著者 : 大石直紀
明石藩江戸家老間宮が、老中土井大炊頭の門前で切腹自害を果たした。間宮の死は、生来の残虐な性格で罪なき民衆に殺戮を繰り返す藩主・松平斉韶の暴君ぶりを、命を以って訴えたものだった。しかし、斉韶は十一代将軍・徳川家斉の弟であり、翌年には老中への就任が決まっていた。このままでは幕府、ひいては国の存亡に関わると判断した土井大炊頭は斉韶暗殺を決意。そして御目付役・島田新左衛門を中心として十三人の侍たちが極秘裏に集められた。こうして前代未聞の暗殺計画が始動した。狙うは江戸から明石への参勤交代の道中。果たして密命は果たせるのか…。
パウエル米国国務長官の来日中、事件は起こった。「博多発東京行きのぞみ16号を乗っ取りました」-JR新幹線運行本部にかかってきた一本の電話で、史上まれに見る長い一日の幕が開けた。1000人を超える乗客を乗せた新幹線を乗っ取った犯人の要求は、100万ドルの現金と、東京拘置所に勾留中のイラク人大物テロリストとパウエルとのテレビ討論、そしてその模様を全世界放映すること。犯人の不自然な要求と、次々と講じてくる奇策に翻弄される日本警察。人質となった乗員乗客の絶望、勇気、そして愛。そして、テロリストたちが描いていた「夢」。極限状態の人間ドラマが、終章に向かって突き進んでいく。第三回小学館文庫小説賞受賞作。
新興量販店を狙った連続爆弾テロが発生した。犯人の狙いは曰く付きの社長・琢磨信之を標的にしたものと思われていたが、新たに琢磨とは何も関係のないショッピングセンターで爆弾テロが発生!このショッピングセンターで働く藤村幸造は、二十五年前に起きたテロ事件の捜査をきっかけに公安捜査官をやめていた。その爆破現場には二十五年前の事件で、藤村に恨みを持つ人物の姿が…。連続爆弾テロ事件の犯人の狙いは?藤村の娘の公安捜査官・早苗まで巻き込む、爆弾魔の闇が迫る!抜群のテンポで描く、元刑事と爆弾魔との息詰まる死闘!!新鋭が放つ、度肝を抜く犯罪小説の登場。
“息子を誘拐した。一億円を持ってブリュッセルまで飛べ!”巨大ヘッジファンド、ファルカン・ファンドの元幹部仁科貴史に届けられた脅迫状。息子を救うべく、仁科は現地に。しかし、犯人側の巧妙な仕掛けにより、一億を持ったまま仁科までが失踪する!そんな折り、ファルカン・ファンドの日本オフィス開設に伴い、極秘に日本を訪れた敏腕女性トレーダー・片桐司は、仁科の失踪に不可解な何かを感じ取る。誘拐事件に潜む真の目的とは?さらに、新たな事件が司の身に降りかかる!!斬新奇抜な誘拐事件と巨大ヘッジファンドの闇を見事に融合させた大型新人の超娯楽快作、書下ろしで登場。