著者 : 山口西夏
この身を囚われるより、 心を囚われるのが怖くて……。 18歳で両親を亡くしてから働きづめのリリーは休暇のため、 ローマで伯爵ドミトリの個人秘書を務める弟を訪ねることに。 ところが、弟が伯爵の妹と駆け落ちしたと知って驚く。 しかも、妹が金目当てでたぶらかされたと信じこむドミトリに、 リリーまでが蔑みの目を向けられ、伯爵邸に閉じこめられてしまった。 彼女の弟が連絡してくるまでは解放しないという。 純粋な恋愛を不埒な誘惑と断罪したうえ、私からも自由を奪うなんて! 怒れる伯爵から逃れたくて誰かに助けを求めようと考えたリリーに、 ドミトリが告げた。「使用人には休暇をとらせたから、君と僕だけだ」 ああ、どうしよう、傲慢伯爵の籠の鳥になってしまった……! 「妹が僕のもとに帰ってくるまで、君を監視下に置かせてもらう」とんでもなく傲慢な伯爵は、とてつもなく魅力的な男性でもありました。高級服を着こなす長身のドミトリは“ローマ人とはこうあるべき”と言えるほど男らしく、リリーは思わず見とれてしまい……。
田舎の冴えないウエイトレスが、 一度のキスで富豪の妻になるなんて。 高級リゾートホテルでウエイトレスとして働くエリー。 ある夜、顧客の富豪アレックの話し相手を務めるうちに、はずみで キスを交わし、運悪く、ゴシップ紙の記者に見られてしまう。 “ギリシア富豪と貧しいウエイトレスの密会”は瞬く間に広まった。 罠にはめられたと誤解したアレックは怒り、エリーをくびにさせ、 それでも収まらず、家に押しかけて彼女をベッドへ組み敷いた。 エリーは拒めなかった。じつはずっと彼に惹かれていたのだ。 だが数週間後、事態は急変する。どうしよう……妊娠するなんて! おなかの子を、私と同じ婚外子として産み育てるのはつらすぎる。 エリーはアレックにすがって懇願した。「お願い、私と結婚して」 婚外子として厳しい人生を送ってきたヒロイン。絶対に母と同じ轍は踏むまいと頑張っていた矢先、ヒーローとのキスがきっかけですべてが一変することに。契約結婚でありながら、一日でも長く続きますようにと願ってしまうヒロインの切ない心情が胸に沁みます。
17歳の初恋。大富豪への15年愛。 再会の炎を、一瞬で消すわけにはいかない。 ペトラがどこか陰のあるギリシアの青年リサンドロスと偶然出逢い、 恋におちたのは、17歳のとき。初恋だった。 短い時間だったが言葉を交わし、軽く口づけて別れただけなのに、 彼との思い出はその後もペトラの心に深く刻まれ続けた。 15年後、女優である母の結婚式に出席したペトラは、 今や造船業界で世界のトップに昇りつめたリサンドロスと再会する。 噂では、多くの女性と浮き名を流し、女性を使い捨てしていると聞く。 少し怖いけれど、彼は大人になった私に気づいてくれるかしら? 勇気を出して近づいていったペトラに、リサンドロスが告げた。 「僕の目につかないところに消えてくれ」 15年越しのリサンドロスとの再会は、ペトラにとってほろ苦いスタートとなりました。彼の冷たく辛辣な言葉に傷つき、笑顔を消したペトラでしたが、彼はこちらの正体に気づかなかっただけと思い直します。前向きなヒロインの切ない片恋物語をお楽しみください。
小さな町からロンドン社交界へ。 私はうたかたのシンデレラ……。 きらめく海、白い波ーー美しい砂浜に一機のヘリコプターが着陸した。 降り立ったのは、ロンドンの冷徹な実業家ダリウス・ファルコン。 彼は新しくこの地の所有者となり、視察に訪れたのだ。 そこに暮らすハリエットは、浜辺に佇む彼を偶然見かけ、声をかけた。 高級スーツをぱりっと着こなした都会的なダリウスに惹かれるが、 ほどなく彼女の飼い犬のマナーを巡って口論になり、最悪の雰囲気に。 はじめは魅力的だと思ったけれど、なんて傲慢な人なの! ところが後日、元妻の結婚式に同伴してほしいとダリウスに求められ、 ハリエットは驚いた。しかも、恋人のふりをしてだなんて。 戸惑いながらも、彼女は華麗なるロンドン社交界に身を投じたーー HQイマージュ〜至福の名作選〜からお贈りするのは、RITA賞受賞作家L・ゴードンが描いた、初夏に読みたいシンデレラ・ロマンス!ダリウスの手によって魅力的に変身したハリエットは注目の的となりますが、難物である彼の父親はハリエットの存在を喜ばず……。
ジェシカは18歳のときに両親を亡くし、幼い妹を一人で育ててきた。 生活の糧は大手宝飾店の専属モデルの仕事のみだったが、 会社が買収され、新社長のギリシア大富豪の存在に、身を震わせた。 ルーカスーー8年前、やむなくプロポーズを断った元恋人。 別れたあとも、わたしはずっと密かに彼を愛していた……。 しかし、ルーカスは冷酷な瞳で専属契約の解消をほのめかしつつ、 ジェシカに大胆な衣装と宝石をまとわせると、 妖艶な大人のモデルに転身するよう厳しく言い渡した。 ルーカスの目的はベッドの上の関係だけだと察しながらも、 生活費と妹の学費のため、ジェシカは彼の要求をのむしかなかった。 〈苦労と献身の果てに〉と題して、家族を養うために頑張って働くヒロインを翻弄する愛の物語をお贈りします。ルーカスをいまだに愛するがゆえに、彼の非情な誘惑に抗いきれないジェシカ。彼との将来などないとわかっているのに……。共感必至のヒロインです!
ヴェリティは、新たに転任してきた医師を見てわが目を疑った。 ベネディクト──夢中だった恋人。手酷い裏切りを知るまでは。 ある日、なんの理由もなく彼は忽然と姿をかき消したのだ。 そのあと、妊娠に気づいたヴェリティはたった一人で産み、 心にあいた空洞を埋めるため、娘だけをよすがに生きてきたーー 弄ばれて、捨てられたのに。やりきれない傷が疼くのに。 それでも彼を前にすると、全身のほてりを抑えられない。 しかも、彼が放った言葉の刃が、ヴェリティの胸を裂いた。 「君の名は?」
アンドレアは研究のためフランスの老公爵に招かれ、 “湖の城”と呼ばれる美しいシャトーに滞在していた。 この土地は、アーサー王伝説の騎士ランスロットの故郷だ。 ある日、老公爵の息子ランスロット・デュ・ラックが帰郷する。 まるで伝説の騎士の生き写しのような精悍で美しい男性に、 アンドレアはひと目で激しく惹かれてしまう。 やがて身籠もった彼女はランスロットから求婚されるが、 この結婚を喜ばない者がいたーー彼の血のつながらない妹だ。 ずっと公爵家の妻の座を狙っていた彼女は、恐ろしい行動に出る。 性的暴行を受けたと言って、ランスロットを訴えたのだ。 “大きな愛で読む者の心を潤す”と讃えられる、イマージュを代表する作家レベッカ・ウインターズ。フランスの湖畔に立つ美しいシャトーを舞台にした、まるでおとぎばなしのようなラブストーリーをお贈りいたします。
ジェシカは18歳で父と継母を亡くし、幼い異母妹を一人で育ててきた。生活の支えとなっているのは大手宝飾店の専属モデルの仕事のみ。それだけに、今回の社長の突然の交代劇は大きな痛手だった。なぜなら、その新社長、ギリシア人富豪のルーカス・サラントスこそ、ジェシカが8年間にプロポーズを拒んだ元恋人だったから。彼は契約解消を仄めかしつつ、彼女に大胆な衣装と宝石をまとわせ、妖艶な大人のモデルに転身するよう厳しく言い渡した。今の私を全否定したいのかしら。これは過去の仕返しなの?ジェシカはわかっていた。ルーカスの要求をのむしかないことを。そして、彼の要求がさらに苛酷になっていくであろうことも。
兄の結婚式に出席するため、トリニティはイギリスに戻ってきた。式が執り行われる教会で再会したのは、初恋の人ザイード!兄の学友で、砂漠の王国イシャラの王子だ。10年前、トリニティはイギリスで学んでいたザイードに心奪われ、初めてのキスを彼に捧げ、この家から連れ出してと訴えた。だが、ザイードはつれなく母国に帰り、忌まわしい出来事が起こった。トリニティは伯母の夫に襲われて身ごもり、その子を流産したうえ、政治家一族の体面のために事件は闇に葬られたのだ。式のあとザイードと二人きりになると、トリニティは感情がこみあげ、衝