著者 : ハイディ・ライス
両親を亡くした天涯孤独のエリーは、故郷スコットランドから憧れのニューヨークへやってきた。早速ウエイトレスの職を得て、パーティ会場で働くが、運悪く泥酔客に絡まれ困惑していた。すると主催者の富豪アレックスが現れて彼女を救い、連れ帰った。なんて素敵な人!救世主の虜になったエリーは純潔を捧げるが、翌朝、彼女の瞳の特徴的な斑点に気づいた彼の様子が急変する。「その瞳は…そうか、きみは最初から金目当てだったのか!」訳がわからず傷ついたエリーは逃げ出すが、なぜか彼からDNA鑑定を求められ、結果が出るまで傍にいるよう迫られる。
オーラはずぶ濡れの下着姿で、異国の皇太子カリムの前にいた。皇太子は負債を返せなくなった彼女の牧場を買いに来たのだ。並はずれて凛々しい男性に、こんな姿を見られるなんて。屈辱感に震えつつも、オーラは着替えて契約の話し合いに臨んだ。ところがカリムは彼女に年齢を尋ね、22歳という答えを聞くと驚くようなことを言った。「僕の婚約者になってくれ」毎日泥と汗で汚れてばかりの、ろくにデートの経験もない私が?オーラが真っ赤な顔であわてていると、皇太子は冷笑した。「君と結婚するつもりはない。恋人らしいことをするつもりもだ」
モンローヴァの王女ジュノは16歳のとき、憧れていた隣国の王子レオに、舞踏会でキスをせがみ、冷たく拒まれた。「子供にキスしたいと思う男など、どこにもいないよ」と。その後、両親の離婚で母とともに国を追われ、8年。ある日、祖国で父と暮らす生き別れの双子の姉が、誰あろうレオと政略結婚すると聞き、矢も盾もたまらず、ジュノは祖国へ向かった。姉と瓜ふたつの顔を怪しむ者はなく、姉妹は抱き合って再会を喜んだ。やがてジュノは言った。結婚を阻止する方法は一つー自分と入れ替わることだと。「昔、手ひどくふられた私なら、レオが気に入るはずないもの」-王にプロポーズされた物静かな女性が、突如セクシーに大変身?!人工授精でもうけるはずだった世継ぎを、自然な方法で授かることに!はたしてヒーローは、ふたりの入れ替わりに気づいているのか…?
カーラが家政婦としてつきそった老齢の葡萄園主が亡くなった。死後に開示された遺言で、カーラには未払いの賃金だけでなく、土地や屋敷までもが遺されていたことが判明する。これに異を唱えたのが、故人の商売敵のマキシム・デュランで、一代で莫大な富を築いた、若くハンサムな大富豪だ。ずっと彼に密かに惹かれていたカーラは、反発しながらも、互いの間に高まる情熱の炎に抗えず、純潔を捧げてしまう。だが翌日、手酷い裏切りに遭ったカーラは自らの過ちを知る。すべてを捨てて逃げ出すが、彼女はすでに身ごもっていて…。
ベルは大富豪ギャランティ家の家政婦の娘だった。一家の次男レミーは親友で、長男アレクシーは初恋の人だ。ある夜、深い苦悩に沈んでいたアレクシーを放っておけず、ベルは彼を慰めたい一心で、心からの愛と無垢な体を捧げた。ところが、君は弟の恋人なのに兄も誘惑するのかと誤解され、不慮の事故でレミーが亡くなると、君のせいだと責められ、ベルは屋敷を追い出されてしまったー彼の子を宿したまま。5年後、ベルと幼い息子の前に、不意にアレクシーが現れる。息子を見た彼は言った。「君は…弟の子を産んでいたのか!」
カシアは大学の研究のため訪れた砂漠で砂嵐に遭い、間一髪のところを、馬に乗った逞しい男性に救われる。テントにたどり着き、彼の顔をよく見たカシアは驚愕した。なんてこと…。この方は、国王の弟ーレイフだわ!プレイボーイ王子と名高いレイフの男性的魅力は圧倒的で、カシアは導かれるまま、彼と共に情熱の高みに舞い上がった。だが甘い名残にたゆたう彼女に、レイフが衝撃の宣告をする。王家の者が無垢な乙女と枕を交わしたならば、二人は結婚しなければならないーそう掟に定められている、と。
ある嵐の夜、苦学生のアリーは仕事で訪問した豪邸で、思いがけず初恋の人ドミニクと再会した。長年秘めてきた想いが溢れだし、アリーは誘惑されるまま純潔を捧げてしまうが、翌朝、すべては彼の計略だったと知る。「半年間ぼくと結婚してほしい。仕事上、“妻”が必要なんだ」学費は肩代わりしてくれるという。何より、短い間だけれど、ドミニクと一緒に過ごせるー愚かにも、アリーはうなずいた。数日後、簡素な式が執り行われ、新婚生活が始まるが、あの甘い一夜が嘘のようにドミニクは冷淡になって…。
その日、キャットは息を切らして上司のもとに駆けつけた。そこで信じられないほどハンサムな男性に目を奪われる。人々から神のごとく崇められている王ゼインは、キャットに仕事を依頼し、その日のうちに自分の国へ連れ去った。外国人が訪れない土地で、彼女は王のために働くことになった。そしてある日の深夜、黄金の宮殿の夢のように美しい部屋へ迷いこんだとき、王に誘惑されて純潔を捧げてしまう。キャットは知らなかった。この国では王と結ばれた無垢な女性は、宮殿から出ていけなくなるのだとー。ヒーローと一夜を過ごしたあと、結婚という自分の運命を知り、恐れおののくヒロイン。彼は王として、国の人々から大変な尊敬と憧れを集めていた。冴えない自分がそんな男性の妻になる?妊娠がわかると、ヒロインはますます追いつめられて…。
幻ではない。目の前にいるのは、本当にジオだわ!酔っぱらいに襲われたイシーを助けてくれたのは、たしかにあのジオージョバンニ・ハミルトンだった。子供のころ、イシーの母が家政婦をしていた公爵家の御曹司だ。高貴でありながら、不良っぽい陰のある彼はイシーを夢中にさせたが、17歳の誕生日の夜、幼い恋心は粉々に打ち砕かれた。君の純潔など重たいだけだと、冷たく拒まれてしまったのだ。再会に戸惑う彼女を、彼は10年前よりセクシーになった瞳で見つめた。「大人になったな、イシー。そろそろ仲直りしないか?」そう言うと、彼は口もきけずに立ちすくむイシーの唇をふさいだ。
世界的なホテル王ルーカス・ブラックストーンが催す盛大な舞踏会に、ブロンテは必死の思いで潜りこんでいた。清掃係の彼女が独りで育てている亡姉の息子が難病を患い、骨髄移植が必要だが、甥の父親も亡くなり、ブロンテは不適合。最後の望みは甥の伯父にあたるルーカスにかかっていた。だが彼はブロンテを一瞥するなり睨めつけ、ダンスに連れだすと強引に唇を貪り、罵ったー彼女の姉が金目当てで妊娠したと。違うわ!酷い侮辱に身を震わせながら、ブロンテは耐えた。悪魔にこの身を捧げてでも、あの子は守ってみせる…。貧しいながらもいとしい甥を守り抜こうとするヒロインの無垢な強さ。愛を信じず、その表し方もわからないヒーローの孤独と哀しみ。読み進めるほどにじわじわと目頭にくる…泣けるロマンス。
イタリアを一人旅してまわっていたケイティは、アマルフィの海岸で最悪の事態に陥った。一瞬の隙にパスポートの入った荷物を盗まれてしまったのだ。途方に暮れる彼女の前に高級車が停まり、思いがけない男性が降りてきた。ジャレッド!なぜこんなところにいるの?5年前、彼とキスを交わしたあとで拒絶された苦い記憶が甦る。大富豪ジャレッドは事情を聞くと彼女を強引に車へ押しこんだ。満月の下、白く輝くヴィラに着き、ケイティは息をのんだ。ここで二人きり?盗み見た彼の顔に蠱惑の笑みが広がった。
家族を捨てて愛人と出奔した母を反面教師に、ミーガンは女性らしい楽しみも恋愛も犠牲にして、父の経営する会社で仕事だけに打ちこんできた。そんな彼女に、父は突然非情な命令を下した。大富豪ダリオ・デ・ロッシを誘惑し、身辺を探れですって?だがある慈善パーティで彼に会ったとたん、ミーガンの頭から命令は消え、情熱の赴くまま、身も心も彼に捧げることに。翌朝、激怒した父から暴行を受けて気を失ったミーガンはすべてを忘れてしまうー命を授かった夢の一夜も、その相手も。