著者 : 宮内悠介
盤は宇宙、石は星ー碁盤とは魔術の道具さ。吉井利仙は名うての碁盤師。使用する木には強いこだわりがあり、一年の大半を山を渡り、木を見て暮らしている。人呼んで「放浪の碁盤師」。十六歳ながらプロの囲碁棋士である槇は、利仙がかつて棋士だったころの棋譜に惚れ込み、師と慕って行方を追いかけている。囲碁をめぐる宿命に取り憑かれたような不思議な事件の数々は、ふたりに何をもたらすのか?あとは、盤面に線を引くだけです。
宮部みゆき「星に願いを」-ありふれた日々を稲妻のように切り裂く、思いがけない出来事とは?飛浩隆「海の指」-SFの枠でしか描けないグロテスクで魅惑的なヴィジョン。木城ゆきと「霧界」-「海の指」が描くヴィジョンから、新たに魅惑的な光景を幻視する。宮内悠介「アニマとエーファ」-人間ならぬ存在はいったいどんな物語を紡ぐのか?円城塔「リアルタイムラジオ」-ワールドの外にはリアルタイムが存在し、そこからラジオが流れてくる…。神林長平「あなたがわからない」-“空気が読める”“他人の心がわかる”とはどういうことなのか。長谷敏司「震える犬」-類人猿を通して、人類自身の姿が浮き彫りになる。常識を震わせる、七つの風景。
人類が最初に移住に成功した太陽系外の星ー通称、二番街。ぼくは新生金融の二番街支社に所属する債権回収担当者で、大手があまり相手にしないアンドロイドが主なお客だ。直属の上司はユーセフ。この男、普段はいい加減で最悪なのに、たまに大得点をあげて挽回する。貧乏クジを引かされるのは、いつだってぼくだ。「だめです!そんなことをしたら惑星そのものが破綻します!」「それがどうした?おれたちの仕事は取り立てだ。それ以外のことなどどうでもいい」取り立て屋コンビが駆ける!新本格SFコメディ誕生。
百匹目の猿、エスパー、オーギトミー、代替医療…人類の叡智=科学では捉えきれない「超常現象」を通して、人間は「再発見」されるー。202X年の世界的人気作家、最新作!
失踪した父を探して難関音楽学院を受験する脩。そこで遭遇する連鎖殺人。謎の楽器“パンドラ”。“音楽”は人をどう変えるのか。才能に、理想に、家族に、愛にー傷ついた者たちが荒野の果てで掴むものは…?
戦災孤児のスティーブとシェリルは、見捨てられた耐久試験場で何年も落下を続ける日本製ホビーロボット・DX9の捕獲に挑むがー泥沼の内戦が続くアフリカの果てで懸命に生きる少年少女を描いた表題作、9・11テロの悪夢が甦る「ロワーサイドの幽霊たち」など、日本製の玩具人形を媒介に人間の業と本質に迫る連作5篇。デビュー作『盤上の夜』に続く直木賞候補作にして、日本SF大賞特別賞に輝く第2短篇集、文庫化。