著者 : 多崎礼
四大名家の嫡男・レオナルドは佳き少年だった。生まれよく心根よく聡明な彼は旧市街の夏祭りに繰り出し、街の熱気のなか劇場の少女と出会う。-そして真実を知り、一族が有する銀夢草の畑を焼き払った。権力が生む欺瞞に失望した彼の前に現れたのは、片脚をなくした異母妹・ルクレツィアだった。孤島城におわす不死の御子、一面に咲き誇る銀夢草、弾を込められた長銃。夜明け前が一番暗い、だがそれは希望へと繋がる。兄妹は互いを愛していた。きっと、最期のときまで。
手つかずの自然が残る最後の聖地・カネレクラビス。ツァドキエルとの激闘を制し、セラは記憶と声を取り戻した。そして、自らが歌姫であることを思い出したのであった。“本の姫”とアンガスらはセラの無事を知らせるため、彼女の故郷であるカネレクラビスを訪れるが、そこでも文字による災いが起きていてー。一方、“本の姫”は文字を回収する度に蘇る記憶に悩まされていた。「私は何者なのだろう。なぜ私は世界の滅亡を望んだりしたのだろう」物語は終章へ、変えられない過去を背負い、前に進むあなたのためのファンタジー。
イオディーン山の麓、岩石砂漠にある町・「青い石」。この地では、稀に生まれる白髪碧眼の者を『天使還り』と呼び、忌み嫌う習慣があった。容姿のせいで嫌われ、逃げるように町を出た少年・アンガス。7年の時を経て、彼は“本の姫”と共に捨てたはずの故郷へと向かう。それは、呪われた文字を回収するため、そして、病床の母を救うためだった。一方、バニストンでアンガスの帰りを待つ少女・セラは、彼の過去を知りー。天使の災いvs.歌姫の祈り。大切な人を想うあなたのためのファンタジー。
二つの月が浮かぶ、ソリディアス大陸。自分ではない“誰か”の記憶を持つ少年・アンガスは本に宿った謎の女性・“本の姫”と共に旅をする。旅の目的は大陸に散った邪悪な文字を探し、回収すること。人々は文字の魔力によって凶暴になり、各地では災厄が起きていた。荒野を貫く鉄道に乗り、不思議な力を持つ歌姫たちに出会い、滅びた天使の遺跡を巡るアンガスらを待ち受けるものとはー。
ルミニエル座の俳優アーロウには双子の兄がいた。天才として名高い兄・リーアンに、特権階級の演出家から戯曲執筆依頼が届く。選んだ題材は、隠されたレーエンデの英雄。彼の真実を知るため、二人は旅に出る。果てまで延びる鉄道、焼きはらわれた森林、差別に慣れた人々。母に捨てられた双子が愛を見つけるとき、世界は動く。
名家の少年・ルチアーノは屋敷を何者かに襲撃され、レーエンデ東部の村にたどり着く。そこで怪力無双の少女・テッサと出会った。藁葺き屋根の村景や活気あふれる炭鉱、色とりどりの収穫祭に触れ、ルチアーノは身分を捨てて、ここで生きることを決める。しかし、その生活は長く続かなかった。村の危機を救うため、テッサは戦場に出ることを決める。ルチアーノと結婚の約束を残してー。封鎖された古代樹の森、孤島城に住む法皇、変わりゆく世界。あの日の決断が国の運命を変えたことを、二人はまだ知らない。大人のための王道ファンタジー。
聖イジョルニ帝国フェデル城。家に縛られてきた貴族の娘・ユリアは、英雄の父と旅に出る。呪われた地・レーエンデで出会ったのは、琥珀の瞳を持つ寡黙な射手・トリスタンだった。空を舞う泡虫、乳白色に天へ伸びる古代樹、湖に建つ孤島城。その数々に魅了されたユリアは、はじめての友達、はじめての仕事、はじめての恋を経て、やがてレーエンデ全土の争乱に巻き込まれていく。
どこまでも続く広大な砂漠の果て、そこには古今東西の知識のすべてが収められ、至りし者が神に等しい力を手にできる図書館があるというー長い旅路の末、たどり着いた旅人がひとり。鎖に縛められたその扉を開かんとする彼に守人は謎をかける。鎖は十本、謎も十問。旅人は万智の殿堂へたどり着けるのか!?知の冒険へ誘う傑作長篇!
血の価値を決める三属性ー明度、彩度、色相ーによる階級制度に支配された巻き貝状の都市国家ライコス。その最下層にある唯一の酒場『霧笛』で血液専門の探索業を営むロイスのもとに、少年ルークの捜索依頼が持ち込まれた。だが両親だと偽る男女は、事件の核心部分を語ろうとしない。価値ある血を持つと思われる少年に自らの過去の因縁を重ねたロイスは調査を始めるが、それは国家を揺るがす陰謀の序章に過ぎなかった。