著者 : 大石直紀
二十年前、ある事故をきっかけに恋人の雅子と別れた正春。母の危篤の知らせを受け、久しぶりに京都に降り立った正春は、思い出の松ヶ崎疎水を訪れ…。(表題作)おばあちゃんは詐欺師だった。おばあちゃんとの生活はずっと続くと思っていたけれど…。(第69回日本推理作家協会賞短編部門受賞「おばあちゃんといっしょ」)京都の名所が数多く登場する傑作ミステリ短編集。
超ド級の映画「空母いぶき」を完全小説化! 巨匠かわぐちかいじの同名コミックを原作とし、壮大なスケールで描かれた映画「空母いぶき」を完全ノベライズ! 【ストーリー】 --そう遠くない未来。東アジア海域における領土争いは激化、日本近海でも軍事衝突の危機が高まりつつあった。 日本最南端の波留間群島沖では、国籍不明の武装集団が海上保安庁の巡視船に発砲し、乗組員を拘束、領土の一部を占拠した。未曾有の緊張が高まる中、政府は航空機搭載型護衛艦『いぶき』を旗艦とした第5護衛隊群を現場海域に派遣する。 戦うか、護るかーー。 敵潜水艦のミサイル攻撃に対し、航空自衛隊のエースパイロットから『いぶき』艦長に抜擢された秋津竜太と、海上自衛隊生え抜きの副長・新波歳也の決断は? この国の未来を左右する運命の24時間。
偽宗教で荒稼ぎしているベテラン女性詐欺師。その手管と首尾を描くトリッキーな一作、大石直紀「おばあちゃんといっしょ」。会社の保養所でトランプを始めたOL三人組。罰ゲームで明かされる秘密が心底恐ろしい永嶋恵美「ババ抜き」。日本推理作家協会賞を受賞したこの二作品を含む、選り抜きの8編を収録!
二〇一八年十一月公開映画『かぞくいろーRAILWAYS わたしたちの出発』小説版オリジナルストーリー。夫を突然亡くした奥園晶は残された夫の連れ子・駿也とともに、夫の故郷・鹿児島に住む義父・節夫に会いに行く。節夫は、疎遠だった息子の死、突然現れた息子の嫁と孫の存在に困惑。行くあてがないという2人を自宅に住まわすことを決め、3人の共同生活が始まる。生活のため仕事を探していた晶は、肥薩おれんじ鉄道の運転士を志し、試験を受けることを決意。映画では、強く生きるシングルマザー・晶を有村架純、温かく支える義父・節夫を國村隼が演じる。
京都クルミ製作所の崖っぷち3人組が立ち上がった!「セカンドキャリア戦略室」。通称クビ切り小屋こと、「ギロチンハウス」に異動となった3人。社内不倫、不正経理、派閥争い、盗聴、裏切り…。いま崖っぷち社員の、人生をかけた闘いが始まる!リストラ秒読み社員が会社の闇を暴く!痛快!!リストラリベンジミステリ小説。
日本ミステリー文学大賞新人賞が誕生してから二〇年。幅広く活躍を続ける受賞作家から、大石直紀、岡田秀文、新井政彦、望月諒子、嶺里俊介の五名が「街」をテーマに競作。普段、ぼんやりと見えている風景、行き交う人たちの何気ない行動…その中に数々の謎が潜んでいる。五つの味わい深い短編を収録した、珠玉のアンソロジー第一弾!
ある日、女子大生が歩道橋から転落死する。死体を見た刑事・弓神適当(ゆがみ・ゆきまさ)は、新人・羽生虎夫とともに勝手に捜査を開始する。するとある痴漢事件との意外な関係が浮かび上がってきた。心の奥底に潜む闇を鋭く見抜き、真相究明のためには違法捜査もいとわない天才適当刑事と出世欲が強く真面目ゆえにふりまわされてしまう新人コンビが事件を解決していくバディドラマ。事件のみならず隠された複雑な人間模様も描く。ビッグコミックオリジナルの同名人気連載を原作にした話題のTVドラマノベライズ版。ドラマにはないオリジナル・ストーリーも収録。
プロボクサーを目指し共同生活を始めた、少年院帰りの不良・沢村新次と、庄屋で働く引っ込み思案な二木建二。性格は対照的だが、二人はいつしか深い絆で結ばれていった。だが、見ず知らずの人を憎み、打ち負かすことへの疑問を払拭できない建二は、自分を変えるために、唯一の友人である新次を対戦相手として意識し始める…。心の空白を埋めようともがく二人の若者と彼らをとりまく濃密な人々。運命に翻弄されながらも必死に生きる人間の切なくも苛烈な物語。寺山修司の長編小説を、現代を舞台に蘇らせた映画版を完全ノベライズ。感動のラストを迎える後篇。
二〇二一年、新宿。少年院帰りで、住む家も仕事もない沢村新次。吃音障害と赤面対人恐怖症に悩み、他者との関係を築くのが苦手な二木建二。ある日、対照的な二人の若者が、プロボクサーを目指し、さびれたジムで奇妙な共同生活を始める。やがて二人は友情を育み成長を遂げていくが、その一方で、母親との離別、父親からの暴力、仲間の裏切り…、それぞれが抱える問題に向き合うことになる。新宿という都会の荒野の真ん中で孤独と戦い、誰かと繋がりたいと渇望する人々を描いた、魂を揺さぶる青春物語。寺山修司唯一の長編小説を現代に甦らせた映画版をノベライズ。
すべての作品に、仕込みあり。きっとあなたは欺される!曼殊院、真如堂、寺町通、松ヶ崎疎水、上賀茂神社、太秦…京都に仕掛けられた六つの罠。第69回日本推理作家協会賞短編部門受賞作「おばあちゃんといっしょ」収録!!
国際的犯罪組織のリーダー、レイブンを追うマーク・リュウの警護を託された特命係の杉下右京と冠城亘。レイブンは七年前、在英日本大使館の参事官の屋敷で起きた集団毒殺事件に関わっていた。唯一無事だった令嬢の瑛里佳も誘拐され行方不明になっている。そんな折、瑛里佳の姿とともに九億円の身代金を要求する動画がレイブンから届く。「拒否すれば、大勢の人々の見守る中で、日本人の誇りが砕け散るだろう」-国に見捨てられた少女を救い、卑劣なテロを阻止するべく正義を賭けた闘いが始まる。「相棒」史上最大の危機の先に映画とは異なる結末が待ち受ける!
マスターの作る懐かしい料理と居心地の良さを求める客で、夜な夜な賑わう“めしや”。ある日、常連客たちが次々と喪服姿で現れる。故人の思い出を語り合う中、範子だけは仕事のストレスを発散するために喪服を着ているのだという。範子は葬式で出会った男に惹かれていくが…。年上の彼女との結婚を母親に認めてもらえずに悩む蕎麦屋の息子、清太。お金に困った息子に呼ばれて上京し、見知らぬ男に大金を渡してしまった夕起子。ワケアリな客たちが今日も店にやって来ては胃袋を満たし、心の重荷を下ろしていく。世界でヒットした食映画の続編をノベライズ。
第二次世界大戦の開戦直後軍靴の響き高まる東欧リトアニアで、ナチスの迫害から逃れてきたユダヤ難民の人々に自らの判断で二千百三十九枚のビザを発給し、六千人の命を救った日本人外交官・杉原千畝。彼は卓抜した語学力と独自の情報収集能力を駆使し、世界情勢の貴重な情報を発信し続けた優れたインテリジェンス・オフィサーでもあった。政府の意に反してビザを発給した杉原千畝を、戦後、日本の外務省は無視し続けたが、世界は彼の功績を大きく賞賛した。人間・杉原千畝を支えていたものは何だったのか、勇気ある男の感動の真実に迫る超大作映画を完全ノベライズ。
京都御所近くにある「ビストロ青猫」で働く辻村凪子はその日、大原までケータリングに向かった。京菓子司の老舗「白井庵」の一族が集まる屋敷で調理を進めていたところ、凪子の耳に突然短い悲鳴がー。同日、大学生の準平は、白井家で殺された被害者の名前と“呪”の血文字を金毘羅山の“魔界”で目にする。怨念の潜む密室殺人は、京都に眠る崇徳院・平将門・菅原道真の御霊が跋扈する、連続事件の序章にすぎなかった。呪った相手を確実に地獄に突き落とすーその絶大な呪力の真相とは?人妻料理人が「三大怨霊殺人事件」の謎を追う、書き下ろしミステリ小説。
いつかここに夫が現れるかもしれないー京都御所近くの「ビストロ青猫」で、辻村凪子は淡い期待を抱いて働く。新聞記者の夫は三年前から行方がわからなくなっていた。店を手伝う大学生の準平と貴船の溝口家にケータリングで訪れたその日。リビングには悪い噂もある女性呪術研究家の姿が。翌朝、彼女の死体が「鐵輪の井戸」近くで見つかった。井戸は貴船神社丑の刻参りの出発点として知られる“魔界”スポットだという。辻村凪子の周辺で連鎖する怪奇な事件、やがて浮かび上がる危険な思惑の数々。「髑髏本尊殺人事件」の謎に挑むスピリチュアル・ミステリ小説。
ネオン煌めく繁華街の路地裏にあるカウンターだけの小さな食堂。夜十二時から朝七時まで営業しているこの店は、「深夜食堂」とよばれている。愛人を亡くして新しいパトロンを物色中のたまこ、無銭飲食したのを機に住み込みで働くことになったみちる、福島の被災地から会いにきた謙三をなぜか避ける常連客のあけみ。食堂を訪れる客たちは皆、ちょっとワケアリで…。マスターが作る料理の懐かしい味にふれて客は心の重荷を下ろし、胃袋を満たして明日への一歩を踏み出していく。国民的食コミックの映画版をノベライズ。飯島奈美氏監修のオリジナルレシピも収録。
この道二十五年のベテランスーツアクター・本城渉は、ブルース・リーに憧れる熱血漢。“顔出し”で映画に出演する夢を持ちながらも、家族には見放され、新人の人気俳優・一ノ瀬リョウに役を奪われるなど、辛酸を舐めてきた。そんな本城にハリウッドのアクション大作からオファーがかかる。一世一代のチャンスだが、それは命も落としかねない危険なスタントだった。周囲の反対を振り切り、本城は撮影現場へ向かうがー!?特撮やアクションに欠かせない“影の主役”に史上初めてスポットを当てた同名映画をノベライズ。名もなきヒーロー達の夢が今、動き出す!
東京から三百キロ離れた絶海の孤島、鳳凰島。実業家が個人所有しているこの島では、元自衛隊員たちで組織されるグループが共同生活を送っていた。ジャングルの中を駆け回り、実戦さながらの訓練を繰り広げる「民兵」集団の中で、ある日、死亡事故が発生。特命係の杉下右京と甲斐亨に現地での調査が依頼される。二人が島に渡るにあたっては、事故の調査だけではなく、実は島で訓練するグループにまつわる「妙な噂」を確かめるという密命も帯びていた。気の進まないまま上陸した二人だったが、右京は事故現場を見て、すぐにこれが殺人事件だと確信を持つのだった。相棒史上、最高密度のミステリー。