著者 : 宇佐美游
水着のヴィーナス水着のヴィーナス
スポーツクラブに通う有閑マダムたちの悪意と、ひそやかなアバンチュールの結末を鮮やかに描いた表題作、上京して娘と再会した父親が、都会で必死に生きる娘の意外な一面を垣間見る「娘の部屋」など、閉塞した日常に倦み、恋に焦がれるさまざまな女性たちの揺れる心に寄り添う、6つの恋愛短篇。文庫オリジナル。
FOXYFOXY
上京したとたん、金を騙し取られて無一文になった千華は、銀座のクラブ「セビリア」の社長に拾われる。ナンバーワンホステスの繭子から「体を売らずに男から金を引き出す」テクニックを教わった千華は、やがて売れっ子のホステスへとのし上がっていく…。美しさと知力の限りを尽くして戦う銀座の女たち。
十歳の戦慄十歳の戦慄
なぜ凄いのか?少女を含めて、この作者は女性たち、たとえばオフィスガールでも、おミズの世界の女性たちでも、さらには海外駐在員の妻たちでも、女たちが「集まる」場の光景を実に生きいきと描き出す。女性の生命感にはずみのつく瞬間を、これほど鮮やかに明快に書く作者はそんなにはいない。パワーがあって愛嬌があり、悪意を鋭く見る。
調子のいい女調子のいい女
ジコチューで、ワガママで、都合よく頼ってくるくせに、こちらが頼りたいときは、冷たいオンナ。それが「調子のいい女」。銀座のナンバーワンホステスが、男どもを騙しつつ、懸命に貯めたお金をもとに、アメリカへ留学した。ボストンの学校で出会った日本人の女は整形で塗り固めた、「調子のいい女」だった。第6回小説新潮長篇新人賞受賞。
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