著者 : 多田智満子
火火
神話や伝説を自由に変奏した9つの物語からきこえてくる、〈或る内的危機の報告書〉。瞑想と空想との大胆な交錯、神話的古代への嗜好、また古代的に美化された同性愛への偏愛を謳う、詩的アフォリズムを散りばめた初期の短篇小説。 パイドラー あるいは絶望 アキレウス あるいは嘘偽 パトロクロス あるいは運命 アンティゴネー あるいは選択 レナ あるいは秘密 マグダラのマリア あるいは救い パイドーン あるいは眩暈 クリュタイムネーストラー あるいは罪 サッポー あるいは自殺 「この本が決して読まれぬことを望む」 ー J’espère que ce livre ne sera jamais lu. 「私たちの間には、愛よりもっとよいもの、共犯性がある」 ー Il y a entre nous mieux qu’un amour : une complicite.
ハドリアヌス帝の回想ハドリアヌス帝の回想
ローマ帝国を未曽有の繁栄に導いた哲人皇帝の崇高なデカダンス。真の享楽主義として濶達に生きた皇帝の瞑想的な魂の遍歴。美青年アンティノウスへの溺愛。皇帝みずから語る歴史論・文明論であり、詩であり、人生論である。澄んだ意識のフィルターを通したひとつの人生と帝国の歴史。
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