著者 : 堀川アサコ
碓井ヒカルは歌舞伎町「アリア」のナンバー1ホスト。ある日、店の太客から「鬼の腕」なる謎の干物をネットオークションに代理出品するよう持ちかけられたヒカルは、半信半疑でそれに応じる。すると「鬼の腕」は、なんと一千万円で落札されてしまった。ときを同じくして、ヒカルは道ばたでカイという不思議な少女に呼び止められる。指示されるままに古書店で一冊の仕掛け絵本を購入すると、それは例の「鬼の腕」にまつわる平安時代の「渡辺綱の鬼退治」の物語でー。カイに連れられ、本の中へダイブしたヒカルの運命は?元気がでるおとぎ話、爆誕!
北日本のとある地方都市の一角に建つ、時間旅行者しか泊まることのできないなぞのホテル、「はなぞのホテル」。そこで働く新米の桜井千鶴は、このたびホテル系列の犬カフェへ出向して、過去や未来からやってくるお客様(徳川将軍からロボットまで!?)を必死でもてなすことに。けれど、闇ルートで違法時間旅行をする悪党の影が、彼女のドタバタで平和な日常に忍び寄りつつあった!時間旅行者が経営する犬カフェに勤める桜井千鶴のほっこりでどたばたなタイムトラベルミステリー。
東京から逃げ帰った、元女優のタクシー運転手・和子は、イタコの祖母・鯛子と同居しながら、青森でスローライフを送っている。小学校教師で、従姉の薫は、いじめ問題に悩みつつ勤めている。この物語は、霊能力の持ち主である鯛子の活躍を描くーのではなく、和子と薫の独身女子二人組が、「花嫁人形真っ二つ事件」ほか諸々の謎に挑む、少々頼りない探偵譚にして、不器用な恋の物語。恋愛や仕事にちょっと疲れぎみの貴女を癒やす、ハートフルストーリーの開幕!
うさぎ通り商店街の老舗「丸亀不動産」のただ一人の社員・美波は「視えるひと」。女社長は入居者が出て行くアパートの原因究明に彼女を送り込むが、生来気が弱く除霊能力もない彼女には何もできない。でも、娘へ大切なことを伝えるため現れた両親と弟、妻に謝りたかった高齢の男性、結婚式ソングがかかる部屋で死んだ男性等、それぞれの切ない事情に、美波は立ち上がる!人と幽霊をつなぐ、泣いて笑える新感覚お仕事小説。
生徒を見捨てる校長を殴ってクビになった。恋人に告げると、彼女の両親から婚約破棄を申し渡された。でも彼女からは夢だった弁当屋を一緒にやろうと言われ…。そんなとき、オレがAVに出ていると元生徒たちに告げられた。しかし、それはオレそっくりな従弟だった。親が自慢するエリートだったはずのヤツが何故?両親には言えない秘密を抱えた男たちの悲喜交々を描く、渾身作!
理不尽な要求をする客と無茶な仕事を押しつける酷い上司に我慢が出来ず、五年勤めた会社に辞表を突きつけたミノリ。この先、どうしようかと思案していたときに入り込んだ神社で「巫女募集」の貼り紙を見つけ、飛びついた。同じ頃、キャバクラ勤めの生活に不安を抱えていた李花は、神主に一目惚れし、「巫女募集」に応募する。ミノリと李花、二人が直面する参拝者たちの様々な事情とは…。
青森の闇市を牛耳る香具師の親分、江藤勝治には双子の娘がいた。奔放な姉と内気な妹。あるとき、妹の恋する男が父の怒りを買って蔵に閉じ込められる。男を助け出すという妹に、「魔法使ひってのが、居るらしいよ」と姉は言ったー。焼け跡の町。謎の殺人事件。妖しくも美しい昭和ミステリー。
昭和39年、東北の小さな町。叔父が月賦でカラーテレビを買い、民子も家族も大興奮。学校では憧れの夏美のグループに誘われ天にも昇る思いだったが、クラスで爪弾きにされているるみ子の存在が気になっていた。彼女が東京に転校する日、「友だち」だと言われ、民子は思わず涙をこぼす。顔なじみの町内に起きる、悲喜こもごもな出来事。テレビの映像は東京オリンピックの開会式。時代が変わっても懐かしい「昭和お茶の間」物語。
恋人が出ていった部屋で自殺を図った多聞は、気がつくと死神たちの村にいた。だが死神は多聞は実は死んでいないという。現世に戻るため「寝台特急ひとだま」に乗りある人を捜すよう言われるが…。一方、多聞の「死」の真相には、兄が関わっていた。二人きりで生きてきた兄と弟の、感動物語。
都の姫が立て続けに殺された。その体には何者かに食われた痕が。怨霊か、化生の仕業か、それとも人かー犯過人の首には千貫文の賞金が懸けられる。そのころ、散楽舞の小槌丸は右大臣の御曹司が実の兄であると知り、密かに入れ替わりを企てていた。兄の名は、月夜彦。怖ろしくも妖しい、王朝ダークファンタジー。
中学生の小寺音々は、神社のフリーマーケットでお目当ての本と間違えて、一冊の古い仕掛け絵本を買ってしまう。ところがこの本、古書店に売り払っても学校の本棚に置いて帰っても、必ず音々のもとに戻ってくる怪奇ストーカー本で、ついには勝手にページがめくれ、中から錬金術師の末えいを名乗る黒ワンピース姿の少女カイが現れた。現実世界と絵本の世界のはざまで、マイペースな魔女っ子カイに振り回される音々と従弟のタカユキ。果たして摩訶不思議な事件に巻き込まれた多感な中学生は、ひと夏の大冒険で「今よりもうちょっと幸せ」になれるのか?
届けられなかった思いを載せた手紙が届く登天郵便局と、幽霊専門の案件を扱うたそがれ探偵社を舞台に、この世とあの世の間に漂う六つの謎を解く、シリーズ初の短編集。謎の向こうに見えてくるのは切ない過去か、くすぶる怨念か。ちょっぴり怖くてのちほっこり。今を大切にしたくなる温かな物語。
北日本のとある都市でひっそりと営業する『はなぞのホテル』。所在を明かせぬこのホテルには、たった一つだけ約束事があった。それは、過去ないし未来から来た“時間旅行者”しか宿泊させないこと。ホテルの新米従業員になってしまった一般人・桜井千鶴は、過去から未来からやってくるお客様を必死でおもてなしするのだが。ほっこりでどたばたな時空ホテルには、今日も何かが起こる!
杜の都、仙台にはかわいくてお天気屋な幽霊がいる。永遠の十七歳(なぜなら死んでいるから)お鈴さんである。江戸時代の幽霊だが、地下鉄も自在に乗りこなし神出鬼没。OLのカエデに取り憑き、奉公人扱いをするなど、やりたい放題。だが事件と聞けば放っておけず、首を突っ込むお人好しでもある。カエデたちを巻き込んでは、仙台の街を駆け回る。お鈴さんのいくところ、事件あり!?読むと元気をもらえる、優しい幽霊の物語。
亡霊も涙すると評判の琵琶法師・芳一。足利義詮の前で弾き語りを始めるや、尼の霊が出現、義詮が姿を消す。親友を人質に取られた芳一は、義詮を探すよう命じられるが、事件の裏には日の本を揺るがす“北条文書”の存在があった。いつしか芳一は文書をめぐる陰謀にまきこまれることに。痛快歴史ファンタジー!
杜の都、仙台で暮らす村田カエデ27歳。ぽっちゃり体型の優しい彼氏あり。地元の信金勤務の平凡な人生を送っていたーお鈴さんに出会うまでは。彼女は超がつくわがままお嬢さま。さらに問題なのは幽霊であること!?でもお人好しで憎めない、変わった幽霊なのだ。困った人を放っておけず騒動ばかり引き起こす。今日もカエデたちを巻き込み大騒ぎに!?楽しく笑い、ほろりとさせられる。読んだ後に優しい気持ちになれる物語。
昭和のお茶の間には笑いと涙がありました。茶の間の主役はテレビ、みんな揃って夢中で見ていた。ご近所さんの話で花が咲き、我が家のことのように心配する。そんな町全体が家族のような時代の、あたたかいお話。
地方都市のしがない学芸員として働く手島沙良は、仕事の途中で体長15センチの謎の小さなおじさんを発見する。彼の名は槇原伝之丞。孤独な人間にしか見えない存在だという。なりゆきでその願いを叶えるハメになった沙良だがー。ひょんなことから出会ったイケメンは訳ありで、街に伝わる河童伝説が蘇ったり、あげく殺人事件発生?彼女の平凡な日常は今、涙とともに変わり始める。
父亡き後、試衛館の内弟子となった宗次郎。並外れた剣の才で頭角を現す中、美少年殺しが横行、魔の手は親友の藤吉にも及ぶ。道場でどんなに強くても、友の仇一つとれない。抱えた葛藤は、宗次郎の胸に暗い影を落とす。どこにでもいる一人の普通の少年は、いかにして“沖田総司”となったのか。