小説むすび | 著者 : 小尾芙佐

著者 : 小尾芙佐

五番目のサリ-五番目のサリ-

茶色の目と髪、いつも地味な服を着ているサリー・ポーターは、ニューヨークで働くごく平凡なウエイトレス。だが、彼女には人に言えない悩みがあった。子供のときから、ときどき記憶喪失におちいるのである。それが原因で仕事も長続きせず、結婚も破局をむかえた。じつはサリーの心のなかには、あと四つの人格がすんでいたのだ-。サリーに起こったことはなんでも知っているブロンドで青い目の楽天家デリー、長い黒髪の教養あふれる画家のノラ、赤毛でいつも厚化粧、歌やダンスが得意で女優志望のベラ、すべての男を憎んでいる乱暴者、黒い服しか着ないジンクス。サリーは自分に耐えられない事件にでくわすと、無意識のうちにこの四つの人格にスイッチしてしまう。それがサリーの記憶喪失の原因だったのだ。ある事件のため、病院に運びこまれたサリーは長年にわたる記憶喪失の悩みをついにうちあけ、精神科医ロジャーの治療を受けるのだが…。ネビュラ賞受賞作『アルジューノンに花束を』であらゆる読者を魅了したキイスが、五重人格のサリー・ポーターの心の軌跡を鮮やかに描く傑作長篇。

アルジャーノンに花束を改訂版アルジャーノンに花束を改訂版

32歳になっても、幼児の知能しかないチャーリイ・ゴードンの人生は、罵詈雑言と嘲笑に満ちていた。昼間はパン屋でこき使われ、夜は精薄者センターで頭の痛くなる勉強の毎日。そんなある日、彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が、頭をよくしてくれるというのだ。願ってもないこの申し出に飛びついたチャーリイを待っていた連日の苛酷な検査。検査の競争相手は、アルジャーノンと呼ばれる白ネズミだ。脳外科手術で超知能をもつようになったアルジャーノンに、チャーリイは奇妙な親近感を抱きはじめる。やがて、脳外科手術を受けたチャーリイに新しい世界が開かれた。だが、その世界は、何も知らなかった以前の状態より決してすばらしいとは言えなかった。今や超知能をもつ天才に変貌したチャーリイにも解決しがたいさまざまな問題が待ちうけていたのだ。友情と愛情、悲しみと憎しみ、性、科学とヒューマニズム、人生の哀歓を、繊細な感性で描きだす感動の1966年度ネビュラ賞長篇部門受賞作。

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