著者 : 夢枕獏
大鳳に心をあずけながら九十九に惹かれていく深雪。小田原に帰り着いた大鳳は抱き合う2人を目にしてしまう。獣と化した自らの顔を深雪にさらし、立ち去る大鳳。一方、小田原に現れた第3のキマイラ、巫炎は雲斎の元を訪れ大鳳と久鬼の居場所を聞く。彼は敵なのか、味方なのかー。そして肉体の調査をさせてほしいというボックと争いになった久鬼。2人を止めるように登場した僧衣の男、狂仏の正体とは?大展開の第8弾!
独覚菌を植え付けられ、獣の姿に変貌し、獣化兵と呼ばれる者は既に十一名いたが、御門周平は人間の姿を保ったまま。いわば、ニュータイプの獣化兵なのであった。強大な兵器ともいえる彼をめぐって、さまざまな組織による争奪戦が開始。マヤの末裔ラカンドン族に導かれ、メキシコに渡った御門は、かつての恋人一ノ瀬京子の姿を追い求めるが、新発見の油田の利権争いに巻き込まれてしまう。著者渾身のノンストップ伝奇アクション超大作。
第3のキマイラ・巫炎が日本に上陸。同じくキマイラ化した肉体を有する大鳳吼と久鬼麗一に会うために姿を現した巫炎は、大鳳を追う異能の格闘家・宇名月典善と激突する。一方、雲斎と九十九は麗一の父・玄造からキマイラの謎の一端を明かされる。「キマイラとは人類が捨ててきたあらゆる可能性の源」。その言葉の意味とは?そして、ついに対峙した大鳳と麗一。ためらう大鳳に、麗一は闘う理由を作ったと告げるがー。
1924年6月8日、世界初のエヴェレスト登頂目前で姿を消した登山家、ジョージ・マロリー。彼の登頂の可否は、登攀史上最大の謎となった。鍵を握る古いコダックーマロリーのカメラをカトマンドゥの裏町で手に入れた写真家の深町は、カメラに誘われるようにその男に出会う。孤高の登山家、羽生丈二。数々の難所に挑み伝説となった男は、挫折を経て失踪していた。羽生の命を賭けた最後の挑戦とは?山岳小説の最高峰!
世界的な難所、グランドジョラスでの単独行で滑落、負傷しながら奇跡の生還を果たし、伝説となった羽生丈二。カトマンドゥで別人として生きる男が狙うのは、エヴェレスト南西壁、前人未到の冬期無酸素単独登攀!導かれるように羽生に邂逅した深町は、彼を追ってエヴェレストに入る。羽生の挑戦の行方は?深町が目撃したものとは?山に賭ける男たちの姿を描ききり、柴田錬三郎賞に輝いた夢枕獏の代表作!
キマイラに立ち向かおうとする久鬼麗一。惑い、街を彷徨する大鳳。キマイラを操る秘薬、ソーマの謎を握る由魅。そして麗一と大鳳を捕らえるため、異形の武術家宇名月典善と手を組んだ久鬼玄造。一方、雲斎はキマイラの謎を知るための手がかり、鬼骨にたどりつくべく凄絶な禅定に入る。己のすべてを賭けた雲斎がそこで目にしたものはー。やがて追い詰められた大鳳に、再び覚醒の時がやってくる。動乱のシリーズ第5弾!
丹沢山中で相見えた大鳳と久鬼。大鳳の眼の前で、久鬼は己のキマイラを制御してみせる。共に闘おうと差し伸べた手を拒絶された久鬼は、ある企みを持ち、織部深雪のもとへ。一方、龍王院弘を退け、己の殻を破った九十九。誘惑され脇田涼子を抱くが、深雪への思いは募る。そして行き場を失った大鳳は渋谷の街を彷徨うー。龍王院対ボック、久鬼対菊地、久鬼対九十九。闘いは加速し、物語は大きくうねる。怒涛のシリーズ第4弾!
都のあちらこちらに楽しげに現れては、伽羅の匂いを残して消える不思議の女がいた。露子姫の前にも姿をみせたという話を晴明が耳にした翌日、蜘蛛の巣に妙なものがひっかかったと僧が訪ねてきた。早速、博雅と寺に赴き、蝶のようなそれを放した晴明が知ることとなった女の正体とは?「はるかなるもろこしまでも」他、全九編。
大鳳と久鬼を案じる雲斎はキマイラの正体を探るべく、単身台湾へ発つ。そこには鍵を握る第3のキマイラ「巫炎」がいた。八位の外法ー鬼骨の車輪とは?一方、キマイラ化した大鳳と対峙した九十九。己の肉体に疑問を持ち始め悩む九十九の前に、気を操る謎のアメリカ人、フリードリッヒ・ボック、異能の格闘家・龍王院弘と次々に強敵が。キマイラを巡り熾烈さを増す争いのなかで、九十九の修羅の道は続くー。激動の第3弾!
大鳳の目の前で異形の幻獣に変じ、闇の中に消えた久鬼。『このキマイラは、あなたの中にもいるのですよ』久鬼の言葉は、大鳳の心に深い影を落とした。キマイラとは何なのか。自分もやがて久鬼のようになってしまうのか…。大鳳はついに、自分に想いを寄せる美少女・深雪の心配をふりきり、ひとり丹沢山中に姿を隠した。一方、九十九と雲斎は、久鬼の父親が何かを知っているのではと疑うがー。著者渾身の“生涯小説”第2弾!
身体の奥に潜む獣に貪り喰われるーそんな悪夢を見る以外は、ごく平凡な日々を送っていた美貌の高校生・大鳳吼。ある事件をきっかけに「自分に正直に生きるため強くなりたい」そう思った大鳳は、同じ高校に通う九十九から紹介された円空拳の使い手・雲斎に弟子入りし、見る見るうちに強さを手に入れていく。だが学園を支配する上級生・久鬼麗一との出逢いは、彼を数奇な宿命へと誘っていく。著者渾身の“生涯小説”ついに登場!
美貌の貴公子・光の君の妻である葵の上に、妖しいものが取り憑く。六条御息所の生霊かと思われたが、どうやらそれだけではないらしい。並の陰陽師では歯がたたず、光の君はついに、外法の陰陽師・蘆屋道満に調伏を依頼するがー。「獣の首をした王が、黄金の盃で黄金の酒を飲みながら哭いているーこれ、なーんだ?」葵の上に憑いたものが出したこの謎々は、一体何を意味しているのか。いまだかつてない源氏物語が、幕をあける。
安倍仲麻呂が遺した手紙により、空海たちが知った事実。それは、かつて玄宗皇帝が楊貴妃を処刑せざるを得ない状況に陥った際、道士・黄鶴の提案に従って尸解の法を用い、楊貴妃を仮死状態にして難を逃れようとしたが、あえなく失敗したというものだった。一方、青龍寺の恵果のもとに、妖しい影ー黄鶴の弟子であった白龍が現れる。白龍は順宗皇帝を呪殺し、唐王朝を完全に滅ぼすと予告する。中国伝奇小説の傑作、第3弾。
宦官・高力士が、死の直前に安倍仲麻呂へ遺した手紙には、楊貴妃の出自にまつわる、さらなる驚愕の事実が記されていた。黄鶴、白龍、丹翁…さまざまな人の想いと呪いが交錯した果てに、いま、順宗皇帝は呪法によって瀕死の状態に陥っていた。呪法の正体を暴くよう依頼された空海は、逸勢や白楽天、大勢の楽士や料理人を率い、玄宗皇帝と楊貴妃ゆかりの地ー驪山の華清宮へと向かった。中国伝奇小説の傑作、ついに完結。
盟友・橘逸勢らと共に、遣唐使として長安に入った若き僧・空海。密教の真髄を「盗みにきた」と豪語する空海は、ありあまる才で多くの人を魅了していく。一方長安では、奇怪な事件が続いていた。役人・劉の屋敷に猫の化け物が取り憑き、皇帝の死を予言したという。噂を聞いた空海と逸勢は、劉家を訪れ妖猫と対峙することに。その時から2人は、唐王朝を揺るがす大事件にかかわることになるー!中国伝奇小説の傑作ここに開幕。
妖猫に取り憑かれた劉家の妻が唄った歌。それが、およそ60年前、詩仙李白が玄宗皇帝の寵妃・楊貴妃の美しさを讃えた詩だと知った空海と逸勢は、偶然知り合った後の大詩人・白楽天と共に馬嵬駅へ行き、楊貴妃の墓を暴くことに。だが驚くべきことに、そこには妖しい呪がかけられていたうえ、石棺の中に楊貴妃の姿はなかったー。そんな空海に、謎の方士・丹翁は「このことは忘れよ」と警告するが…?中国伝奇小説の傑作、第2弾。
「くれぐれも他言してはなりませぬぞ」妖怪との約定を違えた男の運命やいかに。安倍晴明の呪がさえわたる。若き陰陽師と笛の名手・源博雅が平安の京に起こる怪事件を解決する大好評シリーズ。