著者 : 尾崎士郎
家康に靡かず、志をまげず、上野の地から、一路故地、上田を目指す。上田城では、秀忠の軍勢を、さんざんに翻弄し、釘付けにする。九度山麓での隠栖、雌伏十余年、ついに大坂城からの招請が。いざ真田丸出陣ー。花の女性を鏤めつつ十勇士も奮迅の働き…豪艶雄渾に描く、驍将の生涯。大ロングセラー記念復刊。
先が思いやられるような人間になれー。これが父の教育方針だった。悪ガキとして名を馳せた中学時代を経て、青成瓢吉は早稲田大学に進学、学園紛争の口火を切る。やがてお袖との同棲生活にはまり大学を中退するが、彼の脳裏には芸妓になった幼なじみのおりんの姿が…。大志ある親友たち、味のある教師、任侠道を貫く渡世人など、脇役陣も多士済済。今、不朽の人生ドラマが幕を開ける。
河童を思わせる愛嬌者、曽呂利新左衛門は、堺でも知られた鞘細工の名人だった。信長の知遇を得るはずの日に起きた本能寺の変が、彼の運命を一変させた。雑賀衆の軍師として秀吉軍と戦い惨敗、堺に舞い戻った彼を、突然秀吉が訪ねてきた。猿面と河童面の奇妙な交流が始まる。その陰で、淡い恋が生まれ、消えた…。戦国乱世を、才覚と度胸で飄々と生きた奇人の姿を、骨太に描き出した歴史小説。
西郷隆盛と大久保利通の宿命の対決ー。近代日本の行方を決定づけた西南戦争の蜂起は、しかしあまりに無造作であった。大西郷を慕い集まった私学校生徒たちや維新以来の幕僚・桐野利秋らの奮闘を、鹿児島県令・大山綱良の悲劇を軸に描く「私学校潰滅」から、その志を継いで決起する頭山満らの「波荒し玄洋社」まで、男たちのロマンを伝える雄渾な西南戦争叙事詩。あの『人生劇場』の著者の快作。
死の床にある秀吉をめぐって、北政所と淀殿、石田三成と古参の武将たちが激しく対立。慎重に時を待つ家康の巨大な影が、無言の圧力となって人々を脅かす。知性の人・石田三成の悲劇を描いた長編歴史小説。