著者 : 山本文緒
実乃に中学二年の夏休みがやって来た。特に変わったこともない静かな町で、便利屋の父親を手伝っていたそんな時、実乃が密かに心を寄せる永春さんの同級生、ロック歌手の黒木洋介のコンサートが開かれることになるが…。何かすばらしいことがあるかも知れない、そんな少女の季節を描いた、清々しくほろ苦い青春物語。
短時間、正座しただけで骨折する「骨粗鬆症」。美人と言われてトイレにも立てなくなる「便秘」。恋人からの電話を待って夜も眠れない「睡眠障害」。月に一度、些細なことで苛々する女の「生理痛」。フードコーディネーターを突然、襲う「味覚異常」…。恋が、仕事が、家庭が、女たちの心と体を蝕んでゆく。現代女性をとりまくストレス・シンドロームと、それに立ち向かい、再生する姿を描く10話。
中学2年の実乃は4年前に母親を亡くして、今は父親と姉・花乃の3人暮らし。初めはショックから立ち直れなかったけれど、ようやく元気を取り戻したそんな時、突然父親が早く帰宅して、「会社を辞めた」という。原因は姉が補導されたこと…またしても新たな試練が訪れた!何気ない日常のなかで揺れ動く家族と、淡い恋の予感。少女の成長を明るくドラマチックに描いた、山本文緒のルーツともいえる傑作長編。
1967年、わがままで甘ったれのマリ、7歳。12歳のマーティルとの日々が始まりだった。10年が経ち、また10年…そして2027年。あの時「一緒に暮らそう」と言ったマーティル。今ここで別れたらもう一生彼には会えない。しかし頷いてしまったら二度と家には戻れない-。何を得るのが幸福なのだろうか。捨てることが出発だったのか。愛に翻弄されて、救済される-危うい家族関係の中に描く人間の愛憎。長編エンタテインメント。
大人になるにつれ、時間はだんだん早くなる。物事は思った以上に早いスピードで流され、手のうちからこぼれおちていく。そんな時、大切な何かをひとつずつ失ってはいないだろうか?例えばそれは恋、信頼、友情だったり…。そうして残されるのは自分だけ。喪失を越え、人はたったひとりの本当の自分に出会う。希代のストーリーテラーが贈るかなしくも、いとおしい自分探しの物語。
あなたの夢はなんですか。仕事に満足してますか、誇りを持っていますか? 専業主婦から看護婦、秘書、エステティシャン。自立と夢を追い求める15の職業の女たちの心の闘いを描いた、元気の出る小説集。
結婚して子どももいるはずだった。皆と同じように生きてきたつもりだった、なのにどこで歯車が狂ったのか。賢くもなく善良でもない、心に問題を抱えた寂しがりたちが、懸命に生きるさまを綴った短篇集。
椿、二十三歳。美貌に生まれた女に恐いものはない。何もかもが思い通りになるはずだった。しかし祖母がボケはじめ、父が破産、やがて家や職場で彼女の心の歯車はゆっくりと噛み合わなくなってゆく。美人だって泣きをみることに気づいた椿。弱者と強者、真実と嘘…誰もが悩み傷つくナイーヴな人間関係の中で、ほんとうに美しい心ってなんだろう?清々しく心洗われる、“あなた”の魂の物語。
広告代理店勤務のスマートな男と結婚し、東京で暮らす佐々木蒼子。六回目の結婚記念日は年下の恋人と旅行中…そんな蒼子が自分のそっくり「蒼子B」と出くわした。彼女は過去の記憶をすっかり共有し、昔の恋人河見と結婚して、真面目な主婦生活を送っていた。全く性格の違う蒼子Aと蒼子B。ある日、二人は入れ替わることを決意した。誰もが夢見る「もうひとつの人生」の苦悩と歓びを描いた切なくいとおしい恋愛ファンタジー。万華鏡のような美しい小説。
都会の片隅でひとり暮らしをし、父親のコネで入った信用金庫で居心地のいい生活を送っている平凡なOL・鈴木深文。上司や同僚ともそれなりにうまくやっていたが、ひとりの新人の女の子が配属された時から、深文の周りの凪いでいた空気がゆっくりと波をたて始めたー。現実から逃げだしたいと思いながらも、逃げだすことをしない深文の想いは、短大時代の友人月子のいるハワイへと飛ぶ…。あなたの周りにもあるような日常を、絶妙な人物造形で繊細に描く、驚くほど新鮮なPL物語。
わたしは塔に閉じ込められていた。主婦という鎖を身にまとい、まるでグリム童話のラプンツェルのように…。汐美28歳。主婦歴6年、子なし、夫不在。この本の中にあなたはいますか。
彩女の彼氏は数学の長沢先生。もちろん学校にはナイショのおつきあい。親友の結花や鳥海緒は心配するけれど、オトナの彼氏を持っているのが彩女には嬉しい。でも、ある日先生から高価でオトナっぽいプレゼントをもらって、ちょっぴり気が重くなる。彩女は本当は可愛いものが好きなのだ。そんな時、彩女はたまたま訪れた病院で、意外な人と再会し…。好評、学園恋愛ジャンクション第4弾。
野々子と周太郎は幼なじみ。ケンカもよくするが、野球少年の周太郎をいつも野々子は必死に応援していた。そのかいあってか、周太郎は見事甲子園に出場。試合は1回戦で敗れたものの、エースの咲坂と並んで人気者になっていた。浮かれる周太郎に野々子は不安をつのらせる。まだ周太郎から「好き」という言葉を聞いていないのだ。そんな時、周太郎がプロ野球に行くかもしれないと聞き…。