著者 : 山手樹一郎
南町奉行矢部駿河守が罷免となり、配下の大川忠介は一切の行きがかりを捨てて自ら浪人となった。ふらりと町に出た忠介は、やくざ者に追われるお美也を助けるが、寝床のあてがなく、うどん屋で出会った善助の家に招かれる。しかしそこは、悪党浪人たちの巣窟「はだか長屋」の一軒だった。新参者の忠介たちから金を騙しとろうとする住人たち。欲にまみれた長屋ではあったが、彼らに人間としての生きる術を教え、仕事や役目を与えていくうちに、ごろつきたちは心を入れ替え、忠介とともに命がけで面倒ごとを解決していく。
南町奉行矢部駿河守が罷免となり、自ら浪人となった大川忠介。悪党浪人たちの巣窟「はだか長屋」に世話になることになったのだが、彼らに人間としての生きる術を教え、仕事や役目を与えていくうちに、浪人たちは忠介のために命がけで働くようになっていった。ところが、ある事件をきっかけに、新奉行の鳥居甲斐守一味から追われる立場になった忠介は、長屋仲間たちの前からも姿を消してしまう。しかし、いっこうに治まらない卑劣な魔の手。忠介は鬼となることを決め、権力を握る者どもに立ち向かうのだが…。
元禄14年3月14日、江戸城内松の廊下で重なる恥辱に堪忍袋の緒をきった浅野内匠頭が、吉良上野介に刃傷に及んだ事件は、“忠臣蔵”として映画や芝居ですでにお馴染み。本書は、家禄を失った赤穂浪士たちが、翌元禄15年12月15日未明、本所吉良邸に討入り、見事亡君の無念を晴らすまでの辛酸と討入り後の処遇を克明に描いた異色の“忠臣蔵”。
桜吹雪の入れ墨も彫り上り、船宿「船徳」の看板娘お玉ちゃんを首ったけにするほど、遊び人ぶりが板についてきた金さん。例によって重五郎親分が「ちょいとお知恵を拝借…」とばかり、難事件を持ちこんでくる。後年、酸いも甘いも噛み分けた名裁きの素地は、この時期に培われたものであることは、いうまでもない。全篇に躍動する金さんの魅力。
背中から二の腕にかけて彫られた桜吹雪のイレズミーとくれば、これはもう映画、テレビでお馳染みの遠山桜。後年、大目付から勘定奉行、町奉行の要職をつとめた遠山金四郎の、これは柳橋の船宿「船徳」に居候をきめこんで遊び人修業に精を出していたころの物語。数ある“金さんもの”の中でも、さすがに折目正しく格調高い“元祖”ともいうべき異色作!!
35万両の大金と共に忽然と江戸から消えた長崎平戸屋仁右衛門…。その父の復讐を誓い策を弄する娘・お美津。何かを探ろうと苦心する娘曲芸師小狐太夫と、阿保八と名乗るのんびり浪人の2人旅は…。欲に憑かれた者たちが江戸から安房へそしてまた江戸へ。波瀾の人間葛藤を描く大長編!