著者 : 小林弘利
常識では考えられない怪奇な犯罪を専門に調査するSRI(特殊科学捜査研究所)の5人の面々が、科学力を駆使して不可解な事件の真相に迫る。人間の水分を吸い取る恐怖の玉(「血の玉」)、生物を瞬く間に白骨化する黒い影(「地を這う女王」)、ヒトを溶解する謎の少女(「闇に蠢く美少女」)、連続バラバラ殺人事件の真相を追う牧史郎が見た闇(「深淵を覗く者」)。犯人は、そしてそのトリックは!?新シリーズのノベライズ!!
四十九歳の筒井肇は会社人間。これまで家庭を顧みず仕事一筋に邁進してきた。そのため妻や娘は肇に距離を置き家庭の絆は崩壊寸前だった。取締役の椅子と引き替えに会社からリストラの最前線に立たされた肇は、同期入社であり親友である工場長の川平に工場閉鎖を告げる。結果的に友情を裏切ることになった肇は自らの仕事に悩み始める。そんな時、島根で暮らす母が、病に倒れたとの報が入る。見舞いに帰郷した肇だったが、そこで親友・川平の死を知らされる。肇は将来を約束された会社を辞め、小さい頃からの夢であった電車の運転士になることを決意するのだった。
時は万延元年、1860年。日米修好使節団が咸臨丸で太平洋を渡った。勝海舟、ジョン万次郎、福沢諭吉…幕末史に登場する多彩な人々に混じって尊攘派の水戸藩士・上条健吉とニンジャ・為次郎が乗船していた。小栗豊後守の刺客・上条とサムライになりたかったニンジャ・為次郎、ふたりの目的は違っていたが西部の大平原が彼らの運命を変えた。
1992年某日未明、東京は突如、悲鳴をあげた。都庁と向かい合う新宿中央公園に、忽然と中世ヨーロッパの城郭が聳えたったのだ。しかも武装した騎士たちが奇声をあげながら市民を追い回した。上空には巨大な竜が舞い、近づいたヘリを叩き落とした。この不可解な闖入者たちに対抗したのは自衛隊員たちだった。しばしの睨み合いのなか、一発の銃声を合図に戦闘が始まった。だが、緒戦の勝敗はあっけなく決まった。実戦経験のない自衛隊側の一方的な敗北に終わったのだ。そして、いま…。
「きみをテストしたいんだ、野原さん」。野原を訪ねてきたクリスと名のる外国人はそう言った。クリスは、法王庁の指示でヴァチカンからやってきた悪魔秡い。野原が本物の天使なのか試すために、ひとりの女のコを助けてほしいというのだ。その少女の名は、山下ひろみ。なにものかに体を乗っ取られ、気がつくと森の中を歩いている…。そして彼女の周りには、無数のお化けたちが…。
星が強く輝いた夜、空き地に捨てられていた野原。彼女が15歳の誕生日を迎えた夜、彼女にまつわる謎が夜空から明らかにされた。それまで何度も生死に関わるような危険な目に遭い、その都度、不思議な運明の力に助けられてきたが、それは彼女がこの世界を救うために地上に送られてきた天使だから。そのうえ、赤ちゃんの時から一緒にいる星一が彼女に対抗する力の持ち主だったとは…。
八ヶ岳のふもとの町。小さな喫茶店でコーヒーを飲んでいた諒は、窓の外に登山姿の美子を見た。諒は、救助隊員、つい1週間前、八ヶ岳へ軽装で無謀な登山をして遭難しかけた彼女を救助したばかりだ。その美子がまた登山を…?いったい何を考えてるのか。あの時、意識のない中で彼女は「鈴音、待ってて…」と言ったが、何のことなのだろう。諒は急いで装備をつけて、美子の後を追った。
由季はデイリー・タイムスの記者。高校の同窓会で後輩の瑛子から、行方不明の父、洋介の捜索を頼まれた。彼は宝石デザイナー。ちょうどそんな時、世界を股にかける怪盗チャンス・ローリーがダイヤ、RAYブロックを狙って日本に来た。洋介の行方不明の背後には何があるの?ダイヤはどこに?宝石密輸組織って何?由季を中心に記者仲間や友人、後輩達が、東京と神戸を舞台に大活躍。
高校生の松戸加代子は、いつも図書室で本とともに過ごす本大好き少女だった。そんな彼女に胸をときめかす男の子が現れた。ボクシング部の島津詠一ー加夜子の1年先輩で、図書室で初めて顔を合わせたひとだ。詠一はボクサーだが、試合相手を殴れないで悩んでいた。加夜子は、精神カウンセラーの父に詠一を紹介した。そして三人は、オペレーションZとよばれる事件に巻き込まれていった。
おなじみ聖クレア高校の由季、邦彦、浩一、そして地縛霊の今日子たちは、琵琶湖に面したホテルへ修学旅行に出かけた。もちろん新聞部の連中も一緒である。このホテルには、重症のアトピー患者のサッちゃん親娘と、行方不明の花婿を捜している三人組と、正体不明の暗殺チームがいた。聖クレアのおせっかい焼きの四人は、怪異現象の起こるホテル周辺で、花婿捜しの手伝いで飛び回っていた。
好きな人に突然さよならを言われて、めぐみはベッドで寝込んでいた。するとお祖父ちゃんの高校時代のアルバムから光が放射され、めぐみとお祖父ちゃんの意識は50年前へとタイム・スリップした。そこでふたりは、奇跡の出逢い、マイケルとミニーのこと、ソウル五輪を夢見た砲丸投げのこと、そして最高のハートを持つアンドロイド誕生の瞬間と、高校時代の、小さな四つの物語を見つけた。ロマンチック・ファンタジー。
凍りついた世界に人工太陽イレブンを打ち上げるため、耕平たちは南極大陸に移住して、避難してくる人々たちの村づくりに忙しく働いていた。フリル、一太、輝美子は海賊たちと帆船に乗り込んで救助の旅に出た。そしてイレブンの打ち上げは成功した。再び春が訪れると地上の人々は喜んだが、コロニー内では太陽が大爆発を起こそうとしている情報をつかんで、ウィスパーたちは悩んでいた。
金沢の街を暗闇の世界から解放する『目ざまし時計』が、あと半年しかもたないというのに、ウィスパー博士と交信するための無線機も壊れてしまった。耕平は金沢を離れ、東京へ向かう決意をする。そんな時、ニューヨークの国連本部にあるメイン・コンピューターのアリスより、《郁美は生きてる。郁美は帰ってきてる》という通信を受ける。「そんな馬鹿な」と耕平は呆然と立ちつくしてしまう。