたことを知った。二人一緒に帆走に出かけるはずだった船が、偶然妻が一人で乗っているあいだに何者かによって爆破されたのだった。警察の推理を聞いて、ブラックバーンは耳を疑った。遺産相続を狙った、娘のニコルの仕業ではないかというのだ。そんなはずはない、と彼は激しく否定した。勇敢なヨット乗りだったニコルは、双子の弟が死んでから不安定になり、ある日過激な環境保護組織〈ジェネシス〉に身を投じると宣言して出奔したまま消息を絶っていた。そんな折、核実験への抗議運動を報じる新聞写真の中にニコルが写っているのをブラックバーンは発見した。いまや残されたただ一人の家族への思いに衝き動かされ、娘に会うため、彼は旅立ちを決意する。それが、神のつくった最後の土地、嵐吹きすさぶパタゴニアの海まで続く苛酷な闘いの旅になるとは知らずに…。英国冒険小説の新旗手が放つ、白熱の冒険サスペンス。

黄金の島黄金の島

英国の名優の息子ニック・ブレークスピアは、父親に反発して海兵隊に入ったが、いまはバハマでチャーター船の雇われ船長をしている。美人でインテリのクルー、エレンとともに長い航海に出ることを夢見ていたニックは、ある日弾痕だらけの遺棄船に遭遇する。船上にあった海図に書き込まれていたルートは、マーダー・ケイ(殺しの島)という悪名高い麻薬ファミリーの巣窟で途絶えていた。それからほどなく、ニックはアメリカの上院議員クラウニンシールドの子供たち、リッキーとロビン-アンを船客として迎えることになった。2人は麻薬中毒で、クルージングに出ることによって使用を断とうというのだ。ところがリッキーとしめしあわせた麻薬の運び屋たちが船を襲って兄妹を奪い去り、ニックの航海士は銃撃戦のさなかに殺されてしまった。官憲さえも麻薬密輸組織には手を出さないバハマで、ファミリーに闘いを挑む決意をしたニック。やがてマーダー・ケイが炎の戦場と化す時が来た。『ロセンデール家の嵐』で人気沸騰のコーンウェルが、またもや送る堂々の英国冒険小説。

ロセンデ-ル家の嵐ロセンデ-ル家の嵐

港々を渡り歩いて気ままな“海のジプシー”暮らしを楽しんでいたジョン・ロセンデールは、母危篤の知らせを受け、故国イングランドへ向かった。じつは、彼は第28代ストウィ伯爵-没落した伯爵家から4年前に逃げ出した当主であった。彼の出奔は、1枚の絵が原因だった。ヴァン・ゴッホの初期の「ひまわり」。母の所有になるその絵は、逼迫した一族を救えるほどの価値のある傑作だったが、4年前に盗まれていた。疑いは絵の保管場所に入ることができたジョンにかけられた。身に覚えのない彼は、一族の白い目に耐えられず海へと逃げ出したのだった。母の死後、残された唯一の財産は精神薄弱である末の妹ジョージーナのための信託基金だけだった。ところが、それさえもジョンの双子の妹エリザベスが狙っていて、もし非情なエリザベスが後見することになれば、愛するジョージーナはどんな扱いを受けるかわからない。行方不明のヴァン・ゴッホを見つけ、コレクターに譲り渡して、ジョージーナの人生を守る。そう決意した彼だったが、何者かに命を狙われる羽目に…。ストーリーテラーの冒険サスペンス。

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