著者 : 山本俊子
あんたとマイケルのことは知ってるよ-大学で英文学の助教授をしているケイトは、繰り返しかかってくる脅迫電話に悩まされていた。単なる嫌がらせとしか思えない内容だったが、あまりの執拗さに耐えかねたケイトは自らの手で犯人を捜しだそうと決心する。一方、彼女の恋人のジャック・ストライカー警部補は、二件の事件を抱えていた。人類学部の女性助教授が自宅で射殺死体で発見されたのに続き、若い医学生が病院近くの路上で惨殺されたのだ。有能で勤勉、誰からも愛されていた二人が、なぜ?大都会グランサムに展開するサスペンス大作。
1876年、建国百年記念万国博に沸き立つフィラデルフィア。だが会場の警備に就いている警官マクリアリーは失意に沈んでいた。事件解決の失敗で刑事の職を追われたのだ。おまけに今夜は金持ちたちを歓楽街へ案内しなければならない。渋々夜の街へ出るマクリアリーだが、退廃と虚飾に彩られたそのツアーの最後に、まさか少女の惨殺体を発見することになるとは…刑事魂がマクリアリーの胸に甦った。だが、上層部は彼を捜査から遠ざけようとする。事件の裏に何かが潜んでいるのか?力感溢れる筆致で描かれ、MWA賞に輝いた歴史ミステリの傑作。
年一回のバザーの準備中、アニーの友人の女性が失踪した。心配で胸がいっぱいのなか、バザーの運営メンバーが撲殺体で発見され、当の女性に殺人の容疑が!なぜ彼女が殺人現場に?被害者が残したメモをもとに、アニーは町の住民の秘密を探るが…友人の無実を信じ、ミステリの知識を駆使してアニーが謎に満ちた殺人の真相に挑む、好調シリーズ第九作。
楽しいはずの独立記念祭をひかえて、アニーの心は重かった。元軍人のハッチが、図書館の理事として、記念祭の行事に横槍を入れてきたからだ。彼の差別主義的な言動には、もはや我慢がならない。ところがそのハッチが、記念祭の花火の最中に衆人環視の中で突然射殺された!容疑を受けた黒人青年の無実を信じ、アニーとマックスは、真犯人探しに乗り出す。
事故を起こした自動車は道路脇の木に衝突して大破していた。運転していた老人は息も絶え絶えに「あれは事故じゃない…あいつがやらせたんだ」とつぶやいて事切れた。ハロウィーンを間近に控えたブラックウォーター・ベイの町で、一人の老人が自動車事故で死亡した。保安官のマット・ゲイブリエルに打ち明けたいことがあるという電話をかけてきた直後のことだった。未亡人によれば、彼は毎年この時期になるとふさぎこみ、何かに怯えていたという。老人が告白したかったこととは何だったのか。死に際の言葉の謎を探り始めたマットは、やがて三十年前の恐るべき出来事に突き当たる。さらにハロウィーンの当夜、仮装姿の無惨な死体が発見されるに及び、事件は意外な方向へ…。『ブラックウォーター湾の殺人』につづき、風光明媚な別荘地を舞台にサスペンスとロマンスをふんだんに盛り込んで描く、ゴズリング会心の最新作。
ロンドンの中心部に住む三人の老姉妹の長姉が、自宅で不審な死を遂げた。辣腕で鳴るブロック主任警部と女性の部長刑事コーラの捜査で、長姉には再開発業者との対立など、様々な問題があったことが判明した。しかし捜査は進展せず、打ち切られてしまう。が、やがて姉妹の一人がまた謎の死を。思想家マルクスの秘話を巧みに織り込み、意外な結末で描く注目作。
シングルマザーの再就職にしちゃ悪くないわ。面接の際の奇妙な雰囲気に戸惑いながらも、アンは採用されたことを喜んだ。ところが出社第一日目、社長が殺され、アンにその容疑が。独自に調査を始めると、健康マニアの副社長、オーラ信者の総務係など社員は怪しい人間ばかり。やがて、社長の極秘ディスクを手に事件の謎を追うアンの命が狙われた。急成長するコンピュータソフト会社を舞台に素人探偵アンの推理が冴える。
アニーは胸の高鳴りを抑えられなかった。自分の企画した〈クリスティー記念祭〉が、ついに開幕するのだ。人気のミステリ作家も参加してくれるし、催し物も盛りだくさん。誰もが楽しんでくれるにちがいない。が、その記念祭に本格ミステリ嫌いの冷酷な評論家が闖入してきて、おまけに連続殺人が…。ミステリの女王に捧げられた、とびっきりの本格ミステリ。
楽しみにしていたハネムーンもおあずけだった。ミステリ専門書店を経営するアニーとマックスの結婚式の当日、なんと町の嫌われ者が殺されたのだ。しかも、容疑者はアニーの親友イングリッド。アニーとマックスは新婚気分も返上で犯人探しに乗り出すが…。前作『舞台裏の殺人』に続き、二年連続でアンソニー賞を受賞した話題の本格ミステリ・シリーズ第二弾。
簡単な仕事で報酬は5000ドル。美容師のアンが恋人のトムから持ちかけられた話は最初から裏がありそうだった。トムの上司が麻薬中毒の妻を立ち直らせるため、4歳の娘の狂言誘拐を仕組んだというのだ。しかし娘を誘い出した直後に上司が何者かに殺され、警察も介入…誘拐はいつしか本物に!錯綜していく事件を緊迫感溢れるタッチで描く誘拐犯罪サスペンス。
秋も深まってきた10月のある朝、ふだん静かなフラトロラム村が興奮につつまれた。パブ栗駒亭に泊っていたアメリカ人旅行者が刺殺体となって発見されたのだ!昼は村の便利屋、夜は密猟者という二つの顔を持つダン・マレットは、犯行のあった晩、新任司祭の就任式でこのアメリカ人を目撃していた。そして、新任司祭の若妻サンドラがこの男を見たときの苦渋の表情も、式のあとで彼女がこっそりパブへ忍んでいった姿も…。“殺人”だけでも珍しいのに“アメリカ人”というおまけまでついて、パブでの噂話はいやがうえにも盛り上がった。一方、怯えるサンドラの姿に同情したダンが、警察の目を彼女からそらせようと、容疑者になりそうな村人を片っ端から犯人に仕立ててはその推理をパブで流していったため、村は容疑者だらけに!自由と自然を愛するアウトドア探偵ダン・マレットの活躍を描く、英国流ユーモアただようシリーズ最新作。
なくなったのは、チョコレートケーキと板チョコが二つ。他には何も盗られたものはなかった。だが、だれかが家に入りこんだのはまちがいない。灰皿には吸殻が山盛りだし、家具の位置もちがっている。しかも、その後も、アイリーンが家をあけるたびに、見知らぬだれかが家で週末を過ごしているのだった。そしてある日、アイリーンは、クロゼットの園芸用長靴の中にマリファナがつっこまれているのを見つけたのだが…泥棒と家主との奇妙な交流を描いた上記「映画ベストナイン」をはじめ、犯罪にまつわるユーモラスな出来事を綴った14篇を収録。