著者 : 山田信子
視力を失いつつある幼い娘の手術費用を貯めるため、ジーナは3つの仕事を掛け持ちする過酷な日々を送っていた。そんなある日、昼の事務仕事のオフィスに、一人の男性が現れたー忘れたくても忘れられない、リアム・シャノン!亡き夫の友人でありながら、結婚式の日に私を誘惑した男。私は不埒なキスをされて驚き、参列客の前で彼を平手打ちしたのだった。あれから6年のあいだ音信不通だったのに、なぜ今になって…?2年前に夫が事故死したことをジーナが伝えると、リアムは一瞬ひるんだのち、昔と変らわぬ傲慢さで残酷にも言い放った。「彼が亡くなったのなら、僕を止めるものは何もない」
ジャスティン・ド・ウルフとの出会いは衝撃的だった。パーティ会場で異彩を放つ、黒い眼帯をした長身の男性が銀色の瞳をきらめかせ、不敵な笑みを投げかけてくる。彼は決して愛など信じない危険な一匹狼だと言われているが、キャロラインは駆け落ち同然に彼と結婚したーいつか彼の心を溶かす日が来ると信じて。そして今日、キャロラインの最高のニュースを夫に伝えた。赤ちゃんができたの…。だがジャスティンの返事は、思いもよらないものだった。「その子は、僕の子ではないよ」。
18歳でクラリッサは、心から慕っていたロブと結婚した。でも一回り近くも年上のロブが優しすぎて、ときどき不安になる。富豪の夫は幼いクラリッサを愛しているわけではなく、兄と父を亡くした彼女と母を救っただけではないか。厳しい親に躾けられて、寝室の行為もほとんど無知に等しかった。だからきっと彼を失望させているはずだと…。妊娠が発覚した夜のこと、クラリッサの予感は的中する。自分の母親とロブが熱く抱擁している姿を見てしまったのだ。動揺した彼女は「私でごめんなさい」と謝り、すぐさま逃げた。
ケイトはブラジルの山間部の町へやってきた。大企業ミンバスコ社の社員に英語を教えるために派遣されたのだ。到着早々、彼女は驚くべき事件に巻きこまれる。まさか滞在先のホテルに血まみれの男が倒れ込んでくるなんて!なんて恐ろしいところに来てしまったのかしら。慌てて助けを呼んだケイトは、その男の兄だというルイスから突然、無礼な言葉を浴びせかけられ、ショックを受けた。どうやらケイトが事件の主犯だと勘違いしているらしい。翌日、出社した彼女は、社長を紹介されて思わず凍りつく。目の前で、まさに昨日の尊大な男、ルイスがこちらを睨んでいた。