IT(3)
精神病院のベッドで、男がむっくり身を起こし、月からの邪悪な声に耳を傾ける。町に戻った〈はみだしクラブ〉の面々を迎えたのは、チャイニーズ・レストランの怪、夜の図書館に出現したピエロ、などだった。いまデリーでは、あらゆる狂気が目をさました。それに対抗するには、みんなの記憶を繋ぎあわせ、ひとつの力とすることだ。
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デリーに近づくにつれ、消されていた記憶の細部が甦る。洪水のあと、紙の小舟を浮かべに行ったジョージィの黄色いレインコート。血染めのレインコート。〈荒れ地〉の小川につくったダム。記念公園の給水塔。廃工場の大煙突。そこから現れた怪鳥。狼男。そして風船を持ったピエロ…あの、1958年の夏、子供たちがずいぶん消えた。 1994/12/10 発売
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