小説むすび | 著者 : 宇江佐真理

誰がお菊を殺したんでェ。最愛の妹の命を奪った下手人を追って、大店の若旦那の地位を捨てた、人呼んで「泣きの銀次」。若き岡っ引きは、物言わぬ死体の声を聞いて涙する。お侠な娘、お芳の健気な想いを背に受けて、めざす敵は果たして討てるのか？鮮やかな筆が冴えわたる女流時代小説作家の人情捕物帳。

本業の髪結いの傍ら、町方同心のお手先をつとめる伊三次。芸者のお文に心を残しながら、今日も江戸の町を東奔西走…。伊三次とお文のしっとりとした交情、市井の人々の哀歓、法では裁けぬ浮世のしがらみ。目が離せない珠玉の五編を収録。選考委員満場一致でオール読物新人賞を受賞した渾身のデビュー作。

婀娜や鯔背は江戸の華。やせがまんも粋のうち。鉄火伝法が玉にキズ。お吉は十六御蔵前小町。惚れたが悪いか恋の顛末。笑いと涙の人情譚六話。

妹殺害の真犯人を追って十年、色男・銀次の岡っ引き稼業と恋の道行き。注目の新進女流時代小説作家、初の書下ろし長編。