著者 : 小林町子
疎遠な夫が育てているのは、 死んだと聞かされていた、わたしの子? 〈4歳になる娘の付添人を求むーーデヴィッド・メトカーフ〉 雑誌の片隅に載った小さな求人広告を見たとき、 アンの心臓は一瞬止まり、それから激しく打ち始めた。 4年前、アンは産科のベッドで意識を取り戻してすぐ、 無情にも義母から死産だったと一方的に告げられた。 しかもなぜか夫のデヴィッドは姿をくらまし、絶望の淵に沈んだ彼女は、 居場所のない婚家から出ていくしかなくなったのだった。 でももしかして……あの子は……私の娘は、生きていたというの? 矢も楯もたまらず、別人を名乗って求人に応募したアンは、 面接に呼ばれてすぐに発ったーー夫に雇ってもらうために。 衝撃的な本作は、初版時に大ヒットを飛ばした不朽の名作。自らの経験を小説に盛り込むことを公言している作家S・フィールドが描いた夫婦の愛の復活物語です。紙書籍限定の再版です!
冷徹で隙のない策略家は、 圧倒的な美貌の罪深き男。 個人秘書のラークはいま、絶体絶命の苦境に立たされていた。 従兄が会社のお金を勝手に使ったうえに自死を図り、 ラークにそそのかされたと偽りの証言をして息を引きとったのだ。 会社側の凄腕弁護士ジェームス・ウルフの徹底的で冷徹な態度、 容赦ない攻撃にさらされ、ラークは泣き崩れたかった。 ところが意外にも、会社が訴えをとりさげたため事なきを得るが、 ラークは働き口を失い、部屋代さえ払えない状況に陥ってしまう。 そんなとき、さる夫人の住み込み秘書の仕事が舞い込み、 運命に感謝しつつラークは意気揚々と働き始めたーー まさか夫人の一人息子が、ジェームス・ウルフとも知らずに! ようやく手にしたと思った安住の場所にまたもや現れた、口元に皮肉な色を浮かべたジェームス・ウルフ。ラークは彼に対して反発心と惹かれる気持ちを同時に覚えますが、彼によく思われていないはずだと考えて、せっかく得た仕事をあきらめようとして……。
寒く寂しい聖夜になるはずだった。 まさか愛に出会うなんて。 カトリオーナは心を病んだ兄の療養を支えるため、 クリスマス間近、イングランド北部の海沿いの町へ越してきた。 ある日出先で吹雪に遭った彼女は、一晩ホテルに泊まることに。 ベッドに入ったとき、ふいに見知らぬ大柄な男が入ってきて、 ここは自分の部屋だと言うと、隣でさっさと寝てしまった。 なんて人なの……! 信じられない思いで男を見つめる。 寝顔すら精悍な男の、静かに上下する逞しい肩と胸ーー いつしか寝入った彼女が目覚めたとき、彼はもういなかった。 まさか彼が兄の共同経営者で、再び出会うことになろうとは。 ブレットの無防備な寝姿が蘇り、彼女の胸が激しく高鳴った。 ハーレクイン・マスターピース《特選ペニー・ジョーダン》。1985年初版の、シェトランド地方を舞台にしたクリスマス・ロマンスをお贈りします。兄の共同経営者となったブレットは、寡黙ながらも裕福で大人の魅力を放つ男性。カトリオーナには興味がないようで……。
19歳で結婚した夫は、カレンにひどい男性不信を植えつけて他界した。以来彼女は誰ともつき合わず、幼い娘だけを慈しみ暮らしてきた。だが娘も学校に上がり、カレンはタイピストとして働き始める。その会社の社長が、ハンサムで優しいマット・ルーカスだった。有能で部下思いで、カレンが今までに出会ったことのないタイプだ。そんな男性からデートに誘われても、彼女はただ戸惑ってしまい、せっかくの仕事を辞めてしまう。彼が本気なはずがないもの…。ところが、カレンの娘がマットの甥と同級生という縁もあり、カレンたち母娘は、豪華なリゾートへの休暇に誘われる。はしゃぐ娘を見て、カレンはつい、マットの招待を受けるがー。
ジェイムは二十歳そこそこでブレークと結婚した。年上で裕福、しかもセクシーで優しい夫は、彼女のすべてだった。だがまだ年若く世慣れていないジェイムに結婚は早すぎたのか、忙しい夫は不在が多く、ちらつく女性の影にも不安をあおられ、愛されている自信がなくなった彼女は、ついに家を飛び出してしまう。ほどなくして妊娠がわかり、ジェイムは夫に手紙で知らせた。きっと彼は私とこの子を迎えに来てくれるーそう期待したが、なんと夫からの返事はなく、ジェイムは絶望した。3年後。ジェイムの近隣の屋敷に、ふらりと夫が移り住んできた。いったい何が目的なの?娘を見たら、彼はなんて言うだろう…。
「頼りになる友達が狼に変身してしまった。そう思っているね」 ステファニーは2年前、帰宅途中に一群の若者に襲われ、 際どいところを社長のジェイクに助けられた。 それ以来、手も触れられないほど男性不信の彼女は、 事情を知るジェイクだけを支えとして生きてきた。 それなのにジェイクの様子が、近頃おかしい。 ジェイクを男として見るように仕向けられたあげく、ある日、 無理やり唇を奪われてしまい、ステファニーは彼を拒絶する。 なのに彼がほかの女性といるだけで息もできなくなるーー
名家で働く使用人の娘レベッカは、御曹司ジェイにかわいがられて育った。 16歳の夏、ジェイへの憧れは愛となってついに身も心も捧げたが、 小さな命を宿したとわかったとき、親たちの反応は厳しかった。 ジェイの父は、息子は認知しないと言っていると主張し、こう告げた。 「金をやるから、今すぐここから出ていって、処分しろ! ぐずぐずしていたら、おまえの母親を首にしてやる」 レベッカは信じられない言葉の数々に傷つき、打ちのめされ、 母を残したまま、身重の体で故郷をあとにしたのだった……。 あのとき授かった子を、独りで育てるレベッカのもとに、 10年後、悲痛な知らせが届く。“母危篤、連絡乞う。ジェイ” 大スター作家リン・グレアムと同じ時期にロマンス小説家となり、ともにトップを走ってきたミシェル・リードの、日本デビュー作をリバイバル。十代の頃のつらい仕打ちを、忘れたくても忘れられぬまま時を重ね、いま再び……。珠玉のシークレットベビー物語!
スザンナは、自分の運が悪いのは、彼女に似合わない、 人目を引くこの栗色の髪のせいではないかと疑い始めていた。 両親を早くに亡くし、厳格な大伯母に育てられたせいで、 時代遅れの貞操観念を植えつけられたのに、軽く見られがちだ。 騙されて以来、恋に臆病になり、男性経験もまだなのに……。 ある日、スザンナの前に、鼻持ちならない上司が現れる。 冷たいグレイの瞳をしたやり手の上司ハザードは、新任式で 彼女を見るなり小ばかにし、あからさまに嘲笑してきたのだ。 遊び好きと決めつけられて、スザンナの頬に朱が散った。
パーディーは精悍な社長ジェアードを密かに愛していた。 しかし、ジェアードはいつもふしだらな女だと嘲笑う。 パーディーを、彼の甥を誘惑していると誤解しているからだ。 渡された手切れ金をもらった過去はたしかにあった。 でもそれは、パーディーにとってどうしても必要だったのだ。 失明するかもしれない弟の治療費のために、どうしても……。 ある夜、拒みきれずに、ジェアードに純潔を奪われてしまう。 パーディーが身を起こすと、彼は苦悶に顔を歪めてつぶやいた。 「初めてだったのに、どうして黙っていた」
弟が危篤状態だからイタリアへ来てほしい……。 レインのもとに、イタリアの銀行頭取ザーレから電話があった。 どうやらレインを弟の恋人と勘違いしているらしい。 お金がないことを理由に断ると、今度はザーレ本人が現れ、 レインをさらうようにして、イタリアへ連れ去ったのだ。 だが、屋敷に彼の弟の姿は見当たらない。不審に思う彼女を見て、 ザーレは完璧な美貌に黒い瞳を煌めかせながら、言い放った。 「残念だが、まだ弟は君と戯れるまで回復してないんだ」 そして、あっという間に唇は彼のものになっていた。
ヘルパーのアラミンタは、浪費癖のある父と病弱な妹の3人暮らし。 母が早くに他界したあと、仕事も家事雑用も全部一人でこなしてきた。 あるとき、上流階級の医師ジェイスンの屋敷に派遣され、 彼の妹の子供たちの世話をすることになった。 真面目でハンサムな彼に心惹かれていくが、契約は半月あまりで終了。 次の仕事は老人の世話をする過酷な労働だった。 ところが1週間が過ぎたとき、ジェイスンが不意に訪ねてきて、 なんとアラミンタに結婚を申し込んだのだ。 “今は愛していなくても、一緒に暮らすうちに愛が生まれればいい”と。 ただ彼のそばにいたくて、プロポーズを受けたアラミンタだったが……。 〈ゴージャスな恋人〉と銘打ちお贈りする企画第1弾は、繊細な作風で多くのファンを魅了し、惜しまれつつも2001年6月に永眠したベティ・ニールズ。彼女の定番である医師との恋を描く今作は、人気の便宜結婚がテーマです。
ひそかに憧れていた男性の婚約パーティーに出席することは ソフィーにとって、まさに拷問だった。 だからクールな上司ガイに会場から連れ出されたときも ソフィーは逆らわず、家まで送ってもらった。 これまでガイがソフィーに興味を示すことはなかったが、 今日はいつもの彼とは違う。 成り行きとはいえ、秘書であるソフィーの寝室にまで入りこみ、 迫ってきたのだーーこんなときは、慰め合うべきだと言って。 ソフィーは催眠術にかかったようにうっとりとして目を閉じ、 彼のキスに応えてしまい……。 〈強引なあなた〉と銘打ちお贈りする企画第2弾は、2000年に世界中のファンや作家仲間に惜しまれつつこの世を去った偉大なロマンス小説家シャーロット・ラムの作品です。日本で刊行された作品は100冊以上を超え、今も読み継がれています。