著者 : 山本礼緒
夫に愛を求めてしまうのは、 そんなに罪なことなのでしょうか? まだ学生の妹を養うため、エティは昼も夜も働きづめだった。 ある日、職場のオーナーであるギリシア人富豪レオンに誘われ、 ディナーを楽しんだエティは、たちまち彼の魅力の虜となり、 誘惑されるまま一夜をともにしてしまう。 これは今夜かぎりの夢。彼は雲の上の人なのだから……。 数週間後、医師から妊娠を告げられ呆然とするエティに、 レオンは結婚を申し出た。「子どもには父親が必要だ。 きみへの経済援助もしよう。ただし僕は愛を信じていない」 憧れていた結婚とはほど遠い現実に、エティは身を震わせた。 しっとりとした大人の情感を描いて人気のナタリー・アンダーソン。本作でも、思いがけない妊娠により、手の届かない存在だったヒーローと結婚することになったヒロインの複雑な心のうちが切々と綴られています。情熱的なラブシーンとの対比も見どころです。
イタリアを一人旅してまわっていたケイティは、アマルフィの海岸で最悪の事態に陥った。一瞬の隙にパスポートの入った荷物を盗まれてしまったのだ。途方に暮れる彼女の前に高級車が停まり、思いがけない男性が降りてきた。ジャレッド!なぜこんなところにいるの?5年前、彼とキスを交わしたあとで拒絶された苦い記憶が甦る。大富豪ジャレッドは事情を聞くと彼女を強引に車へ押しこんだ。満月の下、白く輝くヴィラに着き、ケイティは息をのんだ。ここで二人きり?盗み見た彼の顔に蠱惑の笑みが広がった。
突然の事故で亡くなった夫の葬儀に参列していたナターシャは、参列者の中に形成外科医マッテオの姿を見つけて激しく動揺した。無理もなかった。7年前、彼女はあるパーティで彼とキスをして、その2時間後に彼のいとこのプロポーズに応じたのだから。葬儀の夜、怒りに満ちたマッテオの来訪を許したナターシャは、抑えがたい衝動にのみ込まれ、気づけば彼に身を捧げていた。なんて愚かなまねをしてしまったの?さらに妊娠の兆候まで現れ、追いつめられた彼女は心を決めた。全てをマッテオに打ち明けるしかない。隠してきた結婚の秘密を。
ウエイトレスをしながら大学に通うベイリーは、恋人との結婚を夢見ていたが、ある日突然別れを告げられた。数カ月後、新聞の1面に見覚えのある顔を見つけて彼女は驚愕する。ラファエル!まさか彼がイタリアの小国の大公だったなんて。じつはベイリーのおなかには小さな命が宿っていた。そこへラファエルが何事もなかったように現れ、身勝手にも以前のような気楽な関係を続けたいと主張した。だがベイリーが妊娠の事実を告げたとたん、彼の表情が変わる。「名誉と義務が最優先だ。君を妃として迎える」冷たい声が言った。
婚約式の翌日、アマヤは婚約者の前から黙って姿を消した。兄の決めた政略結婚に一旦は同意したが、やはり間違いだった。婚約者であるシーク、カヴィアンはハーレムを持ち、そこに大勢の女性を囲っているとの噂を耳にしてしまったのだ。そんな人と結婚したら、わたしも母のようになってしまうわ。父の愛を得られず、心を病んだ母のように。半年後、居場所を突きとめられたアマヤは強引に連れ戻され、待ち受けていたカヴィアンから耳を疑うような言葉を投げられる。「さて、まずは服を脱いでもらおうか」