著者 : 夢枕獏
明治になって衰退する柔術界に、新星のごとく「講道館流」が誕生した。提唱者は文武二道の達人、嘉納治五郎である。技のたゆまざる追究と人間教育への情熱によって、「姿三四郎」のモデルとされる志田(西郷)四郎ら「四天王」がめきめきと頭角を現す。若き気概に充ちた、闘う漢たちの壮大な物語が、いま幕を開ける。
柔術王国たる九州では、古流柔術の猛者たちが激突し、全国一の規模を誇る関東の揚心流戸塚派は、新興の講道館に激しく対抗心を燃やす。新しい時代、この国で覇をとなえるのは誰なのか?運命の「警視庁武術試合」を前に、闘いはいよいよ激しさを増す。
昔の記憶を甦らせてくれないか?いいのかい?頼む…。御門周平は、呪師チムの力によって東亜大学の研究者であった竹島丈二としての記憶を取り戻した。ああ、おれは泣いているのか。その瞬間の心の隙に、マヤの末裔ツァ・コルに、意識を乗っ取られてしまった。友のため、恋人のため、御門=竹島はそれでも疾駆する!ユカタン半島に谺する雄叫び。伝奇アクション、遂に堂々完結!
大鳳に心をあずけながら九十九に惹かれていく深雪。小田原に帰り着いた大鳳は抱き合う2人を目にしてしまう。獣と化した自らの顔を深雪にさらし、立ち去る大鳳。一方、小田原に現れた第3のキマイラ、巫炎は雲斎の元を訪れ大鳳と久鬼の居場所を聞く。彼は敵なのか、味方なのかー。そして肉体の調査をさせてほしいというボックと争いになった久鬼。2人を止めるように登場した僧衣の男、狂仏の正体とは?大展開の第8弾!
独覚菌を植え付けられ、獣の姿に変貌し、獣化兵と呼ばれる者は既に十一名いたが、御門周平は人間の姿を保ったまま。いわば、ニュータイプの獣化兵なのであった。強大な兵器ともいえる彼をめぐって、さまざまな組織による争奪戦が開始。マヤの末裔ラカンドン族に導かれ、メキシコに渡った御門は、かつての恋人一ノ瀬京子の姿を追い求めるが、新発見の油田の利権争いに巻き込まれてしまう。著者渾身のノンストップ伝奇アクション超大作。
キマイラとは人間が捨ててきたあらゆる可能性の源。雲斎に相見えた玄造によって、キマイラの謎の一端が語られる。一方、対峙する大鳳と久鬼。闘いをためらう大鳳に、久鬼は闘う理由を作ったと告げるがーー。
天賦の才を持つ岩壁登攀者、羽生丈二。第一人者となった彼は、世界初、グランドジョラス冬期単独登攀に挑む。しかし登攀中に滑落、負傷。使えるものは右手と右足、そしてーー歯。羽生の決死の登攀が始まる。
世界的な難所、グランドジョラスでの単独行で滑落、負傷しながら奇跡の生還を果たし、伝説となった羽生丈二。カトマンドゥで別人として生きる男が狙うのは、エヴェレスト南西壁、前人未到の冬期無酸素単独登攀!導かれるように羽生に邂逅した深町は、彼を追ってエヴェレストに入る。羽生の挑戦の行方は?深町が目撃したものとは?山に賭ける男たちの姿を描ききり、柴田錬三郎賞に輝いた夢枕獏の代表作!
キマイラに立ち向かう久鬼麗一。惑い、町を彷徨する大鳳。一方、二人の師、雲斎はキマイラの謎を知る手がかり、鬼骨に辿り着くべく凄絶な禅定に入る。己のすべてを賭けた雲斎がそこで目にしたものは。
丹沢山中で相見えた大鳳と久鬼。大鳳の眼の前で、久鬼は己のキマイラを制御してみせる。共に闘おうと差し伸べた手を拒絶された久鬼は、深雪のもとに。一方大鳳は行き場を求め、渋谷を彷徨う。怒濤の第4弾!
体内にキマイラを宿す大鳳と久鬼。2人を案じる玄道師・雲斎は、キマイラの謎を探るため台湾の高峰・玉山に向かう。一方キマイラ化した大鳳と対峙した九十九は、己の肉体に疑問を持ち始める。シリーズ第3弾
体内に幻獣キマイラを宿した2人の美しき少年──大鳳と久鬼。異形のキマイラに変じた久鬼を目前にした大鳳は、同じ学園に通う九十九や深雪の心配を振り切り、自ら丹沢山中に姿を隠した。シリーズ第2弾!
時折獣に喰われる悪夢を見る以外はごく平凡な日々を送っていた美貌の高校生・大鳳吼。だが学園を支配する上級生・久鬼麗一と出会った時、その宿命が幕を開けた──。著者渾身の“生涯小説”、ついに登場!
光の君の妻である葵の上に、妖しいものが取り憑く。六条御息所の生霊らしいが、どうやらそれだけではないらしい。並の陰陽師では歯がたたず、ついに外法の陰陽師・蘆屋道満に調伏を依頼するがーー。
安倍仲麻呂が遺した手紙により、空海たちが知った事実。それは、かつて玄宗皇帝が楊貴妃を処刑せざるを得ない状況に陥った際、道士・黄鶴の提案に従って尸解の法を用い、楊貴妃を仮死状態にして難を逃れようとしたが、あえなく失敗したというものだった。一方、青龍寺の恵果のもとに、妖しい影ー黄鶴の弟子であった白龍が現れる。白龍は順宗皇帝を呪殺し、唐王朝を完全に滅ぼすと予告する。中国伝奇小説の傑作、第3弾。
宦官・高力士が、死の直前に安倍仲麻呂へ遺した手紙には、楊貴妃の出自にまつわる、さらなる驚愕の事実が記されていた。黄鶴、白龍、丹翁…さまざまな人の想いと呪いが交錯した果てに、いま、順宗皇帝は呪法によって瀕死の状態に陥っていた。呪法の正体を暴くよう依頼された空海は、逸勢や白楽天、大勢の楽士や料理人を率い、玄宗皇帝と楊貴妃ゆかりの地ー驪山の華清宮へと向かった。中国伝奇小説の傑作、ついに完結。