著者 : 夢枕獏
江戸にもどった源内は、ついにゑれきてるを復元。その一方で浄瑠璃を書いたり、鉱山採掘をしたりと、様々なことに手を染めては、思うようにいかない自分の身を嘆き、窮屈なこの国を憂えていた。そんな日々のなか、その昔、龍の掌を龍宮から持ち帰った男が残したという絵文字の書きつけを解読すると、そこに書かれていたのは、驚くべき豊臣の秘事と黄金の島の存在だった!「ニルヤカナヤ」と書かれていたその島こそ、司馬遷の『史記』に記された、不老不死の仙薬探索の命を受けた徐市がたどりついたという、黄金の島なのだろうか?
夜ごと羊たちが喰い殺されていくー。得体の知れない獣の正体を暴くよう頼まれた馬垣勘九郎は、橘瑞超たちと泊まり込みで様子をうかがっていた。馬垣が西域にやって来ることになった数奇な運命が語られるが、その時、奇妙な笛の音のような鳴き声が聞こえてくる。あの獣がやって来たかと身構える一行。しかし同時に、馬垣の父の仇である王洪宝も襲ってきて…!?絶体絶命の状況をどう切り抜けるのか。緊迫感あふれる15巻!
1924年、世界初のエヴェレスト登頂を目指し、頂上付近で姿を消した登山家のジョージ・マロリー。登攀史上最大の謎の鍵を握る、マロリーのものと思しき古いコダックを手に入れた写真家の深町誠だが、何者かにカメラを盗まれる。行方を追ううち、深町は孤高の登山家・羽生丈二に出会う。羽生が狙うのは、エヴェレスト南西壁、前人未到の冬期無酸素単独登攀だった。山に賭ける男たちを描いた、山岳小説の金字塔、待望の合本版。
馬垣勘九郎が何者かに殺された。若き日の久鬼玄造と梶井知次郎は馬垣の秘密に関わることを決め、生前託されていた包みをほどく。その中身は、明治期に中国西域を探検した能海寛と橘瑞超の日記だった。瑞超の『辺境覚書』には、彼が馬垣と体験した信じがたい記録が綴られていた。彼らが遭遇した奇妙な足跡を持つ獣とは。外法印が描かれた仏画の秘密とは!?遙かな時と大地を超えて、いよいよキマイラをめぐる因縁が語られる。
20年ぶりに吐月と再会を果たした久鬼玄造は典善と九十九、菊地らを自宅に招いた。そこで玄造が見せたのは、はるか昔に大谷探検隊が中国西域から日本に持ち帰ったキマイラの腕であった。やがて玄造は壮絶な過去を語り始める…。若き日の玄造の前に現れた梶井知次郎。彼は学生運動に身を投じる一方、師と仰ぐ馬垣勘九郎のもとで中国西域を調べていた。なぜ玄造はキマイラに関わってしまったのか。理由がいま明らかにされる。
変化自在の語りで魅せる平安一大スペクタクル 帝の御病平癒を願い京に上った少年安倍晴明。彼と蘆屋道満そして妖狐の化身の三つ巴の闘いを現代の講釈師・夢枕獏秀斎が語り下ろす。
高野山に入った西行は申の導きにより、またしても宿神と出会う。そして、覚鑁から授かった「理趣教」を唱え、今は亡き鰍の弔いをついに果たすのだった。一方、都では悪左府頼長らと清盛・信西らの対立がいよいよ激化し、政権をめぐって大乱の気配が漂い始める…。
蔵人・橘盛季に届けられた恋文。やがて姫君のもとに通うようになった男は一族の秘密を覗き見る(「銅酒を飲む女」)。貴公子・藤原道長は父・兼家に起きた異常事態を晴明と博雅に訴える(「首大臣」)。仲睦まじい猟師の兄弟を喰らおうとする者の正体とは(「夜叉婆あ」)。平安の都に蠢く生きとし生けるものの歓びと哀しみを活写する九篇。
傷つきながらも、師である雲斎のもとに帰り着いた大鳳。彼を追ってやってきた典善の前に、雲斎が立ちはだかる。一方、九十九はキマイラ制御の鍵「ソーマ」から薬を作る法を求め、高野山に向かっていた。そして、ついに身体をキマイラに乗っ取られた久鬼。もはや意志の力もソーマすらも利かなくなってしまった久鬼に、謎の僧・狂仏はキマイラを支配する法を教えるという。9番目の、月のチャクラとはいったいー!?
“『蓬莱山の黄金』『鬼道の力』そして空海の秘法『四殺』を得た者が覇者となる”秦始皇帝の使者徐福がもたらし、腐鬼一族が蓄えた黄金の在処、すなわち卑弥呼の墓所とはどこなのか?謎の古文書を読み解いた密教術の天才美空は、精神ダイバー九門、毒島らとともに富士山麓へ向かった…。空海のミイラ盗難に始まった超伝奇小説の金字塔、ついに終局へ!
高野山空海廟堂の配置から、密教術の天才美空は、ついに卑弥呼の墓所を発見した。富士山麓青木ヶ原の樹海、巨大洞窟に入る美空と精神ダイバー九門、毒島。迫る魔人黒御所と猿翁、巨漢文成仙吉!黄金は誰の手に?そして卑弥呼が得ていた鬼道の秘密とは?やがて毒島と九門は最後の精神ダイブに挑むが…。エンターテインメント史に燦然と輝く伝説の巨編、完結!
ついに始まった「警視庁武術試合」は、新興勢力の講道館と、古流柔術各派との争いになった。肉体と精神のどんづまりで、漢たちの汗が、血が、涙が散る!講道館の名は世に轟いた。だが、門下生が謎の男「梟」に次々と襲われる。鍵は秘伝の武術「御式内」にあると聞き、保科(西郷)四郎は孤高の武術家、武田惣角のもとへ向かった。
身体のあらゆる部位を必殺の武器となす琉球の武術「唐手」。二度目の「警視庁武術試合」で、保科(西郷)四郎の相手は唐手の使い手に決まった。しかし強さの頂点に迫る中で四郎は「闘うことがこわい」と告白する。骨が砕け、肉が潰れ、魂が軋む死闘をへて、苦悩の末に下した決断とはー。明治の武道界に嘉納治五郎が起こした革命の物語「天の巻」感動の最終巻。
「大鳳吼は、わが息子だー」ついに自らと大鳳、久鬼との関係を告白した巫炎。彼はキマイラ制御の鍵、「ソーマ」の謎の一端を語る。一方、小田原を去り箱根外輪山に倒れこんだ大鳳。キマイラ化が容赦なく進むなか、自分は何者であるのかを知る決意を固めた大鳳は、久鬼玄造の屋敷に向かう。そこには憎悪を糧に覚醒を始めた菊地と典善、キマイラへの復讐に燃える斑孟がいた。絶体絶命のそのとき、大鳳の前に現れたものとは…!?
明治になって衰退する柔術界に、新星のごとく「講道館流」が誕生した。提唱者は文武二道の達人、嘉納治五郎である。技のたゆまざる追究と人間教育への情熱によって、「姿三四郎」のモデルとされる志田(西郷)四郎ら「四天王」がめきめきと頭角を現す。若き気概に充ちた、闘う漢たちの壮大な物語が、いま幕を開ける。
柔術王国たる九州では、古流柔術の猛者たちが激突し、全国一の規模を誇る関東の揚心流戸塚派は、新興の講道館に激しく対抗心を燃やす。新しい時代、この国で覇をとなえるのは誰なのか?運命の「警視庁武術試合」を前に、闘いはいよいよ激しさを増す。