著者 : 山本幸久
女子高生の真弓子は大河原くんに片思い。告白したいけどできない、そんな真弓子を見守っているのは柴犬のベンジャミン。真弓子の大切な“話し相手”だ。KYな同級生ゲロサキに振り回されつつも、真弓子の恋心は燃え続ける。だが、やがて、大河原くんに年下の恋人ができて…。不器用な女の子の切ない日々をかろやかに描く、とっても素敵な青春ラブストーリー!
中学2年の夏休み。新学期を間近に控え静男は途方に暮れていた。生後5ヶ月の優作を置いて、母親の花音さんが失踪。「いま、ぼくにとって家族といえる存在は優作だけだよ」-父親として赤ちゃんを守ろうと必死で奔走する少年の前に現実の壁が立ちはだかる。孤絶感にさいなまれながらなお、命の絆を手放すまいとする14歳の父の奮闘を名曲「グリーングリーン」にのせて描く異色の育児小説。書き下ろし「カブになれ」収録。
「あたし今度、自分で店、開くんだ」。海外出張先への国際電話で娘に告げられ、宍倉勲は絶句した。就職したばかりの大手企業をすぐ辞めてしまったと思ったら、今度は何を言い出すのかー(「マスターと呼ばれた男」)。時に社長として、時にヒラ社員として、誠実に働き続けてきた男。彼と娘との関係、家族の歴史を時をさかのぼりながら描く連作長編。文庫化に際し書き下ろし短編を特別収録。
わがままで強面だが人望厚い営業チーフ、いつも作業着姿の昭和風二枚目施工監理部員、掟やぶりのヒラメキ型デザイナー。彼ら“魔のトライアングル”三人組と内装会社の同僚達が、莫迦で無茶で情熱一杯に働く姿を描いた、胸を熱くさせる傑作ワーキングストーリー。文庫書き下ろし短篇「シューカツデイズ」を収録。
我が子の相手探しに結婚セミナーに奔走する親たち、その切実な願いを軽やかにひっくり返す息子&娘たち…。さらには事態を混乱させる小悪魔少女や謎のストーカーも絡んで事態は思わぬ方向へ-。
映画好きが高じてフリーの宣伝マンをする藍子36歳。仕事は順調だが、W不倫の果てにフッた男が仕事場に現れ復縁をせまり…(『敵の女』)。22歳の真紀はデザイン会社で働く。今は仕事よりも来月入籍するバツイチのカレが大事。だが、その元妻と仕事をすることになり!?(『Aクラスの女』)。など、恋と仕事にまっすぐ生きる女たちをリアルに描いた連作短編集。文庫のため新作書き下ろしを特別収録。
定年間近の平凡な会社員・虹脇は、突然部下の美人OLから飲みに誘われる。手を握られながら「副社長を殴ってほしい」と頼まれてー。(「ハッピー・バースディ」)。売れないアイドルのミドリは、今日もオタク相手に撮影会。しかしその帰り、子連れの元カレと再会し…(「五歳と十ヵ月」)。さえない日常の中にある、小さな幸せときらめきを描いた短編集。文庫化に際し、書き下ろし短編を特別追加。
叔母さんは、トラブルとともにやってくる。27歳未婚。定職ナシ。男を見る目ナシ。いつも厄介を引き起こしては投げ出して-『笑う招き猫』の山本幸久が描く“居候美女”の痛快爽快・逃げっぱなし人生。
男と並んで愛誓うより、女と並んで笑いを取る、それが二人のしあわせなのだ!駆け出しの漫才コンビ、『アカコとヒトミ』。超貧乏で彼氏なし、初ライブは全く受けずに大失敗。おまけにセクハラ野郎の先輩芸人を殴り倒して大目玉。今はぜんぜんさえないけれど、いつかはきっと大舞台。体に浴びます大爆笑ー。夢と笑いとパワーあふれる傑作青春小説。第16回小説すばる新人賞受賞作。