小説むすび | 著者 : 宇佐美まこと

著者 : 宇佐美まこと

その時鐘は鳴り響くその時鐘は鳴り響く

愛媛で起きた学生の事故死と、 三十年後に東京で起きた資産家殺人。 過去と現在が交錯する時に明かされる真相とは? 強い絆で結ばれていたふたりの音楽仲間。 ひとりは転落死し、ひとりは失踪した。 日本推理作家協会賞受賞作家の新境地、慟哭と郷愁のミステリ 東京・赤羽の路上で資産家が殺害された。赤羽署初の女性刑事・黒光亜樹は、本庁から来た癖の強い先輩刑事とコンビを組まされ、彼と対立しながらも懸命に捜査を続けるが、なかなか容疑者は浮かんでこない。同じ頃、松山大学マンドリンクラブのOG・国見冴子は、仲間二人と母校の取り壊し予定の部室棟を訪れていた。すると部室の黒板に、三十年前に失踪したクラブのメンバー・高木圭一郎が最近書き残したと思しき「その時鐘は鳴り響く」を見つけて驚く。それは四年生の夏合宿で事故死した篠塚瞳を含め、五人の間で頻繁に言い交わしていた言葉だった。瞳の死後に失踪した高木は、なぜ今になって部室を訪れ、この言葉を残したのか? 冴子たちは当時の事故について調べ始めるが……。

逆転のバラッド逆転のバラッド

出版社

講談社

発売日

2023年2月15日 発売

人生の折り返し点を過ぎた男たちが、平凡な地方の町を侵食する欲に塗れた悪事に立ち上がる、一発逆転のリベンジゲーム。 どんなお話?)鄙びた港町にある銭湯、みなと湯は地元で暮らす昭和世代にとっての密かな憩いの場だ。第一線を退き地元の支局に異動してきた新聞記者の弘之、老朽化した風呂釜修繕の金策に走る銭湯主人の邦明、暴力団を首になった釜焚き係の吾郎、儲からない骨董屋の跡を継いだ富夫らは、それぞれ人生に諦念を抱きながらも日々そこで交流を深めていた。彼らの前に突然現れたのは、不審死したみなと湯の銀行融資担当・丸岡の元婚約者・礼美。彼女は丸岡の死の真相と銀行の悪行を四人に訴える。 【本読みの達人たちから大絶賛ぞくぞく!】 しなしなのアラ還オヤジたちが巨悪との勝ち目薄き闘いに挑む。人生を取り戻していくその姿は勇気の塊。なんて愉快なおじさん小説!-文筆業 門賀美央子 こんな俺たちにも命がある。そう簡単にふみ潰されてたまるかよーーそんな呟きが聞こえてくる、見事な人間賛歌だ。-ミステリー評論家 杉江松恋 「人生の終焉が見え始めた男たち」が、本当に初めて見たもの。とんでもない「幸福の王子」に胸熱必至!-書評家 藤田香織 闇に迫れるのは、正攻法か、裏の手か。力なき庶民の巨悪への挑戦を、きめ細かく描いた著者の筆致に感服した。-ミステリー評論家 千街晶之 目を覚ましたならず者たちによる、あっと驚く逆転劇が素晴らしく小気味よい。-ミステリー評論家 吉野仁 うわあ、してやられた。「老い」は何かを諦めた時から始まるのだ。正攻法と搦め手を駆使し巨悪に挑む男たちの姿が眩しい!-ミステリー評論家 西上心太 今のままでいいのか、と強く問いかけられた。これは後悔を抱えたすべての人へ贈る、悲しくも力強い逆転のミステリだ。 ー書評家 大矢博子 優れた社会派ミステリー。だけど、それだけじゃない。この物語、裏がありすぎる。-文芸評論家 細谷正充 著者の地元を舞台に設定した汚職禍を、果敢にミステリーに仕立て上げる作家魂を尊敬します。-担当編集 人生のたそがれ時を迎えた男たちに贈る応援歌。どんなにかっこ悪くても、最後までジタバタするべし。-著者 第一章 雪うさぎ 第二章 春を刻む 第三章 甘露の口福 第四章 きゃらぶき 第五章 風の通り道

夢伝い夢伝い

出版社

集英社

発売日

2022年5月2日 発売

孤独を愛する人気作家が突然の断筆宣言。担当編集者は作家の住む地方へひとり、向かった。作家を脅かすものを探しにーー(「夢伝い」)。地球に近づいてきた惑星、現れた女遍路ーー。四国に戻って来た私は、40年前の午後を思い出していた(「送り遍路」)。自らの胎内で卵を孵すセグロウミヘビ。海洋生物マニアの男は「彼女」を手に入れてから生活が一変し……(「卵胎生」)。未知のウイルス性感染症が蔓延した後、「新しい世界」の幕が開けた。男は都心から自然豊かな土地に移住を決め、恋人とはリモートで関係を深めていたが……(「果て無き世界の果て」)など、昭和から現代までを舞台に、日常に潜む怪異や心理の歪みから生まれる怪奇を描いた全11話を収録。 宇佐美まこと(うさみ・まこと) 1957年、愛媛県生まれ。2006年「るんびにの子供」で第一回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に。『展望台のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に。他の著書に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』など多数。

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