著者 : 山野紗織
文字どおり灰かぶりの私が、 この麗しき皇太子の花嫁……? 幼い頃に両親を亡くし、車の整備士の伯父に育てられたイジー。 その伯父も亡き今、天涯孤独の彼女に遺されたたった一つの母の形見は 家族に伝わるという古い木箱だが、鍵がないため中身を知らない。 ある日、イジーの職場に黒塗りのリムジンが横づけされた。 側近を従えて降りてきたのは、ブルーグリーンの瞳の端整な若い男性。 「イザベル・ポーサードだね。僕はベルノニアの皇太子ニコラだ」 親しい人しか知らない彼女の本名を口にした彼は、驚きの告白をした。 「君が持っている箱は、君が赤ん坊のときに僕が贈ったものだ。 王子が結婚するとき、妻に“花嫁の箱”を贈る。僕は君の夫だ」 口をぽかんと開けたイジーをまっすぐに見据え、ニコラは鍵を差し出した。 アメリカの片田舎で育ち、車の整備士として額に汗し、油まみれの手で懸命に働くこの私がプリンセスだったなんて! みずからの出自に驚くイジー。けれども、ニコラ皇太子は別の国のプリンセスと結婚するために、イジーとの婚姻無効を望んでいるのでしたーー
幼くして両親を失った天涯孤独のナタリーにとって、 隣人で、大牧場の所有者、キレイン家の人々は家族も同然だ。 なかでもマックは、ある日を境にかけがえのない存在になった。 友人を亡くし、涙にくれる17歳のナタリーの肩を抱き、 甘い口づけでなぐさめてくれたあの夜から……。 愚かにも彼に純潔を捧げる日を心待ちにしていたのに。 あるとき、マックの妹の恋人を奪ったと誤解され、 それを信じた彼の、冷たい言葉にナタリーの心は砕け散った。 「二度とこの家に来るな」--彼女は誰にも告げず故郷を去った
あるときキャロラインは富くじで豪華海外旅行を当て、 異国情緒あふれる魅惑の国、西バラカットにやってきた。 案内役として現れたカイファルに導かれながら時をすごすうち、 知性と気品に満ちたその男性の虜になっていった。 生まれて初めて抱く愛に戸惑うキャロラインだったが、 彼から誘惑されると、抗うすべもなく身も心も捧げてしまう。 しかし、次に目を覚ましたとき、思わぬ事態が待ち受けていた。 周囲に王子と呼ばれるカイファルに、こう告げられたのだーー ここは宮殿のハレムの一室で、あなたは私の人質なのだ、と。
あきらめたはずの愛が再び燃えあがり、 彼女の心を焼きつくす。 嵐の夜、シャイアンは海で溺れかけた男性を助けた。 野性的な魅力をもつ彼の虜になり、純潔を捧げたあと、 しかし彼の正体を知って愕然とする。 カッター・ロードーー 名家の御曹司の彼はシャイアンを、弟をたぶらかす悪女と思い込み、 排除するために近づいたのだった。 私はカッターに騙されたのだ……。 シャイアンは絶望し、カッターの弟と形だけの結婚をする。 7年後、夫が亡くなり、カッターを頼らざるを得ない状況に追い込まれた。 息子を誘拐されたのだーー7年前に身ごもった、カッターの子を。 様々な時代の選りすぐりのディザイアの話題作をお贈りする“ハーレクイン・ディザイア傑作選”。今作は、野性味溢れるヒーロー像で大人気のベテラン、アン・メイジャー。シークレットベビーをテーマにドラマチックな愛憎劇を描きます。
少年に身をやつした彼女が恋した、 黒い瞳の気高きシーク。 オーストラリアの難民収容所で、ハニは身を守るため 少年のふりをしてつらい暮らしに耐えていた。 ほんとうの名前も、自分が何者なのかもわからない。 ある日、走ってきた車にあやうく轢かれかけ倒れたハニは、 中から現れた黒い瞳の堂々たる体躯の男性を見て、息をのんだ。 端整で誇り高い顔。この辺では見慣れない白い外衣とかぶりものーー きっと高貴な身分の人なのだろう。私には縁のない世界の。 ハニは病院へ行こうという彼の言葉に返事もせず、その場を立ち去った。 後日シャリフと名乗る彼が再び現れ、ハニに伝えたいことがあると言う。 まさかこの人は……わたしが女性だと気づいているの? 様々な時代の選りすぐりのディザイアの話題作をお贈りする“ハーレクイン・ディザイア傑作選”。今作は、シークがヒーローの物語で人気作家となった、アレキサンドラ・セラーズです。シャリフがハニに面会に来た、驚くべき理由とは?
記憶が戻れば、あなたは私を憎むはず。 ああ、このまま時を止められたらいいのに! 避暑地を訪れたケイトは、 大富豪ギャレットの所有する湖でクルーザーに乗っていて、 遊泳中の彼を不注意にもはねてしまった。 恐怖のあまり彼の無事を確認しただけで、 泣きじゃくりながら帰宅するが、罪悪感に苛まれ、後日謝る決意をする。 ところが、向かう途中で彼にでくわし、驚愕したーー なんと彼は視力と事故の記憶を失っていた! 気さくに話しかけられ、ケイトは謝罪の機会を逸してしまう。 さらに困ったことに、ギャレットは彼女のことを気に入り、 住み込みの秘書になってほしいと申し出てきた。 様々な時代の選りすぐりのディザイアの話題作をお贈りする“ハーレクイン・ディザイア傑作選”。今作は、北米ロマンス界最重鎮、ダイアナ・パーマーが記憶喪失をテーマに描く、スリリングな物語をお楽しみください。